第423場 エレアの家 | 小説「果実な僕ら」

小説「果実な僕ら」

駆け出し脚本家の、初めての携帯小説です。
BLで始まりますが、内容は様々なヒューマンストーリー。
脚本形式なので、ご了承ください。

Twitterで自動更新ツイートしてます。
あかざえもん @akazaemon_hoshi

【第423場 エレアの家】


(11月15日 13:00頃)


ピンポン


ガチャ


エレア:「早かったな。」


怜:「もう午前授業だから。」


エレア:「そこじゃ話せないし、あがれよ。」


怜:「…お邪魔します。」


バタン


怜:「…。」


エレア:「そんな葬式みたいな顔すんなよ。

ほい、これ。」


(サランラップに包まれた指輪を渡す)


怜:「これ…。」


エレア:「割れたのは偶然…じゃないな。

怜のこと考えながら握ってたら、割れた。

そのまま処分しようかと思ったけど、言葉だけじゃ伝わらないかなって思ってさ。

それ、怜が処分してくれ。」


怜:「思い出の品なんだろ?」


エレア:「過去のな。

今は、怜と作ってく思い出のが大事だから。

だから、それは怜の好きなように処分して。」


怜:「…。」


エレア:「それと、やっぱ俺は今は怜とSEXする気はねー。」


怜:「魅力ないってこと?」


エレア:「じゃなくて、汚したくねーんた。

前の恋人の話になるけど、そいつもそういうの初めてで、すげぇ無理させてさ。

結果的にはSEX出来るようになったけど、それまで無理させてるの、心痛かったんだ。

怜には無理させたくねー。」


怜:「無理かどうかはわかんねーじゃん。

でも、もうSEXのことは今はいい。

入試まで時間ないし、絶対受からなきゃいけねーから、そんなこと考えてる場合じゃなかった。」


エレア:「そっか。そうだよな。

なら、無事合格したらまた話し合おうぜ。」


怜:「それで、入試まではこの部屋に来ないから。」


エレア:「距離置くってこと?」


怜:「いや、エレアの匂いがしてベットがあると、集中出来ないから。

勉強は引き続き図書館とか、マックで教えて欲しい。」


エレア:「なるほど。りょーかい。」


怜:「この指輪、ほんとに俺が捨ててもいいの?」


エレア:「ああ。」


怜:「前の恋人に心痛まないの?」


エレア:「前の恋人は、自分の新しい恋人に思い出の品全部預けたらしいんだ。

俺は怜にそれさせると負担かなって思ってたけど、逆だったみたいだから。」


怜:「前の恋人と連絡取ってんの?」


エレア:「会ったのは、話をするためだ。

前の恋人の新恋人が俺の店のヤツだから、許可ってか、報告ってか。

今は連絡取ってねーよ。

携帯見るか?」


怜:「いや、いい。

その…ごめん。」


エレア:「どうした?」


怜:「柄になく感情的になったなって反省。

ちゃんと話に来てよかった。」


エレア:「なら、よかった。」


ぎゅっ


怜:「エレア…。」


エレア:「なぁ、怜。

俺らはさ、まだ短いけどお互いそれぞれの人生を歩いてきて、全然知らない部分もあるよな。

でもそういう過去も含めて付き合っていけたらいいよな。」


怜:「うん…。」



(軽く抱き寄せるだけの抱擁は次第に力がこもり、言葉なくして2人は抱き合い続けた。)