レース鳩史の世界で進化の過程で【美しさに特化】した

有名系統が鳩先進国ヨーロッパには複数あったようです。




ロべール・シオン系代表鳩

‘’キングオブフランス号‘’

国際オリンピアード総合6位


私達の知られている系統ではフランス国では親子二代名門ロべール・シオン鳩舎とピエール・ドルダン鳩舎の両巨頭が本国で名声を轟かせていたようです。

鳩王国べルギーでは‘’皇帝エンペラー‘’と呼ばれた

ル二エル・グルネー氏を経由したハンセン系統を基礎にした

名門ジョルジュ・ファブリー鳩舎などの大御所鳩舎が国際オリンピアードで素晴らしい成績を残していました。


これらの系統の始祖まで遡ると巨人的存在と呼ばれた伝説の

‘’アレクサンダー・ハンセン氏‘’の系統に辿り着きます

ハンセン鳩舎の時計係として少年時代から大変可愛がれたのがグルネー氏であり又ハンセン氏死後に氏の数多くの優秀種鳩を継承されたのも他でもないグルネー氏その人だったようです。


ハンセン氏亡き後ジョルジュ・ファブリー氏はグルネー氏からハンセン系統鳩を大量に導入されて以降の国際レース・国際品評会で大活躍されたそうです。


ハンセン系はシオン系始め他にはバスチン系・ブリクー系・ローガン系・Drアンダーソン系統などにも重要な根幹系統として色濃く流れています。


鳩王国べルギーでル二エル・グルネー氏の築かれた地位は

ハンセン系の‘’賜物‘’と言っても過言ではないようです。


この系統の日本鳩界の初輸入は生前のル二エル・グルネー氏と親交があった大阪在住‘’科野鳩舎‘’が1933年34年に日本初の由緒正しい系統鳩としてハンセン系が日本の地を踏みました。

この際執り行われた2回目のオークションで

東京‘’小野内泰治氏‘’が人を介して、京都‘’今西万次郎氏‘’は御本人が貴重な輸入鳩を購入されたそうです。


この時の‘’小野内泰治鳩舎‘’の導入されたハンセン系鳩が後に
東京‘’木村徳広氏‘’と横浜‘’清水正男氏‘’の両氏の確立された系統に繋がる事になります。



ジョルジュ・ファブリー系代表鳩
‘’ムウシャエテ号‘’
国際オリンピアード総合9位


1960年代中頃巨匠並河靖氏他数名が渡欧され数々の強豪鳩舎を歴訪その中にはファンブリアーナ鳩舎・デルバール鳩舎・シオン鳩舎などの有名鳩舎も他多数含まれていました。


そして並河氏一行最後に訪れたのが当時の国際バルセロナレースのスペシャリストとして強豪アルべール・ゴーラン鳩舎などと覇を争う評価の高い巨星ジュリアン・マタイス鳩舎でした。200年の伝統を誇るマタイス家は欧州鳩界の始祖とも言われて基礎系統として広く分布して大きな功績を残していました。


J・マタイス鳩舎をつぶさに見られた並河氏一行は、べルギー有名鳩舎を凌駕する見事に同タイプに統一された粒揃いの選手鳩群に皆一様に大変驚かれたそうです

交配法は‘’基礎鳩‘’と同タイプ鳩を残して(体型)を中心に近親交配は行われず、異血交配で系統維持をされていたそうです。


この時並河氏一行は即座に購入を求められたそうですが残念ながらアマチュア精神を貫くマタイス氏に断られて、変わりに後日プレゼント2羽が日本に贈られて来たそうです。


基礎系統である原型の遺伝子を良く受け継いだ鳩達が訓練そしてレースで選別されて優秀鳩が手元に残されます。


‘’強くて早い‘’そして‘’美しさ‘’にこだわる飼育者の意図が国を越えて現れる、ここに各国の垣根を超えて開催される国際オリンピアードの意義がある様に思われてなりません。


日本鳩界では遡る戦前に英語圏の関係から米国鳩界との交流が始まり有名なチャールス・ハイツマン鳩舎から初代ポール・シオン鳩舎の系統が有志により輸入が始まり出しました。


当時まだ輸入鳩が珍しい事もあり子孫鳩達が鳩界で人気を博し純系交配または異血交配と定着して行ったようですが、性能面での固定化にはまだかなりの時間を必要としていたようです。


シオン人気は戦後になり更に加速して元鳩協会会長関口龍男氏が1957年にロべール・シオン鳩舎を訪問して伝説の銘鳩ボスキング号・キングオブフランス号の2羽を電撃導入されました。

そして元鳩協会会長小野宏氏が1951年に輸入された銘鳩ポ二ー号に端を発した、ジョルジュ・ファブリー系(ハンセン系)もシオン系と同じく【頭脳明晰】【容姿端麗】な系統鳩として、日本鳩界に定着して行き当時の‘’品評会二大系統‘’となって言ったようです。


日本在来系統では[鳩協]木村徳広鳩舎‘’津軽系‘’と[日鳩]清水正男氏‘’力道号‘’系が両協会の品評会で見事な成績を誇られていましたが、まさしく飼育者の理想とする[見て良し・飛んで良し]を体現されていました。


両系統には色濃く戦前に輸入された由緒正しい銘血グルネー系(ハンセン系)が加えられて(体型)に大きく影響を与えた様に思われます。


これは今を生きる在来銘系統‘’山本今西系‘’の始祖にも同じく

グルネー系(ハンセン系)が系統確立者‘’今西万次郎氏‘’により戦前に異血導入されていますが、先人の方の鋭い選鳩眼にはただ驚かされるばかりです!


またショーバードの世界ではグルネー氏と親交の会った英国人フレッド・ショウ氏が本国に紹介してジョージ・グリーンシールド氏がグルネー系統を導入以降40年に渡りトップショーマンとしてフレッド・ショウ氏と共にピープルショー(国際品評会)で長年に渡り大活躍をされたそうです。


日本鳩界でも‘’グリーンシールド‘’系統は英国から輸入されて地区・全国品評会でも活躍したようです。

その特徴は他に類を見ない‘’魅惑の顔表情‘’また‘’絹感触の体毛‘’そして見事な‘’立ち姿‘’に魅了された方も多かったと思われます。


私達ファミリーも全国品評会初参加の折に数多くの出陳鳩の中に明らかに他鳩とは違う出陳鳩と出会いました。
審査終了後に出陳者の方に系統構成を訪ねると基礎系統は
‘’ファブリー系‘’と‘’グリーンシールド系‘’だと言う事でしたが、見事に両系統の特徴を良く現しているとしか思えない程の素晴らしい出陳鳩でした。
その時私達の方に歩み寄って来た審査員の方から忘れもしない一言がありました
「この鳩はポーズを取っている」とおっしゃた事です。

‘’鳩作り‘’のヒントをこの時に得られた様な気がしました!


グルネー系(ハンセン系)

ジョージ・グリーンシールド系代表鳩

‘’レークランド・プリンセス号‘’


‘’体型‘’に特化した優秀遺伝子に固定改良を加えると後代に渡り連綿と優秀鳩を輩出する法則が国を越えて垣間見えます。


今となってはこれらの銘系統鳩を手中に収める事は残念ながら出来ませんが、‘’先人‘’の方が長年に渡り取り組んで来られた、「系統と体型」の固定化を自舎でも更に推し進めて時代に合ったレース鳩本来の【見て良し・飛んで良し】の理想を目指して行こうと日々鳩管理に励んでいます。