10年ぶり承認!切除不能な進行肝細胞癌で「スチバーガ錠」の適応拡大了承 | 好奇心の扉

好奇心の扉

災害は偶然の産物ではありません。何らかの連鎖的な出来事の結果です。
大惨事の陰に隠された知られざる真実に迫ります。
そこには次の大災害を回避するための重要な証拠が必ず残されています。

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会は5月30日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認が了承され、本部会での審議が必要ないと判断された、【報告予定品目】について、全て了承した。

今回、適応拡大が了承されたのは、バイエル薬品株式会社(本社:大阪府大阪市北区梅田)が承認申請していた、ネクサバール®錠(一般名:ソラフェニブ)投与歴のある肝細胞癌(HCC=Hepatocellular carcinoma)患者に対する「がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がん」の効能・効果で、「スチバーガ®錠40mg(一般名:レゴラフェニブ水和物=regorafenib)」の追加が了承された。



スチバーガ錠40mg
『がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がん』の
適応拡大が報告承認された抗悪性腫瘍薬「スチバーガ®錠(Stivarga)40mg」



肝細胞がん(HCC)は、肝がんに於いて、最も発生頻度が高く、(転移性を除く)原発性肝がん全体の約85~90%を占めています。

肝細胞がんは慢性肝疾患……特に肝硬変と関連しており、発生原因として、B型肝炎ウイルス及びC型肝炎ウイルスが挙げられますが、最近の調査では、非B型・非C型肝細胞がんの増加が報告されています。

肝細胞がんの第一治療選択肢は外科手術ですが、根治切除後の再発や、診断時には既に進行性で転移が見られる為、手術に適さない場合も多くあります。
全身化学療法歴の無い患者適応で承認されている薬剤は、これまで「ネクサバール®錠(一般名:ソラフェニブ:バイエル薬品:2009年5月承認)」のみで、有効な治療法の無いアンメット・メディカル・ニーズ(満たされていない医療上の必要性が高い疾患)の一つとなっています。



肝がんステージ別分類


肝癌は直径2~3cmの大きさになると、門脈を経由して肝臓内各所に転移を始めます(肝内転移多発)。
一方、肝細胞がんは基礎疾患として慢性肝疾患、特に肝硬変がある事が多く、一旦、根治的に切除しても、新規の発がんを起こして再発する事も少なくありません(多中心性多発)。



毎年、世界で78万人以上(EU=5万2000人、西太平洋地域(日本を含む)=50万1000人、米国=3万人)が肝癌と診断されており、約74万6000人が肝癌の為に亡くなり、そのうち約4万8000人がEU、47万7000人が西太平洋地域、2万4000人が米国での死亡例でした。(GLOBOCAN2012: Estimated Cancer Incidence, Mortality and Prevalence Worldwide in 2012)

日本では年間、約3万1000人の肝癌による死亡者がおり、その約90%を原発性肝癌である肝細胞癌が占めています。(日本肝臓学会-平成27年度肝がん白書)



スチバーガ錠の作用機序
スチバーガ錠の作用機序


「スチバーガ®錠」は、腫瘍血管新生(VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、TIE2)、発癌(KIT、RET、RAF-1、BRAF)、転移(VEGFR-3、PDGFR、FGFR)と腫瘍免疫(CSF1R)に関与する様々なプロテインキナーゼ(ATPのリン酸基をタンパク質の水酸基に転位させる酵素の総称)を強力に阻害する経口マルチキナーゼ阻害剤です。



レゴラフェニブの肝動脈への作用機序


「スチバーガ®錠40mg(一般名:レゴラフェニブ水和物)」は、過去10年間で、初めての新たな肝細胞癌(HCC)治療薬となる新効能医薬品であり、尚且つ、唯一の全身療法剤です。
また、第Ⅲ相臨床試験RESORCEではネクサバール®錠投与後に病勢進行を認めた肝細胞癌(HCC)患者に対して、二次治療として全生存期間(OS)の有意な延長が示された、初めての治療薬となりました。

本剤は、優先審査品目に指定され、再審査期間は残余(平成33年3月24日)となっている。


【薬価】:5579.3円
【用法・用量】は、本剤で既に適応を持つ「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」などと同じ。
海外では、肝細胞癌の適応について、米国食品医薬品局(FDA)で2017年4月に承認済、欧州医薬品庁(EMA)では審査中(2016年11月申請)である。





ペタしてねペタしてね