医療・介護従事者の方々への香料対策のお願い

 環境疾患・化学物質過敏症の患者・障害者の多くにとって、暴露により重篤な症状を引きおこす原因となっている化学物質の一つが洗剤・柔軟剤・消臭剤・ソープ・化粧品類に含まれる合成香料です。
 香料については近年、環境疾患の診断を受けていない人々の中でも頭痛、めまい、吐き気・喘息発作・皮膚炎等様々な症状を起こす人が急増しています。発癌性物質を含むものも多く、「香害」として生体(中枢神経・腎臓・生殖障害・アレルギー等)・環境への悪影響が世界的な問題となっています。

 世界の様々な国が、香料規制をしたり、香料で体調悪化を起こす人・化学物質過敏症患者への配慮をするよう働きかけをはじめています。
 例えば、日本のコマーシャルでおなじみの香料を添加するためのマイクロカプセルは、欧州では環境から回収することは事実上不可能とし、6年以内に市場での販売を禁止する方針です。
 カナダでは公共場での香料規制が始まっています。
 アメリカでは昨年化粧品規制が改正されて、有害香料の表示が義務づけられ、パーソナル製品のメーカーは全成分リストをFDAに提出する事が義務づけられ、強制リコールもできるようになりました。またFADでは有害香料リストの作成が始まりました。

 一種類の製品に何十種類もの合成香料が使用されていますが、ひとくくりに香料と書かれているだけで、その内容までは表示されていません。そして、これら香料の多くが有害性の高いものです。
 世界共通のピクトグラム有害化学物質GHS表示に含まれる10物質の有害香料が、日本のライオン、P&G、花王、ファーファ等の数十製品で使用されている状態であるだけでなく、香料を包むマイクロカプセル成分は非公表とされています。香料とのみ記載している製品が多いですが、香料成分にはおよそ2000種類以上の合成化学物質があり、日本の大手企業(上記)では1製品に15から50種類の化学物質を使用しています。
 合成香料成分は発ガン性、中枢神経・腎臓障害・皮膚障害・生殖器・胎児への影響等、様々な人体・環境影響を起こします。

 日本で販売されている、洗剤・柔軟剤・化粧品はじめ様々な商品に添加されている香料は、マイクロカプセルの中に入った状態で添加されていまる製品が多くあります。刺激によりカプセルが壊れて香りが出るようになっています。このため長期間にわたって香りが出続け、マイクロカプセルによる香料は何十回洗ってもとれないといわれています。このマイクロカプセルはポリウレタン樹脂・メラミン樹脂・イソシアネート等で作られています。これらを香料とともに吸入しているため、咳・喘息・呼吸器症状・頭痛など様々な症状の原因ともなっています。
 マイクロカプセルは人体からだけでなく、水道水、ミネラルウォーター、魚からも検出されています。

 日本での香料規制は遅れていますが、「その香り、困っている人がいる」というポスターが5省庁により作成されています(ダウンロード可・消費者庁ホームページhttp://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/)。日本の現状ではまだ規制等は期待できない状況です。
 2017年日本消費者連盟では香害をなくす連絡会、2022年82人の超党派の議員により香害をなくす議員の会が結成されて、現在199名に増え、香害問題に取り組みが始まっているところです。
 
 医療従事者の身につけている香料により体調が悪化する患者・障害者が増えています。香料を身につけるということを喫煙と同様に考えてください。
 医療・介護従事者の身につける香料によって健康被害を受けている人が急増していることを学んでください。
 身体的にもっとも弱い立場の患者・障害者に直接対応する、命を救う・健康を守る立場である医療・介護関係者の皆様へ、香料対策を早急に進めてくださいますようお願い申し上げます。