キャンパスNOW:大阪芸術大・学生ミュージカル 大学挙げての作品づくり

2010.01.27 大阪朝刊 23頁 特集面 写図有 (全1,017字) 













 NHK大阪ホールで今月19日、大阪芸術大学の学生たちによるミュージカルが上演された。幻の動物「龍」が環境を破壊する人間から地球を守ろうと「龍の子」を人間の世界に送り込む話で「龍の子ケンとリン」。好評だった昨年末の学内上演に続く再演。今春の初等芸術教育学科新設を記念して開かれた。



 「進化を続ける学生の熱演に声援を」という塚本邦彦学長のあいさつで開演。背景に同タイトル絵本の場面が映し出される中、舞台芸術学科の学生ら約50人が龍やイルカ、タツノオトシゴなどに扮(ふん)し、歌とダンスを交えて舞台を駆け回った。



 出演者のほか、照明、舞台衣装、音楽、大道具、振り付けまで、すべてが学生と教員による合作。多彩な芸術分野を網羅する総合芸術大学ならではと言える。終演後、満員の客席から盛んな拍手が送られた。



 07年から毎年、新作ミュージカルに取り組んできた同大。今回は客員教授でもある高円宮妃久子さま原案・監修の絵本に基づく作品づくりに挑んだ。



 スタートは2年前の夏。「龍」をシンボルに、地球環境について考えることをテーマにした物語を、と久子さまが出された課題に対し、学内から集まった約300本の絵本・シナリオアイデアを審査。作品を絞り込み、東京の高円宮邸で久子さまと学生たちが直接打ち合わせする機会などを経て、絵本づくりと舞台化が並行して進められた。各学科の垣根を越えた大学の総力を挙げた取り組みとなり、かかわった学生は約350人に上った。



 舞台は08年秋に本格化。卒業で配役など担当者が変更になり、台本にもさまざま手が加えられた。学内上演の直前にはインフルエンザで稽古(けいこ)に来られない学生が続出するアクシデントにも見舞われた。今回の再演も、なかなか全体稽古ができない中で当日を迎えたが、全員が集中して見事に演じきった。



 ◇上演の度に成長



 台本・演出を担当する舞台芸術学科長の浜畑賢吉教授は「学生に負荷をかける(責任を与える)と必死で挑む。上演の度に一回りも二回りも成長する」。



 ある時に「目覚め」、見る間に伸びる学生もいる。それぞれが持つ才能に気付かせてあげるために、しかることはせず、必要なことを的確に伝えるようにしているとも。



 研究室を訪ねてくる卒業生には「(演劇を)やめたい」と言って泣きだす人も少なくない。「夢を捨てるのか」「後悔しないようにやり通せ」とアドバイスすると、明るい笑顔で再び「巣立って」行くのだという。