男性から女性への性転換手術はしばしば「ポールとボールを取ってホールを作る」と表現されます。ポール(陰茎,ちんちん)とボール(睾丸,たまたま)を無くして、代わりにホール(膣,ヴァギナ)を作るわけです。手術はだいたい次のような感じで進行します。

(1)陰嚢の中央の線に沿って切開し、睾丸を取り出して切除する。
(2)陰茎を皮と海綿体と尿道と亀頭に分解する。海綿体はハサミでチョキンと切ってゴミ箱へ。
(3)女性の膣があるべき場所に指や器具を使って穴を開け、そこに陰茎の皮膚を押し込む。
(4)亀頭は一部は陰茎皮膚といっしょに押し込んで膣の再奥部に設置し、一部は陰核として再利用する。この部分のやり方は医師によって様々。
(5)尿道を女性の尿道口がある部分に固定してその先の余分な長さは切り捨てる。ただし医師によっては本来の女性の尿道口の位置より後ろに設置する人もいる。そのほうがおしっこがしやすいため。
(6)陰嚢を利用して大陰唇・小陰唇を形成する。

長年の女性ホルモンの服用で陰茎が萎縮していて、陰茎の皮膚だけでは膣の長さに足りない場合は、大腿部の皮膚や腸の一部を利用して足りない分の膣を補います。腸の組織は元々膣の組織と同じ物なので伸縮性もあり良いのですが、最大の問題点は分泌物が多すぎることで、そのため腸を使用して膣を作った人は、いつもナプキンを当てておく必要があります。陰茎皮膚だけで膣を作って欲しい人は、(特に女性ホルモンをはじめた後)日々自慰をおこなって陰茎が萎縮しないようにしておかなければなりません。

性転換手術は大手術ですので手術の直後は新しく作った陰部が腫れていたり傷が残っていたりで、必ずしも美しいものではありません。手術が終わってから半年もたてば落ち着いてきて、普通の女性の陰部のようになります。