初夢やウサギを伴にアリス狩り
影ふかく刻みて冬の散歩道
風寒し今日は寂しき遊具かな
猫二匹影ひとつの夕陽かな
バスキアをポッケに入れて冬の街
節分やひとそれぞれの分かれ道
川柳にくすりと笑ふひとり酒
春も宵猫に負けじとLOVESONG
青猫が夢見し終の栖かな
路地裏や猫と少年探偵団
謎めいた少女や猫の化身かな
旅の果て猫とディランと二〇世紀
花粉飛ぶ君を案じて空を見ゆ
月影にわらべは見たり夜の薔薇
ひだまりに二脚ならんで春の椅子
遠き声ラジオのやうに歌ふなり
看板にTAROの顔が爆発す
ひとひらのとどかぬ想ひやなごり雪
大地揺れ街をたちまち地獄絵図
被災地にここより早く春よ来い
日常に戻る兆しやつくしんぼ
渾身の嘘で飾らむ万愚節
花冷えや桜の下の闇の闇
春が逝く同じ時代の花一輪(田中好子さんの訃報に接し)
艶すがた香深き牡丹のラビリンス
人模様猫が導く縁かな
列島を見えざるゴジラが侵蝕す
五月雨やクレモンティーヌの吐息かな
戯れ句もて笑ひ飛ばすや日々の泡
在りし日の中也が愛したゆやゆよん
友と語る夢のはなしや千一夜
虫嫌ひされど惹かるる色かたち
水音やこころの井戸に響くなり
百年も孤独のうちの憂き世かな
浮雲や誇大妄想ふわふわり
麦茶浴びパソコンへたるる夏の夜
めくるめく記憶のあらし夏来る
分け入れば行く先々の名所かな
全身が冷し中華を求めをり
猫が居るここがわが家の一等地
風鈴がレゲエのりずむと共鳴す
青空にサンダーバードくちずさむ
遠い空求めてはるか五十年
夏空や入道たちの大相撲
百年もまたたく間に間のブルースや
儚きは朱鷺雄といふ名のをのこなりけり
イカロスを夢見て地を這う土竜かな
小春日にろくでなしにもなりきれず
出口なき「ありすの杜」の老母かな
大利根の泡となりゆくわが身かな
あやかしの紅葉のいろや夜の庭
年の瀬や心のしわを数えけり