今日の朝日新聞の「オピニオン」欄に、こんな一文が載っていました。
90歳の認知症のお母さんを介護されている、看護師の女性からの投書です。

看護師をされているので、仕事では認知症の患者さんと関わってきておられる方だそうです。
ところが自分の母親に認知症が出だすと、日常生活でお互いがむきになって衝突することが多いと、悩まれています。
「仕事でなら向き合えるのに」という表題が付いていますが、私自身の経験からもまさにその通りです。
これは経験した人でないと、なかなか分らないかもしれませんが、
仕事での人間関係においては、その人との間には「仕事」という名の「クッション」が必ず入ります。
しかし家族という人間関係においては、その仕事というクッションはありません。
したがってお互いの感情が、クッションなしにもろにぶつかることになってしまいがちです。
そしてそれが認知症の場合は、その事が日常生活の中で顕著に起きてきます。
例えば今日、私と父親の間にこんなやり取りがありました。
父親から法事の粗供養を100個お寺に届けて欲しいと頼まれて、
昨日バタバタとウエットティッシュを100個そろえ、夫々にのし紙を張付けて、「出来たよ~!」と張り切って持って帰りました。
すると親父は、「そんなもん盆明けでいいんや!」 私、「昨日明日持って行ってて言うたやろ!」
「そんなこと言うてへん!毎年8月20日頃や!」
最近は父の記憶が定かでなくなってきたので、頻繁にこんな事が起きます。
上のケースなんかには、ちょっと以前の私なら、大きな声で怒鳴っていました。
しかし最近は「100歳やから忘れて当たり前!」と自分に言い聞かせて、怒りをぐっと抑え込みます。
最近になってようやくここまで出来るようになりました。
笑いながら、「昨日はそう言ってたににな~」と軽く流すような芸当はとてもまだ出来ません。
家族が家族の介護を担うのは当たり前ではありますが、そこには家族が故の難しさがありますね。