集団食中毒のニュースを耳にしました。

 

【速報】福島市のホテルで101人食中毒 ヒラメの寄生虫「クドア」原因か、下痢や嘔吐の症状(TUFテレビユー福島) - Yahoo!ニュース

(2024/01/13引用)

 

冬はウイルス性のものも多い時期ですが、今回は「クドア」という聞き慣れないもの。

大学の授業や専門医試験で教科書的にしか私は出会ったことがないので知識の復習がてらブログにしておきます。

 

クドアとは??

簡単にいうと寄生虫です。
 

Kudoa septempunctataは、ヒラメに寄生するクドア属の寄生虫(粘液胞子虫)の一種です。

 

マグロ類やヒラメの筋肉部位に多いとされますが、ヒラメを生で食べたときに感染することが多いようです。

 

今回のニュースでも刺身からの感染と推測されています。

 

 

引用画像:mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133250.html(2024/01/13)

 

大きさは0.01mm程で、肉眼では見えません。

 

ヒトには寄生しませんが、ヒトの腸粘膜を一過性に傷つけて症状を起こします。

 

症状は?

食後4時間から8時間程度で、下痢、腹痛、嘔吐等の症状が現れます。

 

症状は軽度であり、多くの場合、発症後24時間以内に回復し、後遺症もないとの事例が報告されています。


家族等への二次感染(ヒトからヒトへの感染)はこれまで報告されていません。

 

感染経路は?

 

クドアがどのようにしてヒラメに寄生するのかは今のところ判っておらず、クドアによる食中毒の予防として出荷前のモニタリング検査が基本的に行われています。

 

ヒラメの養殖場での適切な管理により、クドアがヒラメに寄生することを防止する取組みを行っており、食中毒数は低下しています。

 

予防は?

  • -20℃で4時間以上の冷凍
  • 中心温度75℃で5分以上の加熱
一度凍結したり、加熱調理することにより食中毒は防止できると考えられています。
 

検査は?

 
検査は発症者の検便検査や嘔吐物の遺伝子検査などが行われます。
 
クドアはヒトの体内で増殖したという報告例は無く,一過性に糞便中に排出されるだけと考えられることから,検便による検出率は低く、診断が困難です。
 
一方,おう吐物の検査を行ったところ,K. septempunctata の遺伝子だけでなく顕微鏡下でその形態も確認できたことから,おう吐物の検査は,検便より検出率が高い考えられています。
 
いずれにせよ、強く疑って検査しなければ診断にはつながりにくいですね。
 

治療は?

治療薬はありません。
 
症状がでたら対症的に経過をみて、改善を待つのみです。
 
感染性腸炎の基本は原因となるものが体の外に排出されるのを待つことなので、この場合も原因が外にでてしまうの待ちといったところです。
 
 
食べる側としては目に見えないので予防は難しいですね。
 
日本ではクドアのモニタリングはしっかりされており、感染者数も減少傾向とのことですので、一般的には感染を恐れて食べるのを避けるのは現実的ではないと思います。
 
万が一ヒラメの生食の後に症状が出た場合、医療機関を受診したときはそのエピソードを伝えてもらうことが診断する側からすると重要なポイントになりますので、伝えることをみなさんお忘れなく。