​積極的に陰の力を用いよう​マネジメント能力を養う

​リーダーの役割~帝王学の書~5月8~13日の6日分の『易経一日一言』(致知出版社)​
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​【積極的に陰の力を用いよう】​

乾為天(けんいてん)を学ぶと、
「陽が強すぎる時は陰の力が必要なのだな」とわかります。
 
それだけに、「では陰に対しては陽の力が必要だ」と、
停滞して塞がった時には、
積極的にものごとを推進してバランスをとる、
中和させることが大切だと思いがちです。
 
しかし、坤為地(こんいち)の卦を読んでみると、
陰の時代は陰の力をさらに強めなさい。
従いなさい、受け容れなさい、
耐えて度量を育てなさい、と教えていました。
 
ということは、ものごとが通じない時に
打破しようとアクションを起こす、
つまり陽を用いて単にバランスをとるのは、
決して適切な対処ではないということです。
 
なにか行動を起こすことで多少、気は休まるかもしれませんが、
それでは根本の解決にはならず、無駄なエネルギーを消耗するだけです。
 
めざましく成長していく陽の時代がなぜやってくるのかというと、
陰の時代を経ることで、膨大な力が蓄えられ、その結果、
自然に陽を生じさせるからだと易経は教えています。
 
陰が窮まれば陽に転じます。
陰の時代から陽の時代への一番の近道は、
積極的に陰の力を用いることで、陰を窮めていくことなのです。

        『超訳 易経 陰』青本より

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​【マネジメント能力を養う】​

さて、乾てきの段階の大敵は、マンネリズムに陥ることです。
この段階になると、基本的なことはなんなくこなせるようになりますから、
かなりの意志を持って対していないと、慣れからマンネリ化が起きます。
 
マンネリズムに陥ると何が起こるでしょうか。
気が緩んでほんの小さなトラブル、凡ミスが起こってきます。
ささいな凡ミスは「注意不足だったな」と、
自分も軽い気持ちで済ませてしまいますし、
上司も凡ミスに対しては「気をつけろよ」で終わらせます。
つまり恥をかいたり、怒鳴られたり、手痛い思いをしなくて済むのです。
 
ところが、起きてはならないはずのミスとは、
実は日常的なささいなミス、いわゆる凡ミスです。
人間は小さな小石につまずき、大きな石や岩にはつまずきません。
これしきのことにつまずくのです。
不祥事が起こるのは、小石につまずくような、
日常のささいなミスの積み重ねによります。
小さなミスを当たり前のように見過ごすという
悪い癖付けが積み重なった結果です。
 
しかし、ここで問題意識を持つという良い癖を付けたなら、
それは大成長、大発展の礎となります。
薄皮を重ねるように厚い層になって、ある時、
積み重ねた量が質に転換して、技に変わるのです。
凡ミスを見逃すという悪い習慣も同じで、
薄皮を積み重ねるように膨らんでいきます。
ハッと気付いた時には、大事件、大事故に発展していくのです。
 
「乾てき」の実践を癖づけることで、
なぜミスが起きたのかという問題意識が育ち、
トラブルのパターンを認識できるようになります。
そして、よく似たパターンが出てきた時に、
前もって問題を察知できるようになります。
 
ですからこの段階は、とにかく量稽古です。
あらゆる経験を積むために果敢に仕事に挑む。
すると、突然、本物の技が生まれ育ってきます。
どのような問題が起きても、工夫して対処できるようになる。
さらには、問題を未然に防いで目的を達成できるようになる。
そして、こうしたコツがつかめてくる。
これがマネジメント能力、問題対処能力といわれるものです。
 
この能力が、リーダーになった時に、
不祥事を起こさないための危機管理能力につながっていきます。
 
       『超訳 易経 陽』赤本より
 
 

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易経一日一言は 5月14~20日の7日分です。
※易経一日一言を一年間通して読まれれば、
易経に書かれているおおよその内容を把握出来ます。

☆本当は一日一言は毎日投稿した方が良いのですが、
原稿や資料作りに追われていて、数日分を纏めてUPします。


~帝王学の書~5月14日の『易経一日一言』(致知出版社)

 ☆賢人に教えを乞う☆
 
翩翩(へんぺん)として富めりとせず、その隣と以(とも)にす。
戒めずしてもって孚(まこと)あり
               (地天泰)
 

「翩翩」は鳥がひらひらと舞い降りる様。
泰平の世が乱れることを察し、
上位の者が自分は能力が足りないと心を空しくして
下位の賢人に教えを乞う。
 
安定した世の中に傾きが見え始めた時、
実力のない者が上位に胡坐をかいていては、
世の中は急激に傾いて、手立てがなくなる。
 
こうした時は、個人のプライドを捨てて、
誠心誠意を表して下位にいる賢者の助けを求めることである。
 
 
 
 
~帝王学の書~5月15日の『易経一日一言』(致知出版社)

 ☆小人は不仁を恥じず☆
 
小人は不仁を恥じず、不義を畏(おそ)れず、
利を見ざれば勧まず、威(おど)さざれば懲(こ)りず。
              (繋辞下伝)
 
小人は思いやりや慈愛を持たなくとも、それを恥じず、
悪逆を恐れずに行う。
自分に利益がなければ進んで行動せず、
刑罰を与えられなければ懲りない。
 
小人は自分に利益があれば、諂(へつら)い、
仮の思いやりも見せる。
悪事を働いても、恐るべき結果になることを思いもしない。
 
時の状況によって、誰しも小人になる可能性がある。
肝に銘じたい一文である。
 
 
 
 
~帝王学の書~5月16日の『易経一日一言』(致知出版社)

 ☆剛健篤実☆
 
剛健篤実にして輝光(きこう)日に新たなり。
             (山天大畜)
 
「剛健篤実」は障害があっても粘り強く、日々進み、
何事も手厚く取り組み、中見と実質を蓄えること。
 
「輝光」とは力強い光。
努力を重ね、日々新たに成長するならば、圧力や障害があっても、
必ずその光(徳)は輝いて外に漏れ出ると教えている。
 
山天大畜(さんてんたいちく)は、山が天の養分(徳)を蓄える時。
すそ野広く、高く蓄積する「大いなる蓄積」を説く卦(か)である。
 
 
 
 
~帝王学の書~5月17日の『易経一日一言』(致知出版社)

 ☆感 通☆
 
鳴鶴(めいかく)陰に在り、その子これに和す。
                (風沢中孚)
 
親鶴が陰で鳴くと、見えないところにいる子が声を合わせて鳴く。
 
親が子を思い、子が親に応えるような真心は、
姿が見えず、遠いところにいても通じ合うということである。
 
風沢中孚(ふうたくちゅうふ)の卦名(かめい)「中孚」は
心の中心にある真心、誠信をいう。
 
心の中で真から願うことは、必ず感通するものである。
 
 
 
 
~帝王学の書~5月18日の『易経一日一言』(致知出版社)

 ☆上昇の条件☆
 
柔(じゅう)、時をもって升(のぼ)り、
巽(そん)にして順(じゅん)、剛中にして応ず、
ここをもって大いに亨(とお)るなり。
               (地風升)
 
地風升(ちふうしょう)の卦(か)は昇り進む、上昇の時を説く。
 
ただし、昇り進んでいくためには条件がある。
まず「時」を待って進むこと。
草木が春から夏にかけて成長するように、
物事も時期、環境、場が揃ったときに昇り進む。
 
そして「巽にして順」環境や人に逆らわないこと。
さらに「剛中にして応ず」
賢者に学び従い、応援を得ることが欠かせない。
 
 
 
 
~帝王学の書~5月19日の『易経一日一言』(致知出版社)

 ☆どっしり構え、ゆっくりと進む☆
 
止まりて巽(したが)い、動きて窮まらざるなり。
                    (風山漸)
 
自分から先に先にと進むのではなく、落ち着いてどっしり構え、
よく環境や状況を見て、それに合わせて無理なく進めば、窮まることはない。
 
見た目上、まるで止まっているかのように
ゆっくり進むことが必要なのである。
 
風山漸(ふうざんぜん)の卦(か)は、
ゆっくりと時間をかけて進むべき時を説く。
木が大木に生長するのには、長い時間がかかる。
それに倣って進む重要性を教えている。
 
 
 
 
~帝王学の書~5月20日の『易経一日一言』(致知出版社)

 ☆吉凶悔吝☆
 
悔(かい)吝(りん)を憂うるものは介に存し
震(うご)きて咎(とが)なきものは悔に存す。
                 (繋辞上伝)
 
「吉凶悔吝」の吉は得る、凶は失う、 悔は後悔する、
吝は吝嗇(りんしょく)・けちる・厭(いや)がる。
「吉凶悔吝」は人の心と行動の巡り合わせを表す。
 
つまり、人は過ちを後悔して吉になり、
吉になると油断して驕りや慢心が起こって吝嗇になり、
過(あやま)ちを改めることをぐずぐずと厭がり、凶になる。
凶になって、そこでまた後悔するのである。
 
吉凶の分かれ目は「悔・吝」にある。
恐れ震(ふる)えて咎めがないのが「悔」である。
 
また、凶になる兆しが「吝」であり、
凶が吉になる兆しが「悔」である。
「震きて」とは、「凶」という事実と、
そこに至った厚かましいほどの吝嗇に恐れ震えること。
 
吝嗇を重ねると、人は善悪の感受性を失い、
不正を働いても「何が悪い」というほどになる。
 
震えは感受性の回復である。
恐れてブルブルと震えなければ、後悔の念は湧かない。
後悔して身を改めて吉に向かうのである。
 
また、トラブルの原因を洞察する者は、
恐れ震えるほどに後悔して、流れを吉に変えることができる。
 
        ​『易経一日一言』(致知出版社)

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