ヒヤシンスの香り | ma*nani通信Akemingのステキな40代

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年をとるのはこわくない!
ワタクシ、Akemingは只今47歳。東大卒のりょーたと大学生の姫のワーキングママです。
美しく年齢を重ねられるよう日々努力しています。
若さの秘訣。それは気持ちから。
キレイな心を磨いて年齢を重ねるごとにパワーアップ!

けやき並木沿いの古いアパートを受け継ぎ建てられたファッションビルからちょっと入ったところに

ワタシの好きな空間は存在する。


ワタシの最近のお気に入りで、時間が空くとつい寄ってしまう女友達の家である。

ここに行くと時間を忘れておしゃべりに夢中になってしまう。

彼女は心を許せる相手ゆえ、同じ空間・時間を共有することで心地よさを感じるのだ。


彼女とは星のめぐり合わせで出会った。

なので、はじめて会った瞬間に不思議と心を許しあえた。

ワタシたちは待ち合わせの場所で挨拶を交わしたとき、

気持ちが高揚して「この出会いをお祝いしましょう」と言い合った。

そして、まだ陽が暮れる前というのにシャンパンで乾杯した。


それからというもの、ワタシは心地よい空間・時間を楽しむため彼女に会いに行く。


時間は関係なく空いた時間にふらりと寄り、飲み物とともにここの主とのおしゃべりを楽しむ。


朝はカフェオレで。

お昼はチェリーティと焼き菓子。

そして夜はワインを片手にチーズ。



ある日の午後、アフタヌーンティとおしゃべりを楽しむためにそこに向かった。

キルフェボンの焼き菓子を手土産にインターホーンで101号室を呼び出す。


ドアを開けた瞬間、いい香りがワタシの鼻をくすぐった。


香りの正体はダイニングテーブルに飾られたヒアシンスだった。


ヒアシンスといえば、紫を思い浮かべるが、センスのよい花瓶に収まったその香りのいい花は白いヒアシンス。



 


ヒアシンスの名は、ギリシャ神話「ヒアキントス」の伝説にちなむ。

スポーツ万能の美少年・ヒアキントスは、太陽神アポロンと円盤投げを楽しんでいた。
それを嫉妬した風の神・ゼフュロスが意地悪な風を吹かせて、アポロンの投げた円盤をヒアキントスに激突させた。
ヒアキントスの体から流れ出た 血に染まった草の中から1本の花が咲いたのがヒヤシンスだったとのこと。
このエピソードから花言葉は、「悲しみを超えた愛」となっている。


ヒアシンスは 「風信子」「飛信子」という和名がある。

香りが風によって運ばれるさまを表しているのだろうか。


その日はヒヤシンスの香るお部屋で何度もティをおかわりし、おしゃべりが続いた。





そして翌日、昨日のアフタヌーンティで話足りなかったワタシは夕方行きます、というメールを入れた。


約束の時間間際、ワタシはマーケットでお買い物をしていた。


そのとき携帯に彼女からの着信が入った。

「今夜はワインを楽しみながら簡単なお食事をいっしょに作って食べましょう」


ワタシはその提案を喜んで受け入れた。

そして、彼女の指示通りの品物をカゴの中に収めた。


紀ノ国屋の紙袋を両手に持ち、暗くなった道を急いだ。


玄関ドアを開けると、昨日と同じ香りが部屋を包み込んでいた。


「昨日より香りがするでしょ」

彼女は白いヒヤシンスを指した。


昨日より花が開いたのだろう。


ワタシはヒアシンスに顔を寄せ、清楚な香りを楽しみながら、

ここに来る前に表通りを歩きながら経験した不思議な思いを共有してもらおうと思った。


「ねぇ、さっき、デジャヴを経験したわ。

彼がダブルのスーツを着て同じ目でワタシを見つめている場面が頭をよぎったのよ。

彼がダブルのスーツを着るわけがないから時代は今ではないことは確か。

ワタシはその頃も彼が好きだった」


ヒアシンスの香りのする家の主はワインのコルクをあけながら微笑んだ。


「フラッシュバックのような感覚って時々あるわね。

きっと彼とは前世で会っているのよ」


ワタシは続けた。


「男性の『なつかしい目』にひかれるわ。

どこかで会ったことのある目。

また会いたいな、と思うのはその人の目だったりするのよね。

今日のフラッシュバックで見た彼の目はなつかしい目だった」


彼女は黙ってワインをついだ。

何も言わなかったけれど、同じ思いを共有してくれているのがわかった。


こういう女友達はワタシにとって・・・いえ、女性にとって必要だと思う。


思いを共有してくれるだけの人。


男性は相談すると結論を出したがる人種である。


しかし女性は結論を出されたくないのだ。

ただ、思いを共有してくれるだけでいいのである。


それを理解できるからこそ、女性同士のおしゃべりは長いのだろう。


ワインの酔いのせいか、その日のおしゃべりはいつもより長く続いた。

ヒヤシンスの香りとともに、二人の弾む声がダイニングルームいっぱいに響いていた。 




【あとがき】


いつものAkemingと違う語り口はいかがだったでしょう。


これは本当にあった話です、すべて。


女友達はワタシのブログに登場する真紀さん です。


一昨日、ティタイムをごいっしょし、昨日の晩、手作りのお料理とワインをごいっしょしました。



昼と夜の真紀さん宅の顔、それぞれのダイニングテーブルをたまたま写真に撮ったので
この2枚の写真をブログの記事として効果的に紹介したいと思いました。

今回、こういう語り口にしたのは、ワタシのステキな女友達をここで紹介するためです。

ちょっと真紀さんチックにワタシも書いてみました。

(真紀さん、どう?)


真紀さんは将来、物書きになるとワタシは見ています。


真紀さんの小説はワタシの好きな江國香織さんに似た雰囲気。

真紀さんの場合、ご自身の体験による都会に住むおしゃれな女性のエッセンスが加わっているので

都会に住むワタシから見たら、とても親近感があり、リアリティあふれる話ばかりです。

こんなシーン、あるといいな、

でももしかしたらこんなシーン、経験できるかも、いや、似たような経験しているかも、

なんてね。


ワタシは真紀さんの書く話が好き。

脚本レベルの作品まで見せていただき、また、ブログではうっとりするような恋愛小説を短編で披露。


今後は、ネット誌にて展開する予定だそうです。


よかったら彼女のブログ の短編小説をご覧下さいね。