妄想日記の6です。
火曜日の深夜2時30分・・・。
この時間になると彼女がやってくる・・・。
店の前にタクシーが止まる音・・・。
男と別れのキスをして…手を振ってタクシーを見送る・・・。
車が見えなくなると・・・くるりと振り返り・・・
店の扉をあける・・・。
「ただいま~マスター・・・。」
「おかえり・・・えりちゃん」
「きょうは 鯛茶漬けにしたわよ~」
「ありがと~ マスター あいしてる」
マスターはまったく女に興味が無いのに・・・
彼女にだけは優しい・・・。
彼女のピアノの才能に惚れてるのだ・・・。
彼女に夜食を食べさせながら・・・
ジャズ談義をするのが楽しみなのだ・・・。
にこにこ屈託なく笑う 笑顔のかわいい人・・・。
僕は…そんな彼女に惚れていた・・・一方的に。
彼女は銀座でホステスをしている・・・。
ピアノを弾きに行っていたのだが・・・この不景気だ。
人手不足でヘルプにはいるようになり・・・
そのうちすっかりホステスになってしまった。
彼女は音大進学を断念した・・・。
母親一人に育ててもらった…これ以上の無理は言えなかった。
アメリカで本場のジャズにふれたい・・・。
それが夢で…18から必死で働いて…
留学費用と向こうでの生活費を貯金していた・・・。
ホステスになったのはそのためだ・・・。
彼女には 好きな人がいた。
お店のお得意様の医師会の若い外科医だ・・・。
僕も何度かタクシーの彼を見た…かなりのイケメンだ。
火曜日は翌日休みの彼とアフターができるのだ・・・。
彼に抱かれて…タクシーに乗って…最後にここにくるのだ。
僕が告白しても かなうわけがなかった・・・。
だから…いつも遠くから眺めてるだけだった・・・。
土曜日の深夜の店番はいつも 僕一人だ・・・。
マスターは12時になると・…恋人に会いに行ってしまう。
常連さんはよく知っていて…ほとんど12時前に帰ってしまう。
でも…今日は突然彼女がやってきた・・・。
「ただいま~マスター・・・」
「今日はマスターいないよ・・・」
「いいの・・・飲みに来ただけだから・・・」
バーボンのロックを何杯も飲んだ・・・。
なんだか機嫌が悪いのか…ほとんど無言だった。
そして・・・あっという間に帰って行った・・・。
彼女は時々店の帰り・・・隣の公園のベンチで泣いていた・・・。
星を見上げるふりをして 上をむいて泣いていた・・・。
負けず嫌いな彼女らしい泣き方だ・・・。
もしかしたら…今日も泣いてるのか・・・?
店を片づけて…外に様子を見に行った・・・。
やっぱり・・・。
ベンチで泣きながら寝ている彼女がいた・・・。
僕はあわてて彼女を抱きかかえて…連れ帰った・・・。
お店のソファーまで彼女を運んだ・・・。
タオルで 涙でぐちゃぐちゃの顔をふいてあげた・・・。
すると・・・彼女は気がついて
「お水・・・。ちょうだい・・・」
僕がコップにお水を入れてもっていくと・・・一口飲んで
僕に抱きついてきた・・・。
そして僕の耳元で・・・
「飲ませて…私に…キスしながら・・・」
と彼女が言った・・・。
ぼくが・・・とまどっていると・・・
彼女は・・・もう一口水を飲んだ…。
「こうするともっとおいしいの…。」
彼女はもう一口含むと 僕にキスをした・・・。
彼女から…僕のところへしたたりおちる・・・。
僕はもう我慢できなくなった・・・。
(つづく)





