その朝、事務所に着くと、その人一人がいた。


時間帯が早かったせいか、いつもいるスタッフ達の姿がなかった。


なんとなく寒々とした気配を感じた。


その人は、いつもの優しい笑顔で


「京都へ行こう」



と言った。




久々に聞く、懐かしい響きに、私の生まれ故郷への哀愁が、込み上げできた。



最後の仕事が京都なのか・・


と感慨が溢れた


サークルの演劇祭の為の、創作劇を書く📝為に、部長であったその人と、よくいろんな地を訪れたものだった〜〜


あの頃は、優勝🏆連覇を目指して、二人とも燃えていた


ふと、そんな懐かしい気分がオーバーラップする。




何かも忘れて、今日1日、楽しもう


きっと、今に、意味がある



私はそう割り切った



「退職して、本を出版したよね、本屋で見つけたとき、驚いたよ。シナリオ本を読んだのは、シェクスピア以来だよ」📙




唐突にその人はそんな事を言った。


「えっ?買って下さっていたんですか?」


「当たり前だよ、知り合い皆んなに配ったよ。あれ面白かった。」


「初めて聞いた」



「そりゃそうだよ、初めて言ったんだから」


と、笑いながら



「そうゆうところが、君らしいんだよな」


「天然宇宙人👽?」


「天然宇宙人👽・・ともお別れか・・」


「えっ❓」


「今日は仕事じゃないんだ、君と出会った場所、京都へ最後にどうしても、行きたかった。そこにいろんな思い出を、降ろして
幕を閉じようと思ったんだ。故郷に帰る事になった。親父があまり良くないんだ。」



意表を突かれた思いがした



「仕事、助けてくれてありがとう。評判良かったよ」



「とんでもないです。私こそどれだけ、お世話になった事か、本当に、本当に、ありがとうございます」


「彼、いい奴だなぁ、お似合いだよ」



「はい・・」



複雑な思いの中、時が勝手にクライマックスの緞帳を降ろし始めた。


その1日を、憧れだったその人と、懐かしの京都で、重ねた年月を、重ねた想い出を



一枚一枚剥がしていくように、黙々と、その時々の場所を、辿った。


感涙が時を超えて、心を震わせる。


京都大原三千院の、静寂の中で、佇んだ時


その人は黙って私を抱きしめた。



どうしょうもない切なさと、遣る瀬ない温もりが、ヒラヒラと舞い散る、木の葉🍃と重なった   🍃    
                              🍃                      
                                         🍃      


                 🍃
🍃




 


                         つづく