一般質問~パチンコ店へ対する規制を求めて~ | あけどのBlog

一般質問~パチンコ店へ対する規制を求めて~

◯明ヶ戸亮太議員 議長より発言のお許しをいただきましたので、通告してありますパチンコ店に対する規制について一般質問を行います。
 七月二十 日に警察庁生活安全局保安課より、「ぱちんこ営業における広告、宣伝等の適正化の徹底について」と題された通知文が公開されました。この通知は、メディア 等で大々的に取り扱われることはありませんでしたが、今でもネットニュース等の報道では、通知文を確認することができます。
 この通知文の中では、現在のパチンコの問題点として、宣伝や広告等のキャッチコピーの規制を強く表現しておりますが、全文を読むと、宣伝、表現だけではなく、正常な環境保全を目的とする指摘や、強い射幸心を刺激する広告に対しての警告も含まれております。
  精神医学において、病的賭博という言葉があります。俗に言うところのギャンブル依存症です。射幸心を強く刺激するパチンコは脳内麻薬の分泌が医学的にも確 認されており、パチンコ依存症に対し専門的に治療を施している病院もあるほど、医学的観点からもパチンコ依存症の危険性は認知されているものであります。
  公益財団法人日本生産性本部の発行しております「レジャー白書」では、パチンコの一人当たりの年間の消費額は平成元年で約五十万円だったものに対し、平成 十六年の時点で百六十万円まで膨らみ続けております。そして、日本遊技関連事業協会の調べでは、平成十七年のパチンコ人口は約千四百五十万人であり、福岡 県のメンタルクリニックの調べでは、同年のパチンコ依存症は約二百万人、約一四%と示しております。この数字を最新の二十二年のパチンコ人口千六百七十万 人に当てはめると、現在のパチンコ依存症の患者数は約二百三十四万人、日本国人口の約一・九%にパチンコ依存症の疑いがあるということです。このことから も今回、警察庁が規制強化ともとれる通知文を公開したことは英断と評したいと思います。
 そこで、一回目の質問です。この「ぱちんこ営業における 広告、宣伝等の適正化の徹底について」の通知文が公開されたことにより、本市内で行われていた著しく射幸心を刺激するような過剰な広告・宣伝は抑えること ができたのか、また本市として把握のできる影響はあったのかお伺いいたします。
 続きまして、パチンコ依存症に陥ってしまった患者は、本人でも自 覚のないままパチンコにのめり込んでしまい、その結果、自制心が働かず、次から次へとお金をつぎ込んでしまう、そのような症状が多く見受けられるようであ ります。依存症とは、個人の常識やモラルとは乖離したところに原因があるため、本人が良識を持つことが必要でありますが、本人にその良識がないまま放置し てしまうと、その先に待つのは、多重債務やテレビ等で報道される傷害事件などを引き起こしてしまう可能性があり、その事例は全国的にも多発しております。
  ことしも三重県では、パチンコに夢中になった母親が真夏の車内に乳幼児を置き去りにし、その結果熱中症にかかり、死に至る痛ましい事件が起こり、このよう な事件は毎年のように報道され、後を絶ちません。ほかにも大阪市では二〇〇九年、借金に借金を重ね自暴自棄になった男がパチンコ店に放火、殺人に至ったり と、また埼玉県では二〇一〇年、八潮市で生活保護受給者がパチンコで金銭に困り、店内の客をナイフで刺殺するという事件もありました。
 パチンコといえば、一昔前は男の娯楽施設のようなイメージがありましたが、最近のパチンコは広告やその演出、手法を明るくしたこともあり、女性の客層もふえてきているそうで、今では客層の三分の一程度が女性であり、その大半が専業主婦であると言われております。
  NPO等の民間事業所では、多数のギャンブル依存症の相談所があります。その調べでは、ギャンブル経験の少ない人ほど依存症に陥りやすく、生活費を使い込 んだ結果、子供の給食費にまで手をかけてしまうという事例が相談内容として多く寄せられているそうです。このように全国的に多発するパチンコに関する問題 は絶えることはありません。
 そこで、二点目の質問です。本市で、これらパチンコに関する事件やトラブル等が報告された事例はあるのでしょうか。刑法犯認知件数等の推移をお伺いします。
  三点目に、近年パチンコ店は全国的に店舗数が減少傾向にありますが、ここ数年を見ると、一つ一つの店舗の大型化が進むことで収容スペースは増幅傾向にあ り、来場者数の総計を見れば、客数が増幅している可能性は大いに考えられます。それらの数字を確認するためにも、全国、また市内パチンコ店とパチンコ台数 の推移をお伺いいたしまして、一回目の質問といたします。


  (木島宣之市民部長登壇)


◯木島宣之市民部長 御答弁申し上げます。
 まずパチンコホールの広告・宣伝に対し、規制の運用 方針の見直しを通知したが、その影響と効果についてでございますが、インターネットで調査した結果によりますと、警察庁生活安全局保安課から全国のパチン コ営業の関係者各位あてに平成二十三年六月二十二日付にて、「ぱちんこ営業における広告、宣伝等について」が通知され、さらに平成二十四年七月二十日に 「ぱちんこ営業における広告、宣伝等の適正化の徹底について」が通知されました。
 平成二十四年七月二十日付の通知の内容を見ますと、旧通知後に も依然として隠語のみならず、さまざまな脱法的表現により、善良の風俗及び清浄な風俗環境を害するおそれのある広告、宣伝等を行おうとするパチンコ営業者 等が存在している状況にあるとのことであり、このため警察庁では改めて広告、宣伝等に関する規制の運用方針を整理し、各都道府県警察に厳正な指導及び取り 締まりの徹底を示達した上、営業者等に対してもパチンコ営業における広告、宣伝等の適正化を徹底するよう通知したという内容でありました。
 本年七月に通知が出されたばかりですので、その効果や影響につきましては本市といたしましてまだ認識しておりませんので、御理解賜りたいと思います。
  次に、市内におけるパチンコ店で発生した刑法犯認知件数についてでございますが、川越警察署に確認いたましたところ、統計管理上パチンコ店と麻雀店との合 算になってしまいますが、平成二十二年が五十一件、平成二十三年が四十七件、本年一月から八月末までで三十八件とのことでございます。種類別では置き引き 等の窃盗犯が大半であり、内容といたしましては、平成二十二年から本年八月末までの窃盗犯が百十九件、暴行が三件、傷害が四件などとなっております。
 次に、全国のパチンコ店の推移でございますが、社団法人日本遊技関連事業協会のホームページによりますと、平成七年に一万七千六百三十一店から平成二十三年の一万一千三百九十二店と年々減少しております。
 次に、パチンコ機の台数につきましては、平成八年には約三百九十万台でございましたが、平成十八年に約二百九十三万台、直近では平成二十一年約三百十五万台、平成二十二年約三百十六万台、平成二十三年約三百十万台でございます。
 本市の現状につきましては、川越警察署によりますと、平成二十四年八月末現在、店舗数が三十三店舗、遊技台のうちパチンコ機が七千五百八十八台、パチスロ機が三千四百五十四台で合計一万一千四十二台となっております。以上でございます。



  (明ヶ戸亮太議員登壇)

◯明ヶ戸亮太議員 御答弁をいただきました。
 運用方針の見直しが通知されてからまだ日も浅いこ ともあり、本市では現時点においての影響を認識されていないことを確認させていただきました。また、犯罪等の件数も御答弁いただきましたが、パチンコ店に 限定した件数は警察署でも管理がなされていないとありますが、麻雀店との合算では、傷害事件、また窃盗などの軽犯罪が毎年五十件前後起きているという事実 が見えてまいりました。
 パチンコ店は、皆さん御存じのとおり、賭博としての許可はおりておりません。そのため、パチンコ玉と現金の交換を行うこ とは禁止されており、もしそのような行為を行えば、刑法百八十五条賭博罪に抵触することとなります。しかし、以前のようにパチンコでお菓子やたばこなどの 景品を持って帰るという話は今ではすっかり聞かなくなり、かわりに耳にするのは、「五万円負けた」や「十万円買った」など三店方式による金銭的な話ばかり です。ここに時代の流れとともに、パチンコに対する市民の接し方が変わってきたことが浮き彫りになっております。
 私は、今まではパチンコをやっ たことはないのですが、今回の一般質問に当たり、初めて市内のパチンコ店に行ってみました。店内の様子に関してよしあしを述べるのは主観によるものなの で、この場でそのような感想を述べることは控えたいと思いますが、二十代と思わしき若者が平日の昼間からパチンコに夢中になっていたり、また夜には駐輪場 に子供用のかごを設置した自転車がたくさん並んでいました。そのような光景には疑問を感じざるを得ません。
 一回目の質問でも少し触れましたが、パチンコ依存症には表面化される暴力的な事件を引き起こしてしまう危険性だけではなく、債務問題にまで自分自身を追い込んでしまう可能性も含んでおります。
  先ほどの御答弁で、パチンコの台数は平成十八年まで減少傾向にあり、その後、若干上昇傾向を見せた後、現在は横ばいであるそうですが、一回目の質問でも申 し上げましたとおり、一人当たりの消費額は上昇傾向にある調査結果を勘案しますと、今では一人の客が娯楽として短時間パチンコを楽しむのではなく、長時間 パチンコに没頭していることが見てとれます。特に今はパチンコ店内に上限つきのATMが設置されていることもあり、手持ちの資金だけではなく、その資金が 不足したときにちょっと手を伸ばせば銀行口座の中身までパチンコ代につぎ込むことが可能である環境が整っており、この環境が多重債務を生む一因とも言える のではないでしょうか。
 先ほどの御答弁の中で、本市が把握できない数字が幾つかありましたが、多重債務問題は事件・トラブル等に比べ、さらに実態の把握が困難なものであります。二回目の質問では、この多重債務に関する質問をいたします。
 一点目に、本市では、多重債務の相談窓口を設けております。本市のホームページでも、本日この多重債務窓口の情報が更新されておりましたが、この相談窓口を開設した年度とその開設までの経緯をお伺いします。
 二点目に、これまでの債務相談の中でギャンブルからなる債務の相談はあるのか、またあったとすれば何件ほどあったのかをお伺いしまして、二回目といたします。


  (木島宣之市民部長登壇)

◯木島宣之市民部長 御答弁申し上げます。
 多重債務相談の開設の経緯とギャンブルに関する相談件数についてでございます。
 多重債務問題は、債務者に自殺を引き起こすなど深刻な社会問題となり、住民に一番身近である地方自治体がこの問題について行政の課題としてとらえ、多重債務相談を設置して対応することが急務となっております。
  本市における多重債務相談につきましては、これまでは弁護士による法律相談を御利用していただいておりましたが、平成二十二年十月に川越市多重債務問題対 策ネットワークを立ち上げ、多重債務相談窓口を開設いたしました。現在は、庁内の関係部署と連携を図り、多重債務に陥った方を弁護士や司法書士に確実につ なげるよう対応しているところでございます。
 多重債務相談件数につきましては、平成二十二年度三十七件、平成二十三年度二十七件ございました。その中で、ギャンブルという理由での相談はありませんでしたが、遊興費を理由とした相談が平成二十二年度に三件、平成二十三年度に一件ございました。以上でございます。

 

 (明ヶ戸亮太議員登壇)

◯明ヶ戸亮太議員 多重債務の相談に関する質問の御答弁をいただきました。
 一回目の質問では、 パチンコに関する事件やトラブルは他業種との合算しか示されず、市内のパチンコ店と台数に関しては二十四年度しか把握をしておらず、過去からの推移を示し ていただくことはできませんでした。これらのことからも、パチンコに対する危険性を行政全体が軽視をしているのではないかと私は感じます。市民の方がパチ ンコ依存症に対する危険性を軽視し、声が上がらないからといって行政が同じ目線で行動していては、市政のあり方に疑問を感じざるを得ません。
 多 重債務からなる金銭トラブルによる事件もそうでありますが、駐車場の乳幼児の置き去り事件等、皆さん、お子さんやまたお孫さんで考えてみてください。夏場 の車の中というものは、シートの上でも五十度から六十度を超えると言われています。その中で、小さなお子さんが泣いても叫んでも助けに来てくれないような 状況というものを皆さんに考えていただいたときに、そのような事件を他市の一例や全国的な一つであるというようなとらえ方は、余りにも軽率ではないでしょ うか。
 対岸の火事と傍観をしていることは危機感だけではなく想像力の欠如であり、市民の良好な生活及び青少年の健全育成を守るために、パチンコ依存症に対する策を講じることに早過ぎるということはありません。
  大阪狭山市では、未来の子供たちによりよい生活環境を残すために、また青少年の健全な育成に寄与することを目標とした環境保全条例に基づき、パチンコ店等 に厳しい条例を制定しております。市には、先見の明を持って市民の生活と市の明るい未来を守るべき責務があるのではないでしょうか。
 現在は学 校、ここで言います学校とは、学校教育法で示す学校の大学以外を指します、その学校から百メートル以内の距離にパチンコ店の設置を行うことができません が、子供の健全育成の観点からすれば、学校そのものの距離だけではなく、通学路もまた考慮すべきであり、市条例として子供の健全育成を願うためにも、通学 路両側百メートルも規制区域に含める必要性を感じますが、本市は大阪狭山市のこの条例をどうお考えかお伺いいたします。
 そして、既存施設へはそ の高い射幸性のパチンコ台による依存症患者の増加、それに伴う乳幼児の車内放置事故などさまざまな問題が存在していることにかんがみて、警鐘を鳴らす意味 で、また歯どめをかけるためにも、市条例による法定外税として設置台数に比例したパチンコ・パチスロ税の導入を行い、その税収からギャンブル依存症の方々 に対して新たな救済措置体制を整備することもまた川越市安全・安心のまちづくりの一環ではないでしょうか。
 一回目の質問で、人口比率の一・九%にパチンコ依存症の疑いがあることを全国的な数字から提示をさせていただきました。その比率をここ川越市に反映させますと、約三十四万六千人の一・九%、約六千五百人にその危険性が潜んでいることをこの場で述べさせていただきます。
 さまざまな痛ましい事件を未然に防止するためには、行政の強いリーダーシップが必要であり、本市にはその姿勢をぜひ明確にしていただきたいことを申し上げまして、私からの一般質問といたします。



  (木島宣之市民部長登壇)

◯木島宣之市民部長 御答弁申し上げます。
 パチンコ店への規制についての本市の考え方でござい ますが、パチンコ店の営業は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる風営法及びそれに関連した県の条例に基づく県公安委員会の許可事 項となっており、具体的には、県が定める条例において制限地域の指定、営業時間の制限等について必要な事項が定められております。
 しかしながら、今後青少年の健全育成などの観点から、周辺環境に配慮できるよう、大阪狭山市の条例などを参考に、業界とも協力し、市としてできることを調査研究してまいりたいと考えております。以上でございます。