◆第39回報知映画賞 ▽助演女優賞・大島優子「紙の月」

 12年の報知映画賞で監督賞を受賞した吉田大八監督(51)の最新作「紙の月」に出演した女優の宮沢りえ(41)と大島優子(26)が主演と助演の女優賞をダブル受賞した。02年の「たそがれ清兵衛」(山田洋次監督)以来、12年ぶり2度目の栄冠となった宮沢は、7年ぶりの主演作品に「役者で良かったと、心から思える作品に出会えた」。一方の大島は、AKB48を卒業して本格的に女優への道を歩み始めた中での初受賞になった。

 6月にAKB48を卒業。女優転身後、わずか5か月での栄冠に大島は喜びのあまり言葉を失った。「まさか、という感じ。本当にうれしい。今後、代表作は『紙の月』と言えますね」。真っ先に栃木の父に電話で報告した。

 絶対的エースだったアイドル時代とは一転、銀行の窓口係として働く“今どき”のどこにでもいそうな女の子を演じた。決して出番が多いわけではなく、特異なキャラクターでもないが、確かな存在感を見せた。特に銀行の更衣室で宮沢りえ演じる同僚の梨花に「(横領を)やっちゃいそうなんですよ」と語りかけるシーンは強烈な印象を残し、「巨額横領」という破滅へと向かわせる号砲となった。

 昨年末のNHK紅白歌合戦で卒業を電撃発表。その直後、今年1月から撮影に入った。「女優としての覚悟を決めなきゃいけない時期だったから、緊張でガチガチだった」。一方でグループの活動も続けており、新たに覚える振り付けが山積みだったが、「映画の現場では必死に“アイドル色”を消そう。休憩時間も絶対に振り付けの練習をしない」と誓い、作品に集中した。

 経験豊富な宮沢、小林聡美(49)と共演して「女優の仕事は生きざまがにじみ出る。人生の全てを懸けて芝居に打ち込まないと」と思い知らされた。AKB時代、7万人収容のコンサートでも平然と歌っていたが、映画の現場では緊張の連続だという。「女優の仕事は本当に好きなことだから、絶対に妥協したくない」と意欲的だ。

 女優転身後、すぐに結果を残したが、「全ての表現力を磨いて、同世代の女優に負けないように食らいついていきたい」と満足していない。トップアイドルから演技派女優へ着実に一歩を踏み出した。(有野 博幸)

 ◆大島 優子(おおしま・ゆうこ)1988年10月17日、栃木県生まれ。26歳。7歳から子役として芸能活動をスタート。2006年4月、AKB48の第2期メンバーとして加入。愛称は「ゆうこ」。総選挙では第1回から順に2、1、2、1、2位。12年にグループを卒業した前田敦子と人気の双璧をなす。13年大みそかのNHK紅白歌合戦で、卒業を発表。今年6月の公演を最後に卒業する。他の主な映画出演作に「闇金ウシジマくん」「劇場版SPEC~結~」など。血液型B。

 ◆紙の月 銀行の契約社員として働く梨花(宮沢)は、丁寧な仕事ぶりで上司から高い評価を得ていた。ベテランの隅(小林聡美)、窓口係の相川(大島)らと働いていたが、顧客の老人の家を訪ねた際に顔を合わせた孫の大学生・光太(池松壮亮)と駅で再会。肉体関係を結んでしまう。ある日、買い物の際に現金が足りず、預かり金に手を付けてしまう梨花。その出来事を機に、横領に手を染め、その手口はより大胆になる一方、光太との関係に溺れていく。角田光代さんの小説を吉田大八監督が映画化。

(スポーツ報知より)


優子おめでとう!映画賞のビッグタイトルのひとつを取りました。ブルーリボン賞・日本アカデミー賞などの他の大きな映画賞の受賞も期待します。