難病ミトコンドリア病に治療効果がある物質「MA-5」本年秋に臨床治験開始 | 好奇心の扉

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有効な治療法の無い、国指定難病「ミトコンドリア病」の治療に効果がある新規化合物「MA-5(Mitochonic Acid-5)」による、医師主導による臨床試験(治験)を本年秋にも、東北大学病院臨床研究推進センターなど国内の4つの病院で、10人の患者を対象に半年間行う事を発表した。


JASN論文サイト
米国腎臓学会学術誌
「Journal of the American Society of Nephrology」電子版に発表


「ミトコンドリア病」は、細胞の中で主にエネルギーを産み出し、細胞活動を支えているミトコンドリアに障害を起こす遺伝性の希少疾患で、国内の平成24年度の患者数は、医療受給者証保持者数から1,087人と報告され、国内の総患者数は5000~1万人と見られる。



「ミトコンドリア病」の原因は、細胞の中の核にDNAがあり、そのDNAが遺伝子というそれぞれ特定の情報を担っていますが、DNAにはもう一つ、ミトコンドリアの中にも別のDNAが存在する。

細胞の中のミトコンドリア

ミトコンドリアDNAと核DNA
DNAには2種類あり、
核DNAはアデニン(A)チミン(T)グアニン(G)シトシン(C)の4塩基から成る。
ミトコンドリアDNAは1万6569塩基とコンパクトな環状のDNAである。


殆どの病気は、核DNAの遺伝子の異常で起こるが、ミトコンドリア病は核DNAとミトコンドリアDNAでも異常を起こし、これが神経・筋、循環器、代謝系、腎泌尿器系、血液系、視覚系、内分泌系、消化器系でエネルギー(ATP)産生の低下が起こり、全身に幼少期から非常に重篤な障害を引き起こします。

ミトコンドリア病の症状


ミトコンドリアは、卵子と精子が受精し、受精卵が出来た時、その受精卵の中のミトコンドリアが、全て母親の卵子由来であり、父親からのミトコンドリアは伝わりません。
つまりミトコンドリアDNAは他の核DNAと異なり、母系遺伝と言う事になり、母親のミトコンドリアDNAに異常がある場合、それは子供にも伝わります。

ミトコンドリア病のDNA遺伝

但し、ミトコンドリア病が全て母系遺伝ではなく、ミトコンドリアDNAは変異が起きやすく、突然変異で発症する場合もあり、また核DNAにある遺伝子の変化でも起きる事から、優性遺伝や劣性遺伝の場合もあります。

現在の所、厳密に効果があると確定された治療薬はありません。




新規化合物「MA-5」は、東北大学大学院医学系研究科病態液性制御学分野および東北大学大学院医工学研究科分子病態医工学分野と、岡山理科大学、自治医科大学(前:神奈川県立こども医療センター)、筑波大学の共同研究グループが、尿毒症患者の血中の腎不全物質を解析する過程で、ある種の内因性インドール化合物群にATP(アデノシン三リン酸)産生亢進作用があることを見い出した。
  【注釈】ATP=細胞の活動に使用されるエネルギーの大部分を占める3つのリン酸基と、アデニンとリボース(アデノシン)が結合したもの。

それが新規化合物「MA-5」で、MA-5はミトコンドリア病患者由来の培養細胞の細胞死を抑制し、ミトコンドリア病態マウスモデルの心臓・腎臓の呼吸を改善、生存率を上昇させたと言う。

MA-5投与実績

既存のミトコンドリア病治療薬の作用機序が、抗酸化効果であるのに対して、MA-5はミトコンドリア内に存在する“ミトフィリン”という膜タンパク質に結合してATPを増やすという、全く新しいメカニズムである事が明らかになった。

今回の成果から、MA-5は現在治療法のないミトコンドリア病の新しい治療薬となる可能性が示唆された。
更に、ミトコンドリアの機能異常で起こる、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病などの神経変性疾患や糖尿病、老化現象などの疾患などにも、ミトコンドリア異常が係わっている事から、MA-5はこれら種々の疾患に対しても治療薬となる可能性がある。


MA-5



現在「MA-5」は日本医療研究開発機構(AMED)の支援により安全性試験が行われており、安全性が確認され次第、早ければ今秋にも10人のミトコンドリア病患者での臨床治験に入る予定です。

ミトコンドリア病に関する治療薬の研究は、米オレゴン健康科学大学が多能性幹細胞による有害なミトコンドリアの「修正」に成功したり、熊本大学大学院が発症の原因を押さえる薬剤の開発に成功しているものの、それらは実際の患者での臨床治験には未だに至っていません。


「MA-5」は既に国内、国際出願(特願2013-209539、PCT出願JP2013/006916)とも完了しており、世界初で尚且つ日本発の新薬として、画期的な薬剤となる可能性を秘めています。

是非とも、病気の進行抑制や、発症抑制に効果が上がる事を期待しています。





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