ミレニアム1・2・3 | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

家具 通販 赤や 竹田のブログ

家具 通販 赤やで働く竹田のブログです。仕事の事や家具のこと、個人的なしょーもないことまで日々綴っていきたいと思います。

ここ最近ずっと「ミレニアム」シリーズを読んでいましたが、
やっと全巻読破いたしました。


ミレニアム スティーグ・ラーソン

6冊ぶっ続けで読むのはさすがに結構時間がかかった。
読んでいる間はとにかく先が知りたいと、夢中になっていたが、
3巻の下巻を読んでいる最中は、もうこのシリーズの続きは読めないと思うと、
惜しくなってなかなか先に進めなかった。
作者のスティーグ・ラーソンが故人なのが本当に残念。

デビットフィンチャー監督の映画「ドラゴンタトゥーの女」に感銘を受け、
これは原作も読んでみたいという強い衝動に駆られ手に取ったわけだが、
原作はやはり映画以上に設定も人物描写も深く、このミレニアムの世界にドップリつかれた。

1は完全に独立したひとつの犯人当てを含んだミステリ小説で、
2・3はセットでハードボイルドとも政治小説とも法廷小説ともいえるサスペンス。

以下ネタバレも含みます↓

1の「ドラゴンタトゥーの女」は映画を観たこともあり、
犯人もオチもわかっていたのだが、
人物の相関(特にややこしいヴァンゲル家)や登場人物の経歴が綿密に描かれており、
非常にわかりやすくて良かった。
映画では必要最低限しか喋らないリスベットの心情も適度に描かれており、
映像だけではわからない部分をかなり補完できた。

2と3は目まぐるしく登場する魅力的な新しいキャラクター達に圧倒され
今まで自身が無知で全く知らなかったスウェーデンという国の政治・文化・風習などの描写にハマり込んでしまった。
スウェーデンと言われたらikeaとエリクソンしか思い浮かばなかった自分だが、
大分この国の見方が変わった。

殺人事件の容疑者にされるリスベットを支援して、
ミカエルを中心とした周りの人間たちが非公式の組織相手に対決するという物語の大筋も、
魅力的ですごく面白かったが、
このシリーズはなんといっても個性が際立ったリスベットというヒロインの活躍に胸が踊る。
2巻最後の対決シーンは圧巻。
まさか頭を撃たれて生き埋めにされるという逆境から大逆襲に転じるとは!
キル・ビル2のユマ・サーマンの脱出劇を思い出した。

3巻のクライマックスの法廷シーンも痛快。
2巻からのモヤモヤが全て晴れて読んでいる方も溜飲を下げるスッキリした気分になれるが、
エンターテイメントとしては勧善懲悪が過ぎる上、
ちょっと対決相手の「班」側があまりに手応えがない気もした。

この物語はこの魅力あるヒロインリスベットの成長譚という側面もあるが、
根底に流れるテーマはミカエルの台詞に集約されていた。
「この事件の核心は結局のところ、スパイとか国の秘密組織とかじゃなくて、よくある女性への暴力と、それを可能にする男どもなんだ。」
これに尽きる。

思えば1巻から男に虐げられる女性の描写ばかりが目立つ。
父親・兄に虐待されるハリウット。夫のDVが原因で離婚するセシリア。
女性を強姦して殺しまくる猟奇殺人者たち。
社会的弱者の立場を利用されて陵辱されるリスベット。
他国から拉致してきた女性たちを娼婦にして売春を営むならず者集団。
DVが原因で脳に障害を負うリスベットの母。
女性を蔑視して偏った捜査をし続ける刑事。
屈折した精神でエリカに卑猥なメールを送り続け、自宅に不法侵入までするストーカー。
児童ポルノの収集癖のある医者。
挙げればキリがないが、とにかく女性への偏見・軽蔑・暴力が半端ない。

その対極にフェミニストのミカエルや人権問題に強い弁護士のアニカなどの登場人物がいるわけだが、
正直ミカエルは女性に節操がなさすぎて倫理的にどうなの?と思える行為ばかりで尊敬はできない。
しかし思えばリスベットを支持する側の人間は不倫やゲイやレズも含み、性的に大らかすぎる。
リスベットの設定自体がバイというのもあるが、
こういった貞操観念や性に対して開放的なのが北欧ならではなのだろうか、と思った。

そしてハリウッド版の映画は2や3についてはちゃんと作られるのだろうか?
「ドラゴンタトゥーの女」が素晴らしかっただけに、
ぜひ続編も引き続き作って欲しい。
正直読んでいる最中のリスベットは完全にあのルーニーマーラで脳内再生された。
配役時、ナタリーポートマンやスカーレットヨハンソンなどの名前も挙がったそうだが、
原作の描写だと全然イメージが違う。
自分的にはミカエル=ダニエル・クレイグもピッタリなので、
配役も監督もそのままで今後も期待。


「ドラゴンタトゥーの女」のオープニングはすごすぎる!

いや~しかし、6冊ぶっ続けで読んで素晴らしく充実感があるのだが、
リスベットの双子の妹の話など回収されていない伏線もあるので、
続きが読めないことが本当に残念でもある。
改めて著者スティーグ・ラーソン氏のご冥福をお祈りしたい。