第415場(1) つくもの家 | 小説「果実な僕ら」

小説「果実な僕ら」

駆け出し脚本家の、初めての携帯小説です。
BLで始まりますが、内容は様々なヒューマンストーリー。
脚本形式なので、ご了承ください。

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あかざえもん @akazaemon_hoshi

【第415場 つくもの家】


(11月4日 営業後)


つくも:「ふぅ。久しぶりに結構飲んだな。

あれだけ飲んで津田さん結局潰れなかったって、ほんとにすごいな。」


♪ピロリン


つくも:「LINE?ハルさん!」


『ハル:今、電話かSkypeできるか?』


『つくも:どっちでもできるよ。』


『ハル:じゃ顔見たいから、Skypeにしよう。

準備できたら呼び出してくれ。』


『つくも:OKだよ』


♪~~~


つくも:「Hi!」


ハル:「Skypeで話すのは久しぶりだな!

痩せてもないし、元気そうだ。

ちょっと顔が赤いか?」


つくも:「津田さんが店に来てくれて、結構飲んだからかな。あんま顔に出ないんだけど。」


ハル:「若いからって無理するなよ。」


つくも:「大丈夫。今日は津田さんのペースに巻き込まれて、久々飲んだ。」


ハル:「社長の?相変わらず強いんだな。」


つくも:「でも今日は特に飲んでも酔えないって感じで、なんか危なっかしかったな。」


ハル:「そっちでなんかあったのか?」


つくも:「俺の方も色々あったけど、津田さんが揺らぎを抱えてる感じだった。」


ハル:「揺らぎ?」


つくも:「突然好きな童話はなんだ?って聞いて、『偽善者ぶって100万回生きたねこって答えたけど、本当は王子様になりたかったんだ』って言い出すし、『レンタルチャイルド』って知ってるかな?その話を飲みながら真顔で話すし。」


ハル:「レンタルチャイルドって、貧しい国で物乞いが貰いを多くするために幼子を借りて憐れみを買うってやつか。」


つくも:「知ってるの?」


ハル:「本で読んだくらいだけどな。

王子様か…社長は『幸福な王子』の話をしたかったんじゃないのか?」


つくも:「幸福の王子?」


ハル:「知らないか?銅像の王子様が、ツバメに頼んで、自分の身についている宝石や金箔を貧しい家庭に届けてもらうんだ。全てなくなるまでな。」


つくも:「なるほど。それなら話のつじつまが合うかも。津田さんは奥深いものを抱えてそうだったよ。」


ハル:「社長は読めない人で、年齢や経歴もあまり明らかに言われてないからな。

いつもあのペースで飄々とかわされる。」


つくも:「確かに。きっと過去になんかあったんだろうな。」


ハル:「話したがらないのを無理に聞くもんじゃないぞ?」


つくも:「そうだね。もう少し様子見るよ。

それより用事どうしたの?」