「変わらないために変わる」
数年前に、ある人が、放ったひとこと。
最初、この言葉の意味がまったく理解できなかった。
でも、今は少しわかる気がするんだ。
いちばん大事なものを存続させようとする時、それ以外のものは失ったり、手放したり、変えたりしなくてはならない時がある、と。
いちばん大事なものを守ろうとする時、すべては守り切れないから、それ以外のものは、切り捨てたり、見放したりしなくてはならない時がある、と。
いちばん大事なものが変わらないように維持する時、それ以外のものは方向転換したり、意思にそぐわなくても認めたり、周囲から反感を買ったとしてもやらなきゃいけない時がある、と。
彼にとって、いちばん大事なものを、変わらずに維持し続けるためには、今まで手にしていたものを、一旦捨てるっていう選択も必要なんだと、今は分かる。
周囲は、「彼は変わってしまった」というかもしれない。
でも、私は、彼は変わっていない、と信じてる。
だって、彼の根本の想いは変わっていないのだから。
周囲の望む姿になろうとするのではなく、彼が大事なものを変わらずに存続させようと、大事なものを守ろうと、彼が変わってゆく姿は、とてつもなく美しい。
その強さと輝きは、誰にも奪うことはできないんだ、とため息が出るほどに。
物事には賛否両論がある。
何をしても、称賛と否定の声は上がるだろう。
でも、彼は選んだ。
賛否の声ではなく、自分が守りたい、唯一のものを。