恋愛体質 | ma*nani通信Akemingのステキな40代

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年をとるのはこわくない!
ワタクシ、Akemingは只今47歳。東大卒のりょーたと大学生の姫のワーキングママです。
美しく年齢を重ねられるよう日々努力しています。
若さの秘訣。それは気持ちから。
キレイな心を磨いて年齢を重ねるごとにパワーアップ!

まただ。


私はPCで調べ物をしながら、またあなたのことを考えていた。


窓に目をやると、窓から見える木々の葉に雨のしずくが光っていた。


いつの間に降り出したのだろう。


雨が降っているのも気づかないくらい集中していたはずなのに、私はあなたのことをぼんやりと意識していた。


今日は土曜日。


週末は出かけず家でデスクワークをしようと決めた。


溜まっている仕事をこの週末で終わらせてしまおうと決めて、優実たちのパーティーの誘いも断り家に篭って、キーボードをたたく作業をしていた。


私のデスクワークは集中しなくてはこなせない。


でも、インターネットで調べ物をしている時は集中がふと途切れる。


あなたと一緒に行った海のシーンがいきなり頭をよぎったり、私たちの好きなシャルドネのワインボトルとあなたの顔が重なったり。


「集中していない証拠だわ」


と、何度も自分を律しながらも私の中にあなたが出てきてキーボードをうつ手をとめざるを得なかった。


なぜ、こんなにもあなたを思い出してしまうのか、私にはわかっていた。


それは、自分のバランスをとるためなのだ。


うちの近くのバーで優実と軽く飲んでいた時言われたっけ。


「るり子は恋愛体質ね」って。


そのバーは私と優実のお気に入りのシガーバーだ。


カウンター席は8席ほど、そして、ソファ席が2つの小さな空間。


店の奥にウォークインヒュミドールがあって、冬はケトルののったアンティーク調の石油ストーブが店内を暖める。


私は、あなたと前夜会った時につけていたあなたのカフリンクスが素敵だったという話をカウンター席の左隣に座る優実に話していた。


「楕円形のカフリンクスでね。色が水色というか、ハワイの海の色なの。

エメラルドグリーンの手前の透き通った水色。
その水色に黒いラインがクロスしていてアクセントとなっているの」


「それはいけてるカフリンクスだわね。センスがあるわ」


と優実はうなずいた。


私はいたずらっぽく笑った。


そして、「実は、それは私が彼にプレゼントしたものなの」と言った。


そうしたら、優実が言った。


「るり子は恋愛体質ね」って。


そしてワインを口に含んでから


「恋愛体質といっても常に恋をしていたいタイプってことじゃないわ」


と続けた。


私は「え?じゃあ、恋愛に溺れやすいタイプってこと?私は恋愛は好きだけど溺れないわ」と否定した。


優実は、自分のワイングラスについた口紅を指で拭いながら


「あなたが溺れるわけないわよ。相手に溺れていると思わせるのが得意なのだから」と笑った。


そして、


「るり子は本能のまま生きるタイプだから、恋をしているあなたは恋愛を一から十まで楽しんでいる感じだわ。

今、彼の話をしながら、るり子の周りはピンクの風が流れていた」


と言いながら、顔を傾けて私の顔を覗き込んだ。


私が優実に向かって微笑むと、優実は言った。


「恋している時のるり子はいい仕事ができそうね。どう?はかどってる?」


私は肩をすくめながら「そうね。it's OK(まあ、なんとか)と言っておくわ」と笑った。


「Sure!(もちろん!)と言わないところが正直者のるり子ね。

彼との恋において悩みでもあるのかしら。
さっきのカフスの話を聞くとそうは思えないけど」と優実。


私は首を左右に小さく振って微笑んだ。


そして、「悩み?あるとしたら、私の仕事がたまっていて彼と会えないことくらいよ」と言った。


そう。


あなたと会えないことが強いて言う私の悩み(というほどのものではないが)だった。


優実には「仕事がたまっていて」と言ったが、仕事の話が出たからたまたま言っただけで、会えない本当の理由はあなたのルールによるものだった。


優実が言っていた恋愛体質。


確かに私に対する恋愛のイメージって恋愛を100%楽しむ女性って感じだろう。


だから、恋愛をしている相手とは毎日でも一緒にいたいし、からだの温かみを感じていたい。


そのせいで仕事が手につかなくなるのは困るから、あなたとの今の距離はちょうどいいのかもしれないけれど。


この距離感はあなたによるものだった。


あなたには、何か自分の中でルールがあるらしく、私と会うのは1ヶ月に2、3回と決めているようだった。


はっきり言われたわけではないけれど、あの日のあなたの発言で理解した私だった。


ある土曜日、めずらしくあなたからメールが入った。


あなたからのメールは私のメールへの返信がほとんどなので、あなたからのメールは滅多に入らない。


月曜日の約束がキャンセルになるのかしら、と不安になってメールを開けたら


>今日は土曜日だけど仕事だったんだ。今、部下と飲んでいる。


と相変わらず短いメッセージだけど、いつのも私たちの約束に関する業務メールに近いものとまったく違う内容だ。


私は自分の気持ちに正直に行動したい人だ。


もちろん、メールも駆け引きはせず正直な思いを書く。


>土曜日もお仕事なのね。
>おつかれさま。
>もしも今日会えるならすぐあなたのいるところに行くわ。
>連絡して。


もしかしてあなたの本心は「君に会いたい」なのかも、と思ったので素直にそう返信した。


でもあなたからは返信はなかった。


そして、2日後の夜、あなたと会った時に土曜日のメールの話となり、なぜ「今から来る?」と返信がこなかったのかがわかった。


「土曜日、今から来る?って連絡もらえたらすぐ行けたわ」と私が言うと


あなたは「ああ、あの時、君に会いたいなと思ったんだ。でも月曜日に会うからいいかなって思って」と言った。


私とあなたの温度差ってここに出る。


私は毎日でもあなたに会いたいけれど、あなたは違う。


別に不満ではない。


あなたが私を好いてくれていることはわかっているし、あなたが私に会いたいと思ってくれたことだけで満足だ。


でも、もしかしたらルールがあるの?と思った。


あなたにルールがあるのならそれを無理に壊したくないと思った。


私がそれを理解していればいいことだし。


恋愛のルールは人それぞれだと思うし、それを無理に合わせることはない。


あなたのそのルールに気づくまでは、私は一人で焦ったり悲しんだりした。


ネガティブな思いが先走り、あなたがいなくなってしまうかも、という不安でいっぱいになったこともあった。


でも、ふたを開ければ、私が考えるほど深刻なことでないことがほとんどだった。


恋愛体質の私だから、あなたと過ごす時間は思いっきり甘美なものにするけれど、あなたのことで自分をせつなくさせる時も思いっきり胸をしめつける。


こうした気持ちのアップダウンは恋の醍醐味と思っていたが、急激にダウンする時はけっこうつらい。


恋愛体質だとこんなところでダメージがくるわけ。


そんなある日、自分で気持ちのバランスをとるようにしたらどうだろう?と気づいた。


私があなたと上手におつきあいするためには、バランスをとればいいんだ、と思った。


どうやって?


それは、バーチャル恋愛。


あなたとの思い出を宝箱から取り出して深く思い、その空想の世界であなたと恋愛をするのだ。


ロマンティックな映画を再演するかのように心の中であなたとのシーンを繰り広げる。


私は、雨の土曜日にそうやってバーチャル恋愛をして自分の中でバランスをとっていたのだ。


この行為が自然に出るって事はあなたが恋しいってことだわ、と仕事に集中できなくてもバーチャル恋愛に夢中になる私だった。


ああ、まただ。


あなたの膝に座って2人でインターネット検索をしているシーンがよみがえる。


あれは2人の夕飯のためのお店を選んでいた夕方だわ。


夏だった。


私は、その夏の夕方の2人の映像をうっとりと観ていた。


これこそ恋愛体質。


だっていつでも心は薔薇色。


バランスとっているの。


私は恋愛を一から十まで楽しみたい女だから。 



The End ・・・   Written by 鈴乃@Akeming


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【 恋愛体質  後記  】


わたしは恋愛もののストーリーを描くのが大好き


うっとりするのが大好きなロマンティック派な人間なもので(笑)


でもわたしの書くストーリーは恋愛ものであっても隠れたところにテーマがあります


だいたいが自立に結びつくものなのですが。。。


読んでいただいて深く感じていただけるとうれしいです★


さて、今回のお話の隠れたテーマは何だったでしょう?


(実は、ストーリーを書き上げてからこの後記を書くのが好きなわたしです)




さて!


わたくし、このストーリーのるり子さんの気持ちがよーくわかる!


だってわたしも恋愛体質!!


自分のラブストーリーはものすごく甘美なものにすることができる


たぶん、わたしの女友達はこれを読んで「あけみさんっぽい」ってうなずいていると思う(ね!笑)




恋愛体質っていうと常に恋をしている、優先順位が恋が一番っていう人なのかなって感じだけど


わたしは違う観点で恋愛体質の女性を描いてみました


恋が一番♪っていうのも、かわいくてよいのだけど、思いが強すぎるとエゴが出てきちゃう!


「私は~なのに、彼はどうして~なのかしら」


っていう思いが心を占めるとつらくなる。。。


エゴは誰にでもあるものだけど、気づいたら引っ込めたいものだよね


今回のお話は、相手を想う気持ちに温度差のある2人を書きましたが、るり子さんはそのエゴに気づいて自分なりに対処する方法を見つけました


彼女がどうしてその対処する方法を見つけることができたかというと。。。


エゴという正体をわかっていたからです



エゴは混乱、不安、愛を欲することが好きです


エゴはあれこれ命令することでわたしたちを人質とし、喜びや安らぎを奪い取るもの、とわたしの愛読書にありました


るり子さんは、彼を想うあまり、不安になったり悲しんだりしていたけれど、その正体がエゴだと知ったのです


それならば、そのエゴをどうやってやっつけようか!


それは自分の心の忠実になり、自分が喜ぶことをすればよいのです



るり子さんは、空想が好きだったのでその空想にはまることでバランスをとって自分を喜ばせました


バーチャル恋愛することで自分を満足させたのですねー


恋愛を思いっきり楽しんでいるるり子さん、彼とは恋愛の温度差があるけれど、うまくいくといいね!



感じるものは人それぞれ


るり子さんの彼はたぶんお仕事が一番なのでしょう


彼ももしかしたらそうやってるり子さんとの恋愛のバランスとっているのかもね!


自分に夢中になってほしいけれど、女性にのめりこまない男性の方が好感もてるって感じるのはわたしだけ?