リポソーム封入型/抗悪性腫瘍剤・治癒切除不能な膵癌治療薬「オニバイド®点滴静注」が発売開始 | 好奇心の扉

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災害は偶然の産物ではありません。何らかの連鎖的な出来事の結果です。
大惨事の陰に隠された知られざる真実に迫ります。
そこには次の大災害を回避するための重要な証拠が必ず残されています。

日本セルヴィエ株式会社(本社:東京都文京区本郷)と株式会社ヤクルト本社(本社:東京都港区海岸)は、リポソーム修飾型/抗悪性腫瘍剤「オニバイド®点滴静注43mg(一般名:イリノテカン塩酸塩水和物)」について、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌(膵管がん/膵臓がん)」を効能・効果として、2020年6月1日、国内に於いて販売を開始したと発表しました。

オニバイト点滴静注
イリノテカン塩酸塩水和物PEG修飾リポソーム製剤/抗悪性腫瘍剤
<がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵がん治療薬>
「オニバイド®点滴静注43mg(一般名:イリノテカン塩酸塩水和物)」


膵臓は上腹部にある臓器です。
消化管に分泌される消化液を分泌しています。
また膵臓では、血糖の調節を助けるインスリンも分泌されます。


膵臓がんイメージ

膵癌の約95%が膵管細胞、及び腺房細胞から発生する腺がんです。腺がんは通常、膵管の粘膜にある腺細胞から発生し、その殆どが膵頭部(小腸の最初の部分の十二指腸)に最も近い部分に発生します。

ご存じのように、がん死亡のうち、2018年に膵癌は4番目に多いがん腫であり、がん死亡全体の9.5%を占めています。

膵癌の予後は病期によって異なりますが、多くの患者が診断時点で、進行例であり、治療選択肢が限られ、全体的に予後不良の癌であることから、アンメットメディカルニーズの(未だに有効な治療法が確立されず強く望まれている)治療分野であり、新しい薬物治療薬が求められて来ました。


これまでも、有効成分であるイリノテカン塩酸塩水和物は、カンプト点滴静注(先発品/2008年6月)、トポテシン点滴静注(先/2009年9月)やこれらの後発品が多く発売されているものの、膵癌治療のために開発された薬剤とは言えない、広義の抗悪性腫瘍剤であって様々な癌種が適応となっている。
他にもゲムシタビン、FUT、TS-1、フルオロウラシル(抗悪性腫瘍剤)、ADM、アブラキサン(アルブミン懸濁型パクリタキセル)などがあるが、進行膵癌では病状の進行抑制にとどまっているのが現状です。








イリノテカン修飾リポソーム製剤オニバイドの構造図

「オニバイド®点滴静注」は、有効成分の*イリノテカンをポリエチレングリコール(PEG=polyethylene glycol)で修飾(しゅうしょく)したリポソーム(一つの分子上に親水性部分と疎水性部分とを持たせた分子の複合体)に封入した製剤です。

本剤は、DNAトポイソメラーゼ阻害薬であり、イリノテカンをリポソームに封入することで、時間をかけて徐々に薬剤を放出し、より長く腫瘍組織に働きかけることが特徴のひとつとなる。

ガン細胞は自らの増殖のために新生血管を形成して腫瘍内に導入します。
しかしリポソーム製剤(大きさ100-110nm)は毛細血管を作る血管内皮細胞層のような健康な組織には溢血(いっけつ=身体組織の内部に出血が起きること/~脳いっ血など)する事が出来ません。

リポソーム製剤はガン細胞が作った新生血管を通じて腫瘍に到達します。

イリノテカンはI型トポイソメラーゼを阻害することで、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。


オニバイト点滴静注の作用機序

*イリノテカンは、*I型トポイソメラーゼを阻害し、DNA合成を阻害する事により細胞増殖抑制作用を発現する。
⇒⇒本剤が貪食(大食い)作用等によりマクロファージに取り込まれると、イリノテカンが細胞外に放出され、腫瘍組織に於いて活性化代謝物であるSN-38に変換され、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられる。

*I型トポイソメラーゼとは……DNAの複製や転写の際、DNA二重らせんをほどく酵素で、I型は、DNAの片方の鎖に切れ目を入れ、回転させて巻きをほどく役目。



国内では2019年3月に、日本セルヴィエ株式会社が製造販売承認申請を行い、2020年3月25日に承認を取得しました。
2019年10月に締結した日本セルヴィエとヤクルト本社とのプロモーション契約に基づき、日本セルヴィエが製造販売、流通を行い、ヤクルト本社がプロモーション活動を実施します。




【製品概要】
【販売名】:オニバイド®(Onivyde I.V.®)点滴静注43mg10mL/1瓶(in liposome)
【一般名】:イリノテカン塩酸塩水和物(Irinotecan liposome injection)
【効能・効果】:がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌
【用法・用量】:フルオロウラシル及びレボホリナート(活性型葉酸製剤)との併用に於いて、通常、成人にはイリノテカンとして1回70mg/m2(体表面積)を90分かけて2週間間隔で点滴静注する。尚、患者の状態により適宜減量する。

【重要な基本的注意】
◆本剤はイリノテカン塩酸塩水和物をリポソームに封入した製剤である事から、本剤の有効性、安全性、薬物動態等は従来のイリノテカン塩酸塩水和物製剤と異なる。本剤を従来のイリノテカン塩酸塩水和物製剤の代替として使用しないこと。
◆また、本剤を従来のイリノテカン塩酸塩水和物製剤と同様の用法・用量で投与しないこと。
◆本剤を単独投与した場合の有効性及び安全性は確立していない。

【製造販売元】:日本セルヴィエ株式会社
【製造販売承認日】:2020年3月25日
【薬価基準収載日】:2020年5月20日
【薬価】:12万8,131円(43mg10mL 1瓶)
▼【先発品薬価/非リポソーム製剤】:3,145~1,955円(40mg2mL/1瓶)
【発売日】:2020年6月1日
【プロモーション】:株式会社ヤクルト本社

尚、本剤は2020年5月現在、世界21か国で販売されています。









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