第30期∮上と下 | れーらの気侭小説

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フィクション小説を書いていましたが、醒めてしまい休止中です。


「なにこれ…つまんねぇよ。」

大島の目の前には前田敦子が倒れている。

その体は血まみれで、寒さにガタガタと震えている。


「ふぅ…ふぅ…ふぅ……!!」

「ぜんぜん手ごたえないわ。正直がっかりした。」

大島は拳をかまえた。

「!!」

拳は前田の目の前に振り下ろされ地面を割った。

「あっちゃんさ、強くなってまた私のとこ来てよ。いまのあっちゃん倒しても面白くないわ。」

そう言って大島は吹雪く空に消えた。


悔しい。

歯を食いしばる前田の顔には涙と鼻水が流れている。

態度には出さなかったがリベンジするつもりでいた。

昨年の総選挙、「母さんに誓って、ガチです」では最後の最後で逆転を許し惜敗。

次こそはと思った選抜じゃんけん大会ではセンターどころかドベ寸前。

三度目の正直と思って臨んだバトル選抜も大島に大きな差を見せ付けられてしまった。

やはり大島がAKB48のセンターにふさわしいのか。

そう思った時期もあったが今は違う。


「私が…私がAKB48のセンターだ!!!」

血を流しながらも前田は立ち上がり歩き出した。

大島優子へのリベンジ、そしてセンターへの返り咲きを果たすために。

目立つようになれば自分を嫌う人も当然出てくる。

それでも自分がセンターにふさわしいのだと思ってもらえるようにやっていくしかない。


「ふふふ。そうこなくっちゃね。」

立ち去ったと思われた大島が前田の様子を確認してどこかへ飛び去った。



指原と仁藤が街を出て二時間が経とうとしていた。

やはりこの島は相当広いのだろうか。

二人を探し続けていたが一向に見つからない。

長らく続いた平坦な景色も丘陵に変わり、気分も少し変わった。


「んー!少し休もうか。」

指原は背伸びをし、休憩を提案した。

「うん、そうだね。もうけっこう歩いたからね。」

二人が座りこもうとしたときだった。


ドン!ドン!ドン!

銃声のしたほうを見ると丘の上に四人立っている。

「さーしはーらさーん!会いたかったですよー!」

そこにいたのは桑原みずき・加藤るみ・若林倫香・磯原杏華。


「第一ステージの借り、返しにきました。」

「四人!?」

「さっしー落ち着いて!二人の能力はわかるんでしょ?」

(そうだ、第一ステージで二人の能力は見てる。)

指原は桑原と加藤の能力を伝えた。

「うん、その二人の能力なら上手く戦えそう。あとの二人がどんな能力かだけど…。」


十分に考える隙も与えず、軍団は一気に攻め始める。

桑原は銃を撃ち、磯原と若林はそれぞれ白い虎と剛健そうな犬に姿を変えて走ってきた。

指原は火で壁をつくり二匹の獣の攻撃に備えたが、予想していないことが起こった。

なんと二匹とも壁を通り抜けて自分たちのほうまでやってきてしまった。


「くあっ!!」

若林は指原に襲い掛かり噛み付いた。

腕に牙がくいこみ苦痛の表情をうかべる。

しかしどうにかして離さなければさらに追撃がくる。

指原は腕に火を燃え立たせ若林の牙から逃れた。


「萌乃ちゃん!」

ドーン!!

仁藤の方を振り向くと磯原の体が爆発した。

正確には磯原の近くで爆発が起きた。

仁藤が若林のほうへ目を向けるとまた爆発が起きた。

両腕を顔の前にやって爆風をしのぎ若林をみると、元の姿で倒れている。

(強い…これが萌乃の能力!!)


すかさず加藤が駆け下りてきて水を撃ってきた。

だがそれも仁藤の爆破により勢いを失い、二人のもとには届かない。

加藤を仁藤に任せ、指原は桑原のもとへと駆け出した。

桑原めがけて火の波を仕掛け、徐々に間合いを詰めていく。

噛まれた左腕に一発銃弾が当たったが右腕はまだ使える。


追い詰めた。

そう確信した時だった。

指原の横から虎にまたがった加藤が現れ、丘の下まで水でうち流された。

(しまった…倒したと思った二人まだ生きてたんだ…。)

顔を上げると仁藤も体に引っかき傷や刺し傷を負っている。

それに比べてさっきまで倒れていた二人は傷が消えていて元気がある。

(そうか。あの中で誰か〝治癒〟を使える人がいたんだ。)

「きたりえ…小森…。どこにいるんだよーーーー!!!!」


仁藤が倒れてしまっていて戦えるのは自分しかいない。

指原は起き上がり、敵に向かって火の玉を連射する。

加藤は丘の陰に隠れていて当たらなかったが、桑原と磯原、若林らには火傷を負わせることができた。


(あの二人がひるんでる今がチャンスだ!!)

再び桑原のすぐ近くまで詰め寄った。

ガクッ。

(え?)

突然膝から崩れ落ち、桑原の銃口は指原の頭に向けられた。

「くたばっちまいな!!」

至近距離からの連射。

敗北。

この二文字が指原の頭をよぎった。


しかし、次の瞬間指原の目に映ったものは攻撃をしたはずの桑原が銃弾を受けて倒れていく姿。

「そこのお嬢さん、呼んだかい?」

北原だ。

「きたりえ!!」


ドーーーン!!!

さっきより大きな爆発。

「この爆発は…萌乃!!」

振り返り下を見ると小森とともに仁藤が立っていた。

襲い掛かってきた磯原と若林はその爆撃でふきとばされて丘の下まで転がった。

後ろに下がるように小森に指示して額に手を当てニッと微笑む仁藤。


「もう許さないからね。」




to be continued...