母家から少し歩いた場所に、はなれがある。
雨の日になると友だちと遊ぶことも課外活動もないので、
少年時分、はなれの応接室で過ごした。
書棚に並べられてある事典や文学書等を読むようにと、
父親から課題を与えられていたのが理由である。
はじめの頃は全集への抵抗感著しいあまり、
さして積極的に取り組むこともなかったが、
その修辞法に魅了されるようになり、
わからない漢字や意味を辞典で調べながら読み進めていった。
特に近代文学を代表する作品は、
その物語に入り込む感覚にまで浸った。
ここで繰り広げられる物語(読書)を通じて、
「直接体験」「間接体験」「疑似体験」を未来へ向けての
『生きる知恵』として味わうことができた。
茶道・華道などの習い事は、
生き方の「道」を学ぶ、人としての在り方や
無心の美を身につける位置づけであり、
歴史は史実整合と未知への教訓になる。
また、日本史や世界史からは、
国家は総じて「創造と滅亡」を繰り返しており、
中国史から知得したのは、
偉人や知識人達の躍動によって国家が創造され、
中央政府や役人の退廃や乱れで国家が崩壊することである。
文学から得たものも少なくなく、いつの時代にも、
善人と悪人、成功する人失敗する人が存在し、
それぞれ人との出会いで運命を変えられていくという、
関数と方程式のように人生が導かれていく。
この時期の読書によって、
その後の人生を予感することができたとどうじに
多少なりとも生き方のしるべになったように感じている。
雨天時の読書は、小学4年から中学2年まで続いた。
◎応接室にあったもの
現代文学全集
世界文学全集
短歌撰集
俳句撰集
裏千家茶道関係書
日本の歴史全巻
中国の歴史全巻
世界の歴史全巻
