15日、凱旋門賞の前哨戦・ニエル賞(仏ロンシャン、GII、芝2400メートル、3歳、10頭立て、1着賞金7万4100ユーロ=約978万円)に出走したキズナ(栗東・佐々木晶三厩舎、牡3歳)は、英国ダービー馬ルーラーオブザワールドとの接戦を制してV。凱旋門賞制覇に向けて大きな一歩を踏み出した。勝ちタイムは2分37秒64(重)。

 レースはプリーンプトが逃げ、キズナは後方2番手を追走。折り合ってリズム良く運び、フォルスストレートの終盤で外に出すと、直線勝負でも追い出しを我慢する余裕を見せた。満を持して追い出すと、ロンシャンの重馬場に脚を取られることなく伸びて、内から強襲したルーラーオブザワールドと鼻面をそろえてのフィニッシュ。勝敗は写真判定に持ち込まれたが、わずかに短頭差先着して日本馬としてのニエル賞初制覇を果たした。2着から3/4馬身差の3着はオコヴァンゴ。

 帯同馬ステラウインド(美浦・尾関知人厩舎、牡4歳)とともに9月1日にフランス入りしたキズナは、パスカル・バリー厩舎に滞在。武豊騎手を背に追い切りをこなすなど、初の海外遠征にもかかわらず順調に調整を続け、ここに臨んでいた。古馬とは未対戦だが、ロンシャンの重馬場を克服して、凱旋門賞を目指す愛仏の強豪3歳馬を負かした勝利は高く評価できるもの。陣営も戦前から「トライアルとしては満足の仕上げ」と叩いた後の上積みを見込んでおり、凱旋門賞に向けて大きく期待が膨らむ一戦となった。

 キズナは、父ディープインパクト、母キャットクイル、母の父Storm Catという血統。北海道新冠町・(株)ノースヒルズの生産馬で、前田晋二氏の所有馬。通算成績は8戦6勝。重賞はGIII毎日杯、GII京都新聞杯、GI東京優駿=日本ダービー(いずれも2013年)に次いで4勝目。

 ◆武豊騎手「(ゴールの瞬間は)勝ったと思ったのですが、(ルーラーオブザワールドの)ライアン(ムーア騎手)が“勝った”というので、負けたと思って帰ってきたらみんなに“ブラボー”と言われて、勝ったんだなと(笑)。キズナのスタイルを崩さないように気をつけて乗りましたが、初めてのコースでも上手に走ってくれました。調教で少し重さを感じていたので、早めに動くようにしましたが、思いのほか反応も良くて、思っていた以上のレースをしてくれました。心配していた下り坂も本当に上手に走ってくれたし、シャンティーの調教でいろいろやっていたことがよかったのでしょうね。手応えには余裕があったし、前を見ながら動けました。(ロンシャンの適性も)これで答えが出ましたからね。さらに本番が楽しみになりました。期待していただいていいと思います」

(サンケイスポーツより)


強豪相手に前哨戦を制したのは本番に弾みがつきました。まだ古馬や他のニエル賞に参戦していない3歳馬の存在もいますが日本馬で初の凱旋門賞制覇が現実味を帯びたと思います。

次はフォワ賞のオルフェーヴルに注目です。