翌朝、二日酔いだった。
「少し飲みすぎたわ」
バスタブのお湯につかりながら、あなたのことを思い出していた。
あの後、あなたは自分が帰宅するのに遠回りになるのをわかっていながら、
私をタクシーで家まで送ってくれた。
翌朝、9時台のフライトと言っていたあなたの睡眠時間が心配になり、
別々の車で帰りましょう、と提案したが、結局は、小さな空間であなたと隣り合わせに座るという誘惑に負けて、
あなたと15分ほど、タクシーの中で二人の時間を楽しんだ。
車中では、何度も唇を重ね、あなたの香りが私に移るくらい、密接した。
私は、その場面を思い出し、ふうとため息をつき、そして、バスタブのお湯にアロマオイルを数滴入れた。
アロマオイルの香りが、あなたの昨夜の心地よい香りと重なって、胸が締め付けられた。
「あなたに会いたい」と思うと同時に、昨夜の自分の行動は度を超えていなかったかどうか、心配になってきた。
私は、バスタブから出ると、バスタオルでからだを巻いたまま、あなたにメッセージを送った。
昨夜、携帯電話のメールアドレスを交換したので、
返事はわりとすぐ返してくれるはずと思いながらメッセージをうった。
>昨夜は楽しかったです。
>あちこちでご馳走になり、ありがとうございました。
>本当に素敵な時間だったのですが、ひとつ、気になってしまって・・・
>私ったら、あなたのクライアント先の近くというのに、あなたにキスをしてしまって。
>お酒に酔っていたせいにしたくはないのですが、ごめんなさい。
あなたに対する気持ちを抑えられず、キスをしたのが事実だ。
お酒の酔いは関係ない。
キスをしたこと事態は、悪いことだと思っていない。
好きな人と唇を合わせることは、自然な成り行きだと思うし。
ただ、お互いの気持ちを確かめ合うこともなく、唐突な行動に出たことを詫びようと思った。
感情の赴くままに行動に走るということは、大人の女性ゆえにわきまえるべきだった、と反省していた。
あわててバスルームから出てきたので、びしょびしょの髪の毛から水滴が滴り、肩が濡れていた。
私はバスタオルで肩の水滴を拭きながら、昨夜、あなたが私の肩を撫でてくれたことを思い出し、
その左肩を強く押さえた。
あなたの香りが、ふと、私の頭をよぎった。
香りは、鼻で感じるだけではないと思う。
香りって、五感を研ぎ澄ませると、目で、耳で、感触で、脳で感じることができると私は思っている。
あなたのあの香りは、私の頭をよぎり、そして、心で香っていた。
髪からどんどん滴る水滴に気も留めず、私は、あなたの香りを五感で感じながら、
寝室から冬の景色を見ていた。
その時、「ビンゴ!」という声が私の中でした。
そう、クリスマス後のあの冬の空を見た日。
ベッドの中で自分のぬくもりを感じながら、冬の色と音を目で楽しんだあの朝。
私は、寝室から見える木々の枯れ葉をぼんやりと見ながら、
「今年の冬は、いつもの冬と違って、何か物足りない、それは、何だろう。
あと少しで、手が届くのに、手に入らない何かがある。それは、私の冬に必要としているものなのに」
という、漠然とした思いが、冬を感じる音と交差していたのに気づいていた。
あと少しで何かに手が届くと意識していたあの頃は、リーチの状態だったのだ。
そして、今、ビンゴ。
それはあなただったのだもの。
私にはあなたが必要だったのだ。
To be continued・・・ Written by Akeming
Copyright © 2008 heartloop Co.,Ltd. All right reserved
【 路上のキス 後記 】
このショートストーリーは、長編の一部で、この前にもストーリーがあり、もちろん、この後も続きます
なので、何となく話が繋がらない部分もあるかもしれないけれど、
それがよかったりもするので、あとはご想像くださいねっ(うふっ
)
ということで、タイトルは「路上のキス」ですが、路上のキスシーンは登場しません
路上のキスシーンは、いつか!!(長くなっちゃうので)
前は、男性とのイタリアンレストランでのお食事シーンやバーでのシーン、そして路上でのキス
後は、主人公が自分の気持ちに気づいて、彼を愛しむ気持ちがどんどんわいてくるシーン
もうすぐ春がやってくる
ワタシは、夏が好きなので、冬が嫌いだったけれど、
今冬は、いろいろと学びがあり成長したせいか、冬が好きになりました
去っていく冬を後追いしたいくらい・・・
冬の始まりの12月に時を戻してほしいと思うくらい・・・
五感でいろいろ感じてください
このお話の女性のように・・・
ブログランキング登録しました!
↓ ↓ ↓



