きららねぇさん、手術のあとの麻酔から覚めたときの話の続き、まだ教えてもらってへんで。なんや、続きが聞きたいんか？しゃあないなぁ。あんなぁ、麻酔ってな、手術中の意識も痛みも感じさせへんようにするためにやるんやて。せやけど、麻酔で寝てるときの意識が無いんやったら、便意ってどうなるのか心配やないか？垂れ流しやったら恥ずかしいやんか。んで聞いてみたんや。そしたら、腸の動きも止まってしまうから麻酔中は大丈夫なんやて！安心したわ！
ねぇさん！そんなん心配してんか？普通は、もしも麻酔から目覚めへんかったら、どうなるんやろって心配する人のほうが多いと思うで。ほんま、可笑しいな、きららねぇさんは。せやけど、手術終わったら手術室から治療室ちゅうとこに移って、部屋に戻る準備が出来たら、強制的に麻酔から目覚めさせるようにするねん。で、意識反応があったら、直ぐに気管支に入れてた管を抜いて自己呼吸させてるって、手術前に説明があったしな。
せやけど、そんな説明聞いても覚えてへんやろ？それがやな、結構、説明されたことは覚えてんや。ほんでな、気管支から管が抜かれるときのことは解らへんのやけど、ほんの0.何秒くらいの間に夢からすぅ～と引っ張られるように意識が戻って来た…と思った途端、身体の硬直も緩んで思いっきり伸びをしたくなったって身体を動かしたんや。けやけど、右側の身体はガッチガッチで全然動かへんねん。『あ、そうか、手術やったんや。』って思い出して、なんか納得してな。何人かの先生や看護師さんが動いてる声と気配を感じながら、もぞって身体を動かしたら、腸から空気が出ていったんや。『いきなりオナラか？せやけど、気持ちイイかも？』って思ってたら、誰かが「腸は動いてます！」って報告したんやで！ビックリしたんは、私のほうや。『え？音はせえへんかったで！腸には何も器具は付いてへんみたいやから、なんで解ったんやろ？まさか、匂いは…いや、多分、無いはずや！』
なんで解ったんやろな？知りたいなぁ。ほんまは、匂いがあったんちゃうか？したろう は、失礼ね奴やな、やっぱり！面白がってんやろぉ。
そりや、知りたいやんかあ。もしかしてら、聴診器を当ててたとか？退院前に聞いておけば良かったなぁ、なんや心残りやわ。
まぁしゃあないか。そやな、諦めて・・・っと。
そういえば、乳がん執刀医の女医さんが、「100CC位の失血で済んだわ。大丈夫？」って、手術は大成功よって声掛けてくれたんや。100CCって言われても、大丈夫って聞かれても困る状態やけど、とりあえず、なんか返事しようと思ったんや。左手は点滴とかの管がついてるから動かせへん。右肘から先は動かせたから、手のひらをバタバタさせて「大丈夫」って合図送ったんや。
まぁ、そやな。どう答えて良いか困るわな。100CCが少ないのか多いのかもイメージ湧かへんし、冗談で『あきまへん！』とも言えへんしな。それとな、手術前まで名前を覚えられへんかった呼吸器外科の若い先生には、振り絞って声を出して、ちゃんと名前を呼んであげたわ。聞こえたかは解らへんけど、手術終わったら、ちゃんと名前を呼んであげようって決めててたんや。
なんか、ねぇさん、変なところ律儀やなぁ。まぁそんなやり取りが、あっちゅう間に起こって、ベッドに寝かされたまま、エレベーターに乗ってゴトゴトと自分の部屋に戻った気配がして、ベッドの周りに器具がセッティングされる音が聞こえたわ。それとなぁ、全身麻酔中は自分で身体を動かせへんからエコノミー症候群に掛かりやすいからって、ドレナージちゅう器具を両足にはめられたんや。足を圧迫させて血の巡りを良くさせるんやけど、これって、痩身器具でエステでも使われるから、嬉しいような微妙な感じやったわ。せやけど、ドレナージは熱くてなぁ、早うに脱ぎたくなったわ。
へえー、エコノミー症候群に掛かりやすいんか？理屈としたら、解るけど、初めて聞いたなぁ。せやけど、エステも連想するなんて、きららねぇさんらしいなぁ。それとな、次の朝、自分で歩いてトイレに行くまでは、尿管が付いてるから心配はせんでもええのやけど、私が麻酔で寝てる間に尿管を誰かが付けたんやで。そんなときの自分の姿を想像したら、恥ずかしかったわ。せやけど、うまい具合に尿が出てベッド脇のプラスチック容器に溜まっていくみたいやったわ。なんせ麻酔から覚めたとゆうても、痛み止め用の麻酔は入ってるし、悪い夢の中みたいやしな。
その尿管って、想像したら、なんや、恥ずかしいなぁ。それとな、三つの手術自体は7時間ちょっとだったらしいけど、朝の8時20分に部屋出て、手術終わって、戻って来たんが19時前や。ちゅうことは、11時間掛かってるねん。実際の手術以外の時間は、麻酔で固まってる身体の向きを変えたり、器具を取付けたりしてるねんて。そんなことに、そんなに時間が掛かるなんてことは、計算外やったわ。二人部屋の同室の女性も私がなかなか戻って来へんから、心配してたみたいやし。まぁ、そら、心配するわなぁ。
実際に、切ったり取り出したり、塗ったりする印象はあるけど、それ以外に何をしてるか知らへんもんな。せやけど、ほんまに大勢の人が関わってくやたんやなって思ったら、みんなにお礼が言いたかったわ。今はこうやって退院して家に居られんのも、自分の身体が手術に耐えてくれたお陰もあるけど、やっぱり、先生や看護師さんたちのお陰やわ！
そうかあ！ねぇさんの言う通りやな！これで、とりあえず今日のとこは、ここまでや。またな、したろう おやすみ
おおきに！ねぇさん。まだ沢山話したいことあるやろうから、またまってるで！ほな、おやすみ、きららねぇさん