国内唯一、遺伝性血管性浮腫治療剤「ベリナート®」が急性発作の予防的投与で適応追加 | 好奇心の扉

好奇心の扉

災害は偶然の産物ではありません。何らかの連鎖的な出来事の結果です。
大惨事の陰に隠された知られざる真実に迫ります。
そこには次の大災害を回避するための重要な証拠が必ず残されています。

CSLベーリング株式会社(本社:東京都江東区)が販売する遺伝性血管性浮腫(HAE)治療製剤「ベリナート®P静注用500」(一般名:乾燥濃縮人C1インアクチベーター製剤)が3月24日、「侵襲(医療における外部からの刺激)を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」の適応が追加承認されたと発表しました。
▼プレスリリース: http://www.cslbehring.co.jp/s1/cs/jpjp/1154051148566/news/1252904428536/prdetail.htm



遺伝性血管性浮腫治療剤ベリナートP静注用500
遺伝性血管性浮腫治療製剤「ベリナート®P静注用500」


遺伝性血管性浮腫(HAE:Hereditary angioedema)は、遺伝子の変異が原因で、血液中のC1インヒビター(別名:C1インアクチベーター/C1-INH欠損/C1エステラーゼ・インヒビター)の減少、もしくは機能異常を起こす病気で、咽頭浮腫による気道の閉塞から呼吸困難、命に関わる場合もある国の指定難病「原発性免疫不全症候群」の疾患の一つに認定されています。

▼国の指定難病「原発性免疫不全症候群」の疾患の一つに認定されており、認定されると 医療費助成を受けられます。
 
詳しくはHAE情報センターをご覧ください: http://www.hae-info.jp



補体第1成分阻害因子(C1インヒビター)が上手く機能しない事により、皮膚や腹部(腸)に、痒みを伴わない粘膜下浮腫、吐き気・嘔吐・下痢など、身体中のあらゆる箇所に繰り返し腫れが起こり、喉が腫れると気道を塞いで呼吸困難から、窒息する恐れもあると言う。

むくみ(浮腫)が起こる原因は様々で、精神的ストレス、外傷や抜歯、過労などの肉体的ストレス、妊娠、生理、薬物などで誘発される事が知られている。

遺伝性血管性浮腫の発症前後
遺伝性血管性浮腫の症状変化。

むくみ(浮腫)が引くまでに通常1~3日ぐらい掛かります。また、遺伝性血管性浮腫は、しばしば蕁麻疹に見られる事があります。
病態は急に皮膚が腫れますが、血管が腫れるわけではないので、皮膚のどこにでも発現します。



遺伝性血管性浮腫(HAE)患者の半数以上は、生涯のうちに、少なくとも1度は窒息の危険がある喉頭部(のど)の浮腫が生じる可能性があります。
遺伝性血管性浮腫で喉頭膨張にる窒息死k
咽頭部や口腔内の浮腫は稀れですが、この場合、窒息に至る事があり致命的となります。
ノドの中に浮腫が発症した場合は、速やかに救急医療を求めなければならない。


特に、抜歯などの歯科治療や出産、外科手術、検査等に於いて、侵襲を伴う処置は急性発作の強力な誘因として知られています。
患者数は1万人~15万人に1人とされ、5万人に1人とする報告が多い。

エストロゲン(卵胞ホルモン)が影響すると言われ、女性の有症率は男性の2.2倍との報告もあります。発症は10~20歳代に多く見られますが、あらゆる年齢で発症します。



ベリナートP静注用500アメリカ

「ベリナート®P静注用500」は、国内唯一のC1インアクチベーター製剤です。

これまで、遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者に対する外科的処置や、歯科処置など、侵襲(医療における外部からの刺激)を伴う治療が誘因となり、舌や喉頭に浮腫を起こして死に至った症例が国内外で報告されていた事から、日本口腔外科学会、日本皮膚科学会は、「ベリナート」製剤に対する処置前における短期予防について、「適応外薬の要望」を提出していました。

この要望は、「医療上の必要性の高い未承認・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当と判断され、2016年11月24日の「薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会」で了承されたものです。


つまり、あらかじめ遺伝性血管性浮腫の患者が麻酔や手術を受ける際、予防的処置として、C1インヒビターを補填しておくと言う処置が、可能となりました。

今回、"遺伝性血管性浮腫の急性発作時"の治療に加え、"身体への侵襲を伴う処置前の予防的な投与"に対しても、適応追加された事により、患者が外科的治療や歯科治療を受ける際、急性発作のリスクを大きく低減出来る事が期待されます。




ペタしてねペタしてね