甘くてやわらかいもの | ma*nani通信Akemingのステキな40代

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年をとるのはこわくない!
ワタクシ、Akemingは只今47歳。東大卒のりょーたと大学生の姫のワーキングママです。
美しく年齢を重ねられるよう日々努力しています。
若さの秘訣。それは気持ちから。
キレイな心を磨いて年齢を重ねるごとにパワーアップ!


「今日の香りは好きだ」


あなたは私を引き寄せると、私の首筋に顔を寄せた。


私はあなたにされるがまま、というか、あなたに身を任せてあなたの次の行動を待っていた。


たぶん、あなたの唇が私の頬に、唇に、移動するのだろう、と当たり前の流れを想像しながら。


ダイニングチェアに座るあなたの膝に横に座る形で、私の顔はあなたの顔の間近にあった。


唇と唇の間は10センチも離れていない。


「いつもと違う香りだね」


と言うと、あなたは予想通り私の頬に唇をあてた。


私は目をつぶってじっとしていた。


言葉はなく、私はあなたとの時間を一人で楽しんでいた。




あなたの言うとおり、私は香りをかえた。


あなたは香りに敏感だ。


会うたびに「今日の香りはあまり好きじゃない」とか「今日は何をつけているの?」と私に聞く。


そう、私はつい最近、オーデコロンからボディローションにかえたばかりだった。


私はオーデコロンを好んでつけていた。


オーデコロンをつけるようになったのは、中学生の頃からだから、四半世紀近くつけていることになる。


その四半世紀の間、一貫して続けていた自分の香りはフローラル系。


時々、浮気してエキゾチックな香りにも手を出したが、だいたい飽きて元の香りに戻る。


初めてフレグランスの存在を知ったのは、母のドレッサーにあったシャネルのNo.5。


そのNo.5は、パフュームだった。





四角い容器に入った魅力のある不思議な液体に、大人の世界に好奇心旺盛だった小学生の私が興味を持たないわけがなかった。


あの夏の夕方、母が近くにいないことを確かめて、ドキドキしながらパフュームの蓋をあけて香りを確かめた。


蝉の鳴き声をBGMに、「うっ・・・」と、顔をしかめた少女の顔がセピアカラーの映画のごとく心に映し出される。


それは少女が思い描いていた香りではなく大人の香りだった。


「夜はシャネルの5番を着て眠る」とマリリンモンローが言ったのがきっかけとなり有名になった香り。


マリリンモンローから程遠いガリガリに痩せた少女には、想像できなかった香りだったのだろう。


それから、中学生に成長した私は、姉がハワイに語学研修に行った時の小さな香りのお土産を耳たぶにつけるのが、出かける時の1つの楽しみとなった。


私にとってのファーストフレグランス。


その香りのお土産は、たしかスズランの香りだったと思う。


スズランの絵が描いてある小さな容器に入っていて、その頃、年上の女性としてあこがれていた2つ上の姉のお土産とあって、大切な香りだった。


中学生になった時に、母に与えられた小さなドレッサーに飾ってあった。


その、スズランの香りが子供っぽく感じるようになると、今度は自分だけの香りを探し始めた。


高校生の頃だ。


まず最初に選んだのは、レブロンのチャーリー。


そして、キャシャレルのアナイスアナイス。


高校生の時に大流行だった香りだ。


そういえば、高校生の時、隣のクラスの詩織がつけていた香りは、とてもいい香りだった。


やわらかくて、女の子らしくて、そして、心地よい香りだった。


詩織が近くに来ると、なぜか鼻が敏感になる私だった。


女の子は自分のお気に入りが友達とかぶるのが嫌いだから、もちろん、私も「何つけているの?」と聞けず、詩織の香りの記憶を頼りに同じ香りをあちこち探した。


結局、同じ香りは見つからなかった。


香りってつけた人の体臭が混ざり合って香りを演出するものだから。


香水をつける人によって、違う印象ができて当然なのだ。


でも、似たような香りを見つけた。


それは、ピエールカルダン。


あちこち探して見つけた香りだったので、詩織の香りとは違うものだったけれど、これはけっこう長くつけていたと思う。


その後のヒットは、ニナリッチのレールデュタン。


これも、その頃流行っていたフローラル系だ。


仲良しのお友達とはじめて行ったグアムのデューティフリーショップで買った夏の思い出の香り。


短大生の夏にハワイに留学した時は、ハワイの安いフレグランスをつけていた。


なんとなくそんな気分だったのだ。


ハワイのドラッグストア、ロングスドラッグスで何度も香りを確かめて2つばかり購入。


交互につけていたような気がする。


ハワイに馴染むために、日本人がつけない香りを漂わせたかったのかもしれない。


ハワイ留学で知り合った芦屋のお嬢様、亜矢子がつけていたクロエの香りと対照的だな、と思いつつロコガールになり切っていた私だった。


その後、クレージュ、ディオールのディオリッシモ、ランコムのトレゾァ、ティファニー、ラルフローレン、イヴサンローランのパリ、ランコムのミラクなどを経てエスティーローダのプレジャーズに落ち着いた。


今でもパフュームをつけるときはこれだ。


私の香りの歴史はこうして挙げてみると長いし、四半世紀の間、私から漂っていた香りは20種近い。


しかし、40歳を過ぎて数年たった今、オーデコロンの香りが何だかわざとらしく感じるようになってボディローションをつけるようになった。


ボディローションは、パフュームと違って全身に薄くぬるから、私の体臭と混ざってパフュームと違うほんのりした甘い香りをからだ全体から漂わせるのかもしれない。


その香りにあなたは敏感に気づいたというわけだ。


あなたは、香りに敏感だ。


「いい香りだね」


と、言いながら、私の頬にあてていた唇を、私の唇に移動させた。


しばらくしてあなたは私から唇を離すと、


「君の唇、ブルーベリーの味がする」


と目を丸くさせて笑った。


その日私がつけていたランコムのリップグロスはラズベリーの香りだった。


「ちょっとはずれ。ラズベリーよ」


私も笑った。


「似たようなものだ」


と、あなたは微笑んだ。


「この前エアポートのデューティフリーショップで見つけたの」


そのグロスはデューティフリーショップのお土産用商品にありがちな、3つのチューブがチェーンのようなもので繋がっていて、パッケージに入ったものだった。


他は、チェリー味とグレープフルーツ味だった。


ジューシーチューブスというネーミング。


果汁味のグロスってことか。


「唇が甘くておいしい」


あなたはそう言うと、ラズベリー味のリップグロスがほとんどとれてしまった私のやわらかい少しだけ甘い唇をあなたの唇でまたふさいだ。


あなたは香りに敏感だ。


そして、どうやら甘く香るやわらかいものが好きらしい。




THE END  Written by 鈴乃@Akeming


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【 甘くてやわらかいもの  後記 】








タイトルが食べ物みたいだけど。。。笑


すあまとか。。。甘くてやわらかいよね(すあま、大好物です!)


でも女性の唇って甘くてやわらかいものでしょ?!



キス・・・


んー


唇と唇がくっつく数秒前の気持ちの高揚が素敵ですね・・・








そして


今回、私の香りの歴史を思い出せるだけ挙げてみたけれど、これ、けっこうあったのねー


まだ書ききれないものもあるけれど、自分の香りの歴史を感じますねー


特に急に思い出してうれしかったのが、ロコガールになり切っていたハワイでの香りのこと


すっかり忘れていたけれど、あの頃の思い出が胸いっぱいに広がって何だか幸せな気分でした


それぞれの香りに思い出がたくさんつまってます


「・・・・香りは過去のシーンをひきだす魔法だ。

・・・・香りは宝箱に入ったシーンをよみがえらせてくれる。」


って、以前のショートストーリーに書いたけれど、過去の思い出をひきだしてくれるツール



一番心に残っている香りはファーストフレグランスのスズランの香りかな


これもハワイのお土産だったんですねー



今は、ストーリーに書いてある通り、ボディローションにはまってます


あとはシャンプーの香りかな


すべてフローラル系です



自分が高校生の頃はアラミスつけている人は粋な男性って印象でしたねー


今、アラミスってあるのかしら???


最近は、男性のフレグランスならCHANELのアリュールオムスポーツが好き