「期待」と言う名の重圧 | おやじの絵日記

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後期高齢おやじの絵日記です

昨日の「NHKスペシャル」は登山家の栗木史多氏を取り上げていました。

栗木氏とは14~5年くらい前に一度講演会でお会いしました。

当時の栗木氏は、山岳界とは距離をおいて、単独で世界の山々に挑戦している異端児的な登山家でした。

当時は今ほど名前が売れていなくて、海外遠征の資金集めに奔走している「夢多き青年」でした。

その後はマスコミなどに取り上げられ、一躍世間の脚光を浴びるようになりました。

同時に既成の山岳界などからは、反発も受けるようになってゆきます。

同時に、登山に様子を自撮りしてネットにライブ配信をするという企画を成功させ、ネットを通じて多くの支持を集めるようにもなります。

エベレスト頂上からライブ配信しようと何度も登頂に挑みますが、その度に失敗を繰り返し、2012年には重度の凍傷で指を全て失ってます。

この頃から、ネット上では詐欺師だとか、登山家じゃなく下山家だという批判も増えました。

そんな中、一昨年5月に周りの反対を押し切って8度目のエベレスト登頂に挑みましたが、体調不調で下山中に滑落し命を落とします。

昨日の番組では、「なぜ無謀ともいえる挑戦を敢えて行なったのか?」という点を重要なテーマとして捉えていました。

そして、そこに「ネット世界特有のプレッシャー」が栗木氏にのしかかっていたと分析していました。

多くの批判にさらされる中では、ネットでの支持層(ファンの期待)が彼の行動の基盤ではなかったか!

そのネット社会から見放される事は自分の存在がなくなってしまうのではないか!という恐怖感があったのではないか!

周囲からの大きな期待が、いかに大きなプレッシャーとなって、人間の心身の柔軟性を縛ってしまうのか、

今日の稀勢の里の三連敗を見ても、そんな風に想います。