自治基本条例の明と暗
【自治基本条例とは】
街づくりに関する理念や基本ルールなどを定めた、自治体における最高の条例。地方行政への市民参加を促すためのもので、北海道ニセコ町の「ニセコ町づくり基本条例」(2001年)を最初に、その後多くの自治体が推進しており、(※名称は自治体によって、市民参画条例・街づくり条例など様々)川越市に関しては、来年度中の制定を目指している。
この条例は、自治体により多少の違いはあるものの、「市民も積極的に行政への参加を!」という共通したコンセプトがあります。
僕は、これには賛成ですし、推進していくべきと思っています。
しかし、いかにも市民目線な条例故、多くの矛盾や問題点が隠れてしまうのも実状です。
また、要となる「行政参加」も、誤った解釈をされている時があるように思います。
そもそも「市民の行政参加」とは、選挙によって代表者を選び、その代表者を通して行政に意見できる仕組み(二元代表制)になっていますが、自治基本条例では、市民の直接参加となり、二元代表制を根底から覆してしまうことになります。
また、条例の中には、行政に参加する「市民」の定義自体曖昧になっているものも数多くあり、最大の問題点は、その市町村内に住居が無くても、仕事等でその土地との関わりさえあれば、『市民』として認められることです。
その一例として、こちらの「所沢市自治基本条例 条文」
をご覧下さい。
『市民等』の定義について、「市外在住者で市内で働く者、及び学ぶ者、事業者及び地域コミュニティ」(第1章、第3条)とし、その市民等が、容易に行政へ参加できる旨も記されています(第6章、第7章)。
つまり、外国人や自称活動家など、名目は何であれ「私は市民だ」と言えば、住民税を払っていなくても参加できてしまうのです。
住民税を納めている住民と、納めていない他地区住民を同等に扱い、行政を任せてしまうのは、行政軽視と言うしかありません。
さらには、「第1章、第2条」から、他の条例の運用、解釈、制定の廃止等がある時には、この条例を基にし、調整していかねばならないのです。
元々、根本的な「理念」や「基本ルール」を定める条例ですから、何をするにしても、その依存度は高いものになるのです。
因みに、このような条例は、既に埼玉県内17市町村で制定されています(H22年3月調べ)。
冒頭に書きましたが、川越市は来年度の制定を目標に進んでいます。
これが、本当に川越の為になる条例なのかどうか、厳しい目でしっかりとチェックをしていかなくはいけません!