先端巨大症・下垂体性巨人症治療薬「シグニフォーLAR筋注用」が承認取得 | 好奇心の扉

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災害は偶然の産物ではありません。何らかの連鎖的な出来事の結果です。
大惨事の陰に隠された知られざる真実に迫ります。
そこには次の大災害を回避するための重要な証拠が必ず残されています。

ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区虎ノ門)が2015年7月31日、国内製造販売承認を申請をしていた、ソマトスタチンアナログ(SomatoStatin Analogues:SSA)製剤(開発コード:SOM230)の先端巨大症および下垂体性巨人症治療薬「シグニフォー®LAR筋注用キット20mg、及び40mg、及び60mg」(一般名:パシレオチドパモ酸塩)が8月4日、厚生労働省より製造販売承認された。

適応は、外科的処置で効果が不十分又は施行が困難な場合の「先端巨大症・下垂体性巨人症」における成長ホルモン、IGF-I(ソマトメジン-C)分泌過剰状態及び諸症状の改善となっている。



Signifor-LAR/シグニフォーLAR
シグニフォーLAR筋注用キット
「シグニフォー®LAR筋注用キット」
(アメリカ・ノバルティス ファーマ製)


先端巨大症は、脳下垂体に発生する非がん性(良性)の腫瘍により、成長ホルモン及びインスリン様成長因子(IGF-1)が過剰に分泌され、手足や内臓の肥大、顔貌の変化といった、先端巨大症状を伴う身体的変化が見られる、希少な内分泌疾患です。

下垂体性巨人症は、骨端軟骨線閉鎖前の成長ホルモン過剰分泌により、著しい身長増加が認められます。



いずれの疾患も、下垂体前葉から慢性的に成長ホルモンが過剰に分泌されるという点で同質の疾患であり、診断基準も共通しています。
日本では先端巨大症、下垂体性巨人症ともに「下垂体性成長ホルモン分泌亢進症」として難病指定されている。



先端巨大症の症例


下垂体性巨大症の症例
下垂体性巨大症の症例。



国内有病者数は、先端巨大症が約11,000人、下垂体性巨人症が約400人、年間発症者数は各約700人と約20人と推定されています。

成長ホルモンの過剰分泌が長期になると、糖尿病、高血圧、心疾患、関節炎、大腸がんなど、死亡リスクの上昇に至る重篤な転帰に及ぶ可能性もあります。

また、日本国内において先端巨大症については、欧米での発症割合の推定と同程度ですが、近年の疫学報告からは、更に多い事(増加傾向)が示唆されています。


先端巨大症の治療は、成長ホルモンとインスリン様成長因子(IGF-1)値を抑制し、症状の改善や合併症の罹患率を減少させ、死亡率を下げる事です。

治療の第一選択は、外科手術による腫瘍の摘出です。


脳下垂体
下垂体腺腫



経鼻的経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術
腫瘍摘出手術は、鼻の経蝶形骨洞から行う。


しかし、この手術の適応にならない患者や、手術後も成長ホルモンやIGF-1のコントロールが不良な場合には、薬物療法や、必要に応じて放射線療法が行われます。

経鼻的経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術
経鼻的経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術。


しかし、最近の調査結果で、先端巨大症の患者の45%が既存の治療によって、適切な成長ホルモン値や正常なIGF-1値を達成出来ていない事が判明し、既存治療では効果が十分とは言い難いのが現状となっています。



「シグニフォー®LAR筋注用キット(パシレオチドパモ酸塩)」は、ホルモンを過剰分泌する固形腫瘍(先端巨大症など)で発現が亢進(増大)しているソマトスタチン受容体に結合、活性化する事によりホルモン分泌を抑制するソマトスタチンアナログ(SSA)製剤です。

手術が適応にならない、又は手術で効果が不十分薬物治療歴が無い、或いは既存SSA製剤での薬物治療でコントロール不良な、先端巨大症や下垂体性巨人症の患者を対象とした、国内外の臨床試験において、「シグニフォーLAR筋注用キット」が、より多くの患者で成長ホルモンとIGF-1のコントロールを達成し、更に著明な腫瘍体積の縮小、先端巨大症の臨床症状の改善傾向などを示しました。



海外では、2014年11月にEU(欧州連合)で、先端巨大症の患者に対する治療薬として承認されたほか、2014年12月には米国において先端巨大症の患者に対する治療薬として承認を取得しているほか、2016年3月現在、欧米など40カ国で承認済となっている。

尚、本剤の再審査期間は8年。







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