今回の父の入院で多くの寝たきりの人を見てきました。
そして父も一歩間違えれば同じように「寝たきり」になっていたと思います。
常日頃、父には「自然な最期」を迎えさせたいと思っていますが、現実は大変難しい事だと知りました。
今は幸い実家の前の介護施設にお世話になり元気に暮らしていますが、いつまた体調を壊すかもしれません。
その時に同じような失敗を繰り返したくないと強く思っています。
父はバルーン(尿道パイプ)を嫌がって夜中に無意識の状態で引っ張ってしったり、
夜中にトイレに行こうとして転倒して大腿部骨折をしましたが、
この事は病院側からすれば「問題行動の患者」という事になります。
従って骨折治療のため転院先の病院から、「家族の付添いかまたは拘束衣の着用」という条件が付きました。
拘束衣とは手足の自由が制限された看護衣のことで、場合によってはベッドへの拘束もあり得ますと言われました。
そしてベッドは手摺で囲まれていました。
問題行動をしたのは父ですし、その防止をしないと治療に支障をきたすことは理解できました。
しがって私の選択肢としては拘束衣をなくすために、付き添うことだけでした。
しかし24時間ベッドから出られない状態は、急激な身体能力の低下をきたし食欲を奪います。
なにより精神的なストレスは計り知れないものがありました。
幸いなことに父は体力があったため、こんな状況からもなんとか復帰を果たせました。
しかし普通の体力であれば、点滴で栄養補給をしながら、「寝たきり生活」になっただろうと思います。
ではこんな経過において、どの段階で私はストップをかけられたのだろうか?!
今になって考えれば、最初に肺炎で入院した時に在宅治療を選ぶか、または膀胱癌の手術をするか否かの時だったと思います。
しかしこれはあくまで結果論であり、現実には肺炎も膀胱癌もその時点で「No!」と言うのは困難でした。
今回の経験から、「自然な最期」は本人も家族も「余程の覚悟」がないと出来ない事だと知りました。