河内長野駅かいわい 河内長野市(週刊まちぶら 第36号)/大阪

2005.03.07 大阪地方版/大阪 29頁 大阪2 写図有 (全2,391字) 













 旧高野街道、面影今も 商店街活気復活へ模索続く



 河内長野市は、東と西の旧高野街道が合流する要所だった。室町時代に建った重要文化財の本殿をもつ長野神社。樹齢700年の吉年邸のクスノキ。旧高野街道沿いは、歴史の重みを感じさせる雰囲気が残る。河内長野駅は、大阪市内で働く人たちのニュータウンの玄関。バブル崩壊で失われたにぎわいを取り戻そうと、地元商店街は模索を続けている。



 長野商店街のアーケードには本屋、八百屋、金物屋など約30店が軒を連ねる。農繁期を終えた農家、休日のサラリーマン家庭が買い物に訪れ、昭和30~40年代は人通りが途切れなかった。



 バブル崩壊後、郊外店の進出や後継者の不足で、空き店舗が目につき始めた。その一つをまちづくり組織「にぎわい河内長野21」が借り、03年12月に開店。スダレやツマヨウジといった地元産品を販売し、起業意欲のある人に格安でスペースを貸している。



 「街づくりに即効薬はないですよ。漢方薬のようにじわりじわり効くアイデアを練らないと」。同会長の塔本(とのもと)勝さん(62)は、創業81年の本屋の3代目。今春は観光ボランティアガイドの養成、フリーマーケットの開催に力を入れるという。



 昨年10月には商店街や旧高野街道沿いに出店し、地元産品をアピールする「にぎわいの里復活事業」を実施。かつての人込みが戻ってきた。



 鋳造業で知られる吉年家25代当主の正守さん(52)は、庭のクスノキで隠れんぼをし、長野神社の境内でキャッチボールをして育った。「ビルも立ち並んできたが、まだまだ静かないい街。神木は街を見守っています。過去も、これからも」



 そのクスノキ。天然記念物になった70年時の幹回りは4.7メートル。2月中旬に測ったら、根本で7.5メートルにも成長していた。



 (市原研吾)



 ○6時間抽出、水出しコーヒー



 精神障害者が働く「こころッと」の店先からコーヒーの香りが漂う。1階の喫茶と2階の工房で20人ほどが働く。ホット150円、カフェオレ180円と格安。店名は、こころがホッとするスペースにとの思いを込めた。オープンは03年9月。常連さんも増えてきた。施設長の田中啓夫(ひろお)さん(29)=写真右端=は「6時間かけて抽出する『水出しコーヒー』はお勧め。180円ですよ」。



 ○応接間を改造し学習拠点



 門に「スペースわん」の木札がかかる。府立高校で現代文や古文を教えていた永田仁美さん(45)が95年、自宅の応接間を改造した学習拠点だ。約30人の利用者は幼児からお年寄りまで。不登校の子もいる。能力に合わせ算数や数学を中心に自発的に学ぶ。「わたしはただ寄り添う存在、だれか見守っていると思うと違うでしょう」。市内で月1回開く「不登校の子をもつ親の会」では連絡役を務める。



 ○塩で味わうもりそば人気



 福井・大野産のそば粉、奈良・洞川の名水。「芦生(あしう)」は、混じりっけなしのそばにこだわる。中本裕造さん(47)は、脱サラして01年に開店。「喜ぶ表情がじかに見える仕事をしたかった」。ガラス越しにそば打ちが見える店にした。一番人気は800円のもりそば。つゆのほか、4種類の海塩や岩塩をブレンドした塩もついてくる。1口目は塩で。塩で食べる方がそばの味がよく分かる。



 ○焼き鳥で語るグルジア文化



 炭火焼き鳥を味わう客でにぎわう「一徹」は、グルジア文化を語る「文化サロン」でもある。店主の吉田徹さん(45)=写真右=らが呼びかけ、常連客のグルジア人チェリスト、ギア・ケオシヴィリさん(43)=同左を支える「めごばり会」を01年に結成。グルジア語で「心の友」を意味する。夜が更けるとワインや音楽、国民性をめぐり、グルジアと日本の愛国者が持論をぶつけ合うことも。



 ○ギャラリー、希望者絶えず



 カフェギャラリー「ほたる」は、ガラスの内側に並ぶススキが目を引く。壁面には絵画、入り口には小物類が飾られている。南美鈴さん(57)は「芽を伸ばしたいのに、舞台がないという作家に無料で使ってもらおうと思って」。希望者は絶え間ない。半月から1カ月ごとに作品を切り替える。3カ月に1回、ススキを下からライトで照らすなか、講師が語る催し「灯(あか)りと語り」を開く。



 ○ソーラーカーレース夢中



 どこか懐かしい家族写真が並ぶ「児島写真館」の店主、児島由晃さん(52)=写真右=の趣味はソーラーカーだ。テレビ番組で海外のレースを見て、「こんなんで車が動くんや」と驚いた。エンジン、配線、パソコン--。93年に得意分野の違う人を集め、チーム「SOLAR GIGA」を結成、代表に就いた。重量300キロあった1号車に比べ、3号車は180キロ。鈴鹿での最高成績は3位だ。



 ○衣料品の店、障害者いきいき



 「良かったらどうぞ」。障害者9人が店番やチラシづくりをする「かすみ荘」には、府内外の家庭から不要になった服が次々届く。高いお金を出したのに、新品のままサイズや年齢が合わなくなった品が多い。障害者が給料をもらう職場をつくろうと、パン屋を改修して開店した。7年目。作業所代表の田中伸建さん(26)=写真右下=は「最近は着物に力を入れています。ご協力ください」。



 ○鳥の巣コレクター歴40年



 府の鳥獣保護員の小海途銀次郎さん(60)は、40年来の鳥の巣コレクターだ。野鳥研究会の催しで初めて展示して以来、鳥の観察中に古巣を見つけて持ち帰り、ニスをかけて保存する。北は網走、南は奄美大島のものまで。タカ類の巣は地上20メートルほどの高さ。「昔は木登りが得意だったけど、今は高所恐怖症だからね」。ポリ袋が巣に混じることも多く、環境悪化を心配する。2冊目の鳥の巣図鑑と展覧会を準備中だ。



 ◇次号(3月21日)は「豊中駅かいわい」(豊中市)です。



 【写真説明】



 旧高野街道のにぎわいを取り戻したい。昨年10月17日、地元の商店主らがイベントを催し、約1万2千人が訪れた=河内長野市長野町で