(続)彼とわたしの離婚事情 | 矛盾SPIRAL

(続)彼とわたしの離婚事情

日曜日の夕方、家族会議の後、彼はとんぼ返りで逢いにきてくれた。
「そんなの信じられない」
わたしはめそめそと泣きじゃくった。
月曜日の朝もめそめそモードは続き、「具合が悪い。今日は休む」とだだをこねた。
昨日の夜も電話でめそめそめそめそ、そして時々プンプン・・・
今朝もちょっとめそめそ、そしてプンプンプンプン・・・

別居も離婚もそれそのものは夫婦の問題。
わたしも自分の意志で旦那さんとの離婚を決意し、その一歩として別居に踏み切った。
じゃぁ、彼のことと別居・離婚は何の相関関係もないのか・・・・・ないわけがない。
「一緒にするべきでない」理屈はそうかもしれないが、気持ちはそんなに割り切れるものではない。
いや、わたしの場合は割り切れるものではなかった。
だから焦った、彼のところがすぐにでも片が付きそうな気配だったから。
焦る必要はなかったのかもしれない。
「ふーん、そう。でもわたしはわたしよ」とペースを崩さなければよかったのかもしれない。
旦那さんには失礼な行為であることは間違いなかったのだし…。

わたしが別居をしても彼のペースは変わらなかった。
それが「誠実」というものだろう、奥さんに対する…。
わたしに対しては?
「こんなにぐずぐずされると思ってなかったよ。でも相手のあることだからなかなか自分の思い通りには…」
「相手?そうだよね?わたしはまだあなたにとって「相手」でも何でもないんだよね?」

彼のやり方を見ていて、自己嫌悪と旦那さんへの申し訳なさが募る。
もっと時間をかけてもよかった。
もっと旦那さんの気持ちやこれからを一緒に考えてあげればよかった。
そんな思いが、彼に対する不満と奥さんへの逆恨みに代わる。
わたしが別居しようが離婚しようがあなたには関係ないんだよね?
わたしが不安になろうが路頭に迷おうが奥さんの気持ちを優先するんだよね?
奥さん、あなたはいいですね。今まで仕事もお金も時間も全て自分の自由にして、セックスも拒否して彼の世話は何もせず、
家業も手伝わず、親族を気遣うこともなく、なのにこの期に及んでまだ彼に労ってもらえて本当にいいですね。

昨日、とりに行くものがあって旦那さんのマンションに立ち寄った。
仕事の帰りに寄ることは旦那さんに伝えていた。
ドアを入る。
前と変わらないリビング。
和室のテーブルの上にわたしの持ち帰るものが全て用意されていた。
手で提げられるように紙袋も添えられていた。
洋間に入ってみると、ダブルベッドにはまだ夏のままの薄い布団。
「もう寒いのにこんなの着てて大丈夫なのかな」
そう思ったら急に涙がこみ上げてきた。
わたしは旦那さんにいったいどんな配慮をしてあげただろうか・・・・何もしてない。
この気持ちは彼に対する当てつけ?
奥さんに対する嫉妬?
それだけじゃないと思いたい。
声を上げて泣いた。

携帯が鳴る。彼からだ。でも出られない。
もうすぐ旦那さんが帰ってきてしまうかもしれない。
泣いていたら何を言われるだろう。
逢えばまた旦那さんの心を揺さぶってしまう…。
どうにか涙を押し込んでマンションを出た。

荷物が重くて身体が傾く。
すれ違う車に荷物がぶつかった。
「どうでもいい。どうなってもいい」
腫れた目とぼーっとした頭で思考回路がおかしかった。