昨夜の「NHKスペシャル」はAI(人口知能)を取り上げていました。
想像していた以上に急速に実用化が進んでいる事に驚きました。
証券業界では株式の取引き等が人工知能化され、その知能の優劣とスピードが競われている事。
将棋の世界でも既に人間を凌駕する能力を持ちつつある事など、ある程度の事は知っていましたが、
昨夜の番組では最近の実用化例をいくつか紹介していました。
タクシー会社が既に実用化して使っているのは走行(流し)ルートの人口知能でした。
NTTデーターが2・3年前に開発したシステムで、携帯電話の発信データと乗降データを使って、タクシー待ちの人のいる場所を予測してドライバーに知らせます。
ドライバーがその予測に基づいて走ることにより、初心者でも経験豊富なベテラン並みの成果をあげる事が可能になるそうです。
飽和状態のタクシー業界で20%の売上アップとなったそうで、「もうなしではやれない」とコメントしていました。
海外では、刑務所の受刑者の再犯リスク判定に使われている例や、韓国では国レベルの経済政策に応用しようとする例が紹介されていました。
そんな中で、将棋の羽生さんが指摘していたのは、人口知能の「ブラックボックス」の事でした。
大量のデータの処理方法は技術者が指示(プログラム)するのですが、最終判断は人口知能が行います。
そしてその判断がどういう論理過程を経て行なわれたかは、「わからない」(=ブラックボックス)だということです。
将棋でいえば、人口知能は時々過去の棋譜に存在しない奇抜な一手をうつことで知られていますが、
人口知能が「何故その手が選択したか(判断の根拠)」は分からないのです。
将来もっと広く世の中に人口知能が展開されたようとした時、その事が重大な「課題」になると羽生氏は指摘しています。
いみじくも米国の刑務所で行われる人口知能を使った保釈判定の対象者が、
「人生の重要な判断を根拠の分からない事で行われたくない」、とコメントしていたのが印象的でした。
いずれにしても今後加速的に進むであろう「人工知能」技術は、
人類に大きな力をもたらすと同時に、取り返しのつかない脅威となる力をも内包していると言えます。
20年後には人口知能を使って、もっと便利で快適で安全な世の中が実現しているかも知れません。
ただ私個人としては、あまり諸手をあげて喜べないですね。