9月5日(土曜日)

9時~0時!!


9月6日(日曜日)

9時~2時!!


最終話『さよなら現世』



桑島『はい。迂闊な自分の言葉を信じて、たま子さんがいつかどこかで恥ずかしい思いをなさるのではないかと気が気ではなく…。本当に、申し訳ありませんでした。』

たま子『…そうですか。あのお花、ウツギって言うんですか。よかったわ、教えていただいて。間違いだなんて思わなかった。』

桑島さん、『すごく堂々とおっしゃったから。』

桑島『それはつまりその…少しでもいいところを、あなたにお見せしたかったのです…。』

たま子『…ありがとうございます。本当にご丁寧に、わざわざこんなところまで。』

桑島『それでは、自分はこれで。ありがとうございました!』

俺の台詞『よかったな!』

桑島『いつまでもお元気で。』

たま子『いつまでもなんて無茶ですよ。』

桑島『さようなら。』

たま子『さようなら!』

読む人『…桑島さん、卯の花って言ったんだよね?』

たま子『ほら、お見送りは姿が見えなくなるまででしょ?』

読む人『拝啓、ご無事でお過ごしでしょうか。誠に良いご縁談をご辞退申し上げておきながら、このようなお便りさし上げるご無礼をお許しください。』

たま子『はあ。見えなくなっちゃった…。』

俺の台詞『あの日咲いていた白い花のことを、ご記憶のことと存じます。わたくしは卯の花と申しましたが、正しくはウツギです。』

読む人『貴女が大層気に入っていらした木に咲く小さい花の名を、間違えてお教えしてしまったことが、今も悔やまれてなりません』

たま子『よかったんですよ。卯の花だって。』

読む人『卯の花ってウツギの別名だもんね。』

たま子『ちょっと、続きは?』

俺の台詞『この手紙を書きかけたところまでで、桑島さんの物語は終わってるんだ。』

たま子『…間違えてなんかいなかったのに…。おんなじ花の名前ですよって、言わないままにしちゃった…。』

読む人『行っちゃったよ。かっこよく。』

たま子『カッコイイのは当然よ。だって守ってくれたんだもの。私が恥をかかないように、若い未亡人にならないように、普通の暮らしが送れるように、守ってくれた人だもの。』

読む人『そっか。』

たま子『…さて!私もぼちぼち帰るわ!』

読む人『在宅タヒね!』



終わり
第3話『砂城の関門』



桑島『…他のみなさんはさておき、自分の一生など読んでいただくに値するほどでは…。』

俺の台詞『一度もないなぁ。』

桑島『は?』

読む人『数えきれないくらい読んでるけど、つまらない物語に当たったことなんて一度もないよ。』(台詞を言い終わった直後にヤジ!)

桑島『…はぁ。』

読む人『そうやって桑島さんはいちいち遠慮が過ぎるんですよ。あの縁談のことだって…万が一を考えてのお気遣いだったんでしょうけれど、もしも所帯を持っていらしたら、それを張り合いに頑張って帰ってこられたかもしれないじゃないですか!』

桑島『ですが、あそこからは結局誰も…。あの南の島からは、ただの一人も帰れませんでした。』

たま子『…あの頃と比べたら、まるで夢の中にでもいるような普通の暮らしが待っていたのに…。』

桑島『その後のたま子さんがそんなふうにお暮らしになれたのなら、自分の決断は間違っていなかったということです。よかったです。これでもう、思い残すことは…』

俺の台詞『あるんでしょ?』

桑島『あるんでしたっ!どうしてもお伝えしたいことがあったのでした!』

たま子『私にですか?』

桑島『そうです!』

たま子『お見合いの日にお会いしただけの私に?えーなにかしら。ちょっと待ってくださいね。』

桑島『当てようとなさらず言わせてください!』

たま子『…はい。』

桑島『なんと申し上げてよいやら…あの…花です!白くて小さい…お散歩の!木に咲いていました…とてもきれいだと…自分は、さも偉そうに…!』

たま子『花で、お散歩の、さも偉そうに…?』

桑島『…。お詫びしなければならないことがあるのです。それで…お手紙を書いたのですが、お出しすることが、かなわないままになりまして…。』

読む人『桑島さん!ポッケポッケ!』

桑島『あれ?』

たま子『これを、戦地から?』

桑島『すいません、ひどく汚れていますね。…読めますか?』

たま子『…。』

読む人『やっぱり直接言おう!頑張ろう!』

桑島『ウツギ、でした。』

たま子『…ウツギ…?』

桑島『あの日、新緑の中をご一緒させていただいた時、たま子さんが見ていらした花の名前です。本当は、ウツギと言うのだそうです。あの時、うろ覚えのままに違う花の名をお教えしてしまったのだと、後になって知りました。』

たま子『…それを、訂正するためにいらしたの?』