感染性の胃腸炎は年間を通じて発症しているのですが、特に寒い冬に多くなります。

冬は気温が低く、乾燥していることからウイルスの感染力が強くなります。

 

また、ノロウイルスにおいては牡蠣を食べることによって感染することもあるので冬にかかりやすくなります。

毎年流行するので知識としてみなさん知っていることも多いと思いますが、おさらいがてら確認してみてくださいね。

 


ノロウイルスって?

 

1960年代アメリカのオハイオ州で集団感染を認めたことから、地名をとってノーウォークウイルスと呼ばれていました。

2002年に現在のノロウイルスへ改名されています。

 

症状は?

吐き気、下痢、腹痛などの症状を引き起こします。

 

原因となるものを摂取してから24~48時間(潜伏期間)で症状がでるとされています。

 

一般的には軽度の症状で回復しますが、子供や年配の人などでは重症化する場合があります。
 

 

感染経路は?

 

 

ノロウイルスは、感染した人や食品、水などを介して広まることがあります。

 

主に牡蠣などの二枚貝によるものが多く報告されていますが、食中毒事例のうちでも約7割では原因食品が特定できていません。

感染する主な方法は、直接の接触や飛沫感染です。

 

感染源は、患者のふん便や吐物、感染者が触ったものなどです。

 

感染源からの二次感染が起こることもあります。


二次感染は、家庭や共同生活施設など、人の接触が多い場所で起こりやすくなります。

 

特に注意が必要なのは、食品取扱者や食べ物の加熱などを行う人たちです。

 

感染していると、汚染された食品を介して感染を広げてしまうことがあります。

 

また、生の二枚貝を食べたり、十分に加熱されていない食品を食べたりすると、感染するリスクが高まります。

 

さらに、ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取することも注意が必要です。

 

 

治療は?

治療は特効薬はないため、食事をひかえめにとったり、整腸剤や輸液などの対症療法に限られます。

 

下痢がひどいからと言って下痢止めをつかうとウイルスの対外への排泄が遅くなるため、基本的には使いません。

 

冷たい飲み物はひかえ、下痢による脱水を予防するためにしっかりと経口補水液などで水分補給を行いましょう。

 

冷たいものの食べ過ぎ・飲みすぎは腸炎をおこした粘膜には刺激が強いので、控えましょう。

 

 

予防方法は?

二枚貝などの食品の場合は、中心部が85℃~90℃で90秒以上の加熱によって感染力をおさえることができるとされています。

 

また、手についたウイルスを体に入れてしまわないように、食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗いましょう。

 

トイレは蓋をしめて流すようにすると周囲への飛散が防げます。(コロナ禍からすでに習慣づいている人も多いかもしれませんね)

 

下痢等の患者の汚物処理やオムツ交換等を行った後(手袋をして直接触れないようにしていても)にも必ず行いましょう。

 

下痢やおう吐等の症状がある方は、食品を直接取り扱う作業をしないようにしてください。

ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウム※や亜塩素酸水や加熱による処理があります。

家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)

 

ノロウイルスは乾燥すると空中に漂うことがあります。

 

このウイルスが口に入って感染することもありますので、吐物や便は乾かないうちに速やかに処理し、処理後はウイルスが外に出るように風通しを良くすることが重要です。

 

 


 

今回はノロウイルス感染症についてお話ししました。

 

予防や対策を知って冬をのりきりましょう!