お好み焼きは好き?

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お好み焼きもたこ焼きも好き。
でもお好み焼きは自宅で作るがたこ焼きは買う。
たこ焼き器が手元にないこともあるが、奈良に8年住んだとはいえ、埼玉生まれで関西人ではない私にはたこ焼きを上手に焼くのは難しい。
奈良の大学院生時代、生粋の関西人の後輩は非常に上手く焼くので、どうしてそんなに上手く焼けるのかと聞いたら、しょっちゅう家で焼いてたからとの答え。
そして関西人なら当たり前と言われた。
 
この後輩(女性)、横浜出身の先輩の話に対して、話しながら自分が笑ってしまうことと話にオチがないことにダメ出しをする。
それを横で聞いていたので彼女と話す時は少し緊張していたのを覚えている。
 
さてタイトルのアメリカ人ゲストの接待のこと。
 
奈良の大学院のM2かD1の時、教授が知り合いのアメリカ人科学者をラボに呼んだ。
その人はアメリカの大学教授で私たちと同じ分野の結構な大御所教授。
呼んだ教授はホストファミリーのはずなのに食事を家に呼ばず、大学院生だった私と同じラボの2人(同級生)に1万円を渡して、これで夕食に行ってきてくれと丸投げしてきた。
 
私たちはその時ゲスト教授とは初対面だった(もちろん論文等で実績は知っている)のだが、とにかく院生3人で接待をしなければならなかった。
 
せっかく日本に来てくれたんだから日本らしいものを食べてもらおう、せっかく関西に来たんだから関西っぽいものがいいだろう、ということでお好み焼きにした。
関西では基本お好み焼きはお店の人が焼いてくれる。
そして自分で焼くよりはるかに美味しいお好み焼きが出てくる(当たり前)。
 
でもせっかくだから自分で焼くスタイルがいいだろうと、平城京跡の朱雀門のすぐ横にある「蛸庵」という観光客がよく行くお好み焼き屋さんに行った。
 
関西だからお好み焼きと決めたものの、埼玉出身の私と一緒に接待した院生は、神奈川出身で国際基督教大学(ICU)出身と中国地方の某国立大学出身で岡山出身の2人。
実は関西人はいなかった。
 
ゲストの接待はもちろん英語オンリー。
アメリカンイングリッシュのネイティブスピーカー相手に辿々しい英語で対応する。
 
「何を食べさせてくれるの?」の質問に、3人揃ってお好み焼きを英語て伝えるのに苦戦する。
まさか"Bake it as you like please." というわけにもいかず、「ピザみたいな」と言ったら、周りの食べているものを見て「ピザじゃないよね」と返され撃沈。
それなら作り方で説明しようと、小麦粉を出汁でといて・・・と伝えようとするが、出汁ってなんていうんだ?、あれ、小麦粉ってなんていうんだっけ・・・な状態。
テンパってたんで、小麦粉を"wheat powder"と言ったら"flour"と直された。
確かにそうだった。
出汁も"extract"を使うのかな?なんて言ってた。
どうも実験英語から抜け出せていなかったようだ。
 
その後も「これって英語でなんて言うんだっけ?」が続くんだけど、実験関係以外の英単語に疎い3人ではなかなかスムーズに伝わらない。
そんな中ICU出身の友達が意外な能力を発揮する。
 
ICUではかなり多くの英語を使うのであてにしていたのだが、3人の中で一番テンパる友達。
でも彼の素晴らしい能力が発揮される。
紙の辞書を持っていっていたのだが、彼はその辞書をものすごい速さで引く。
和英辞典と英和辞典をすごい速さでめくる。
「なんて言うんだっけ?」といった10秒後くらいには、目的の単語に辿り着く。
 
彼が辞書から引っ張り出したキーになる英単語を、文法はわかっているので残った2人が繋ぎ合わせて文章にして伝える。
日本式英語教育も役に立った。
発音や速さは日本人のものだったと思うが、私自身の英語の発音は結構褒められたので大丈夫だったようだ。
 
3人とも必死だったので、食べたお好み焼きの味の記憶はほとんどなかった。
ゲスト教授は、鉄板の上でお好み焼きを返すことがアトラクティブだったようで楽しんでくれた。
 
6〜7年後にそのゲスト教授に国際学会で会った時、ちゃんと覚えていてくれて研究の話もたくさんできた。
研究ではライバルになることもあったが、的確な質問やアドバイスをくれて、フェアに対応してくれて信頼できる間柄になれた。
 
お好み焼きと聞いて必死で接待したことを思い出した。
懐かしい。
 
 
今ちょっとネットで検索したら、「蛸庵」は立ち退きのため2022年に閉店していた。
移転する予定と書いてあったので復活を願う。