題名に「おしゃれ」と記してしまったが、他人さまから見た自分が、果たしておしゃれかどうかは不明である。


ものの、自分なりにはそれなりに(それ相当な)、拘りを持って『装う』ということに向き合っている。

 

自分は洋服好きだ。

好きが高じて、どうにか自分で作れないものかと思い、服飾専門学校にまで行ってしまった。今となっては、滅多に作らないのだが。

 

 

実家の母は、アタシなんかと比べ物にならぬくらい 洋服好きである。

母の部屋は、長年集めた洋服や小物で埋め尽くされ、楽屋か衣裳部屋のような様を呈している。

 

服飾の専門学校時代、かなちゃんという子と仲良くしていた。彼女は彼女のお母さんと 着物をほといて洋服の仕立てをする仕事をしていた。お客さん層は、アタシたちの母親世代。

「わたしたちの母くらいの年齢の人たちは、少女時代の辛い戦争で思う様にオシャレが出来なかったから、フリルやリボンなんかのかわいいものに今でもずっと憧れを持っているのよ。」

そう言いながら、小さなふっくらとしたかわいいリボンを作って、ブラウスの前立てに いくつも縫い付けていた。

 

どおりで、母もやたらと幅の広いスカートをたくしあげて、プリンセスのように階段を登り降りしたり、

襟元にたくさん花のついているカットソーの中に、顔面を埋もれさせて自転車に乗っていたりするわけだ。

 

近頃じゃフリフリが好きすぎて、どこで仕入れて来たのか(まあまあ趣味のいい)幅広の綿レースを、手持ちの服やバッグに縫い付けて、足し算のおしゃれを楽しんでいる。

 

シンプルとか、ミニマムなんて、くそ食らえと言ったところだろうか。

 

 

それでも数年前まで、一緒に梅田なんかに買い物に行くと、アタシなんかよりずっとシャレた店を知っていたり、店員さんなんかとも顔見知りだったりした。

思えば、阪急ファイブやアメリカ村の古着屋に連れて行ってくれたのも母である。

 

6~7年ほど前の夏、綿のニットを肩に掛ける、石田純一が一昔前にやってたスタイルがちょっとリバイバルしたことがあった。

アタシもその流行に倣って、カーディガンを肩に巻き付け、母の前を横切った。

するとそんなアタシを見咎めて、「アンタなに!その格好!」と、アナ·ウィンターいや、ウィルミナ·スレイター張りの怒声を浴びせてきた。

 

「そうそう、今また流行りのディレクター巻♪。」と、呑気に答えるアタシに

 

「プロデューサーよ!。」

 

そうなのだ、いくら独自路線の装いをしていても、ファッション用語もトレンドも、取り敢えずおさえている。

 

「そんなことより、そんな薄手のメリヤスワンピースに、、、、ナニ?!、そのベルト!」

 

アタシは当時のトレンドを押さえたつもりの、細ベルトを長く垂らして巻いていた。

 

そして、母が怒りに震える手で開けた 洋服ダンスの引き出しには、蛇がとぐろを巻くように、無数のベルトが絡まっていた。

その中から、太いサッシュベルトを取り出し、アタシのウエストに巻き付けた。

 

悔しいことに、この方がずっとスタイル良く、垢抜けて見える。

 

 母はずっとアタシのオシャレ番長だ。

 

 

誠に不謹慎ではあるが、我が母なので許してもらう前提で言うのだが、

母があの世に旅立った折には、いの一番で母の楽屋に駆けつけ、以下のアイテムを頂戴しようと考えている。

 
 

あ、バックルが、サウンドオブミュージックのセピア色の写真になっている、幅広(8㎝くらい)のゴムベルトを、件の引き出しの中に見つけたことがあった。

あれもゴムが伸びていなかったら戴こう。