心臓の冠動脈バイパス手術を受け、東京大学医学部付属病院(東京都文京区)に入院していた天皇陛下は4日、退院された。手術を受けられた2月18日から15日後にあたり、手術直後に東大と順天堂大の合同チームが示した「手術後2週間」の退院見通しとほぼ一致した。当面は皇居・御所で、リハビリをしながら静養される。

【フォト】天皇陛下手術 皇后さまの思い

 宮内庁関係者によると、手術後は合併症などの大きな問題はみられず、順調に回復してリハビリを行ってこられたという。

 陛下は4日、朝から病院を訪れた皇后さまと一緒に、左手に花束を持ち、しっかりとした足取りで午後2時39分に病院を出発された。入院棟の玄関では、居合わせた人たちに手を振り、見送りの医師らに「どうもありがとう」などと声をかけられた。

 医師団は、退院後も公務復帰には1週間程度が必要としているが、陛下は東日本大震災から1年を迎える11日に東京都千代田区の国立劇場で行われる追悼式への出席を強く希望されているという。宮内庁は医師の意見をふまえて慎重に判断する。

 陛下は2月11日に東大病院に検査入院され、3本ある冠動脈のうち、2本の血管にみられていた狭窄(狭くなっている部分)が進んでいることが判明。1週間後の同18日にバイパスとなる血管をつないで、血液を流れやすくする手術を受けられた。同20日には集中治療室(ICU)から特別病室に移り、以降は廊下や階段を歩行するなどしてリハビリを進めてこられた。

 皇后さまはご手術後、毎日病室に通われた。うち5日は病院に泊まり、陛下をサポートしてこられた。

 今後は陛下のご回復の具合をみながら、皇太子さまが務められている国事行為臨時代行の解除についても検討される。

 宮内庁によると、皇居などで2月17日から連日受け付けられてきた記帳は、4日までに約10万人分が集まっている。