萩尾望都氏作「ポーの一族」

小学館の少女漫画雑誌『別冊少女コミック』の1972年(昭和47年)3月号から断続的に連載され、1976年(昭和51年)6月号で完結した。2016年(平成28年)に、40年ぶりの新作が小学館の女性向け漫画雑誌『月刊フラワーズ』の7月号に掲載され、その後は断続的に連載が再開されている。

wikipediaからの引用

初めて自分のおこづかいで買った少女漫画コミックス。

1~5巻まで持っていました。

 

 

 

 

中学生の時、遊びに来た友達がうっかりページを破いてしまい、楽しい気分が一気に落ち込んで、漫画本は誰にも貸さない!と心に決めた日でした。

 

さて、有名な作品なので、いまさらですが・・・

18世紀イギリスの田舎、幼い兄妹が深い霧の中置き去りにされる、というところからお話は始まります。

 

主人公は、エドガー・ポーツネル。永遠の14歳♡

この14歳設定がすごいなと思います。

大人になる直前の多感で、大人でも子供でもないその容姿。

一人で生きていくには危うさが残る、とはいえ、大人が面倒を見なくてもなんとかやっていける。

子供としてのみずみずしさを持つ一方で、大人としての冷静さも持っている。

大人になった今は、こんな風に物語の外側から見ていますが、当時は、あっという間にその世界に引き込まれていきました。

 

育った環境からエドガーは、精神的に大人になるざるを得なくて、最愛の妹、メリーベルを自分たちの育った村から遠いところに住む男爵家へ養女に出す。

この葛藤がもう切ない。

 

その後、メリーベルの幸せを望んでいたのに、それもかなわず、自分と同じ永遠のたびに連れ出すことになって、メリーベルを永遠に幸せにしてやることができないという葛藤に苦悩する。

 

深い。

永遠の14歳のエドガー、メリーベルはおそらく13歳くらい?

加えて美男美女の兄妹ゆえに目立つ。

成長しない自分たちに周りの人間が不信感を持つリスクから、何年も同じ場所に居住できず、永遠に人の目を避け、いわば逃亡生活を送らなければならない。

 

人間ならかなえられたであろう平凡な夢が叶うことはない。

そんな境遇に最愛の妹を置いたことで、エドガーは自分を責めている。

メリーベルを失ったあと、傷心のアランと永遠のたびに出ることになる、このいきさつも切ない。

 

エドガーはバンパネラになった自分の境遇を悲しみ、メリーベルやアランを仲間に引き入れたことを悔やんでいるわけですね。

 

メリーベルもアランも、バンパネラになったことを責めてないのに、エドガーがここまで苦悩するのは、自分が人間として一生を全うしたかったから。

アランは立場上、エドガーに保護されているけど、エドガーはアランから精神の安定を得ている、という見方が多いのですが、

私は、エドガーが精神的な支えをアランに求めてる時期は、とっくに過ぎていて、アランのわがままや気まぐれを許すのは、ただただ、バンパネラにしてしまった責任を取ろうとしているから、だと解釈しています。

もちろん、アランに対する愛着はあるでしょうが、共依存ではないと思います。

エドガーそんなに弱くないハズ。(だって200歳以上生きてるんでショ?)

1976年でいったん完結して・・・たんだ

あたし、あれで終わりって思ってなくて、「つづきまだかな~」なんてのんきに考えていました。

完結してたんだよ、って気が付いたのって、たぶん、1990年に入ってから?

だって、そもそも「ポーの一族」ってミニシリーズみたいな扱いで、「あ、続き出た!」って感じの連載でしたもん。

 

2016年、40年ぶりに復活して、2020年8月から始まった新連載も断片的に継続中な模様。

やっぱり、私の感覚であってた?(笑)終わってなかった?

 

 

 

1970年代、多感なティーンエイジャーであった少女たちの柔らかい心を鷲掴みにした、永遠の14歳。

エドガー・ポーツネルは私の初恋の人でした。