(週刊まちぶら 第181号)千代田駅かいわい 河内長野市 治水語る池/大阪府

2009.01.25 大阪地方版/大阪 27頁 大阪府 写図有 (全2,378字) 













 南海高野線千代田駅は河内長野市の北端に位置する。周辺は今ではベッドタウンだが、昭和40年代ごろまではのどかな田園地帯だった。その水田を潤したのは、今も市民に憩いの場として親しまれている寺ケ池だ。



 約350年前。水利が悪かったこの地域での新田開発を目的に、ため池を大幅に拡充する工事がスタート。約8キロ南に離れた石川上流の滝畑から水路をひく難工事は、16年かかった。その功績をたたえる記念碑が、今も池のほとりに立つ。



 駅東から国立病院機構大阪南医療センターまでは、周辺より幅の広い道路が続く。同センターがある通称「千代田台」には1940年から敗戦まで、大阪陸軍幼年学校があった。開校に合わせて開業した千代田駅から正門まで、両脇に桜を植えた幅5間(約9メートル)の並木道が整備された。この道路は当時の名残だ。



 現在は駅東西の幹線道路沿いに商店が立ち並ぶが、表通りから一歩奥に入るとかつてのメーンストリート、西高野街道が通る。弘法大師ゆかりの盛松寺は毎年12月にユズみそを振る舞う寺として知られ、境内には四季折々の花が咲く。(白木琢歩)



 ■米や野菜の菓子も



 08年6月にオープンした「パティスリー リゼット」は、同じ洋菓子店で修業した荒木かおりさん(33)=写真右=と辻有希子さん(32)=同左=の2人で切り盛りする。河南町で採れた米粉を使った「米ロール」は、小麦粉アレルギーでも安心して食べられると好評だ。旬の野菜を使った菓子にも力を入れており、昨夏はトマトのゼリーやトウモロコシのティラミスも店頭に並んだ。2人は「日夜努力している生産者の思いまで感じられるようなお菓子を作りたい」と笑顔をみせる。



    *



 〈1〉パティスリー リゼット 午前10時~午後7時。木曜定休。米ロールは900~1450円。併設のカフェコーナーでケーキを食べることもできる。0721・56・8218



 ■コーヒーは名曲と



 奈良県出身の中東清一さん(61)が72年、大学在学中にオープンさせた「プレイバッハ」は朝から常連客でにぎわう。妻の史希代さん(57)=写真=は「開店以来、おいしいコーヒーを味わってもらおうと常に真剣勝負です」。店内にはピアノカウンターが置かれ、「コーヒーに合うから」と終日落ち着いたクラシック音楽が流れる。コーヒーは4、5種類の豆を店独自の割合でブレンドし、ネルドリップ式で丁寧にいれる。ケーキやみつ豆、パフェなど甘味も充実している。



    *



 〈2〉プレイバッハ 午前7時~午後7時(日曜は午後6時)。月曜定休。コーヒーとサラダが付いた自家製カレーライス(880円)も人気。0721・55・7350



 ■ボタンなら任せて



 「珍品堂」は骨董(こっとう)品店のような名前だが、実は千代田で45年続く手芸用品の専門店。圧巻は2階の壁一面に天井まで積み上げられたボタンの数々。「昔数えたら20万個やったけど、今はもう何個あるか分からない。品ぞろえは都心の店にも負けてない」と初代店主の山脇繁樹さん(76)=写真手前。ボタンを探して遠方からも来客がある。6年前に長男和仁さん(45)=同奥=にバトンタッチしたが、今でも店先に立つ。「珍品堂の看板を上げ続けるのが使命やと思ってます」



    *



 〈3〉珍品堂 午前10時~午後6時半。日曜定休。結婚式用の「ウェディングベア」などオリジナル編みぐるみの注文生産や、材料の販売もしている。0721・52・5969



 ■カウンターも手製



 20~30歳代の男性4人が切り盛りするカフェバー「カッパ」。「非日常的な空間」を意識したという木製カウンターなどの内装は多くが手作りだ。スタッフの岡田義人さん(26)は「学割サービスもあります」とPRする。飲み物ではキャラメルマキアート(490円)やバニララテ(430円)が人気。食パンにアイスクリームとメープルシロップ、チョコレートをかけたハニートースト(550円~)も看板メニューの一つだ。ランチは日替わりメニューとパスタ(いずれも880円)のセットが選べる。



    *



 〈4〉カッパ 午前11時~午後5時。日曜定休、祝日は不定休。アルコール類も置いている。近くクレープの販売(テークアウト可)を開始予定。0721・55・0141



 ■そばブーム仕掛人



 大阪でのそばブームのきっかけの一つとなった「麺坊(めんぼう) 蕎麦博(そばひろ)」。そばや野菜をだしにくぐらせるそばしゃぶ膳(1400円)や、カタクリなど野の花をイメージしたそば(750円~)など、山梨県出身の望月興博さん(60)の確かな技術に裏打ちされたアイデアメニューを味わいに多くの人がのれんをくぐる。「せっかく来てもらったお客さんにサプライズを感じてほしい」と望月さん。河内長野市内で「七望流そば道場」を開き門下生7人が開業するなど、後進の指導にも尽力している。



    *



 〈5〉麺坊 蕎麦博 午前11時~午後9時半。原則として木曜定休。オリジナルの鴨(かも)せいろ(1400円)も人気が高い。生そばの地方発送もしている。0721・54・1139



 ■水辺と緑、調和の美



 市民に親しまれている寺ケ池公園。公園を管理する市公園緑化協会の黒川正健さん(36)は「一番のおすすめは、広い水辺と木々の緑のコントラスト。その向こうに岩湧山や金剛山などが広がり、景色を眺めるとすがすがしい気分になれます」。池を囲むように配置された1周約2キロの遊歩道は、ウオーキングや犬の散歩などに利用する人が絶えない。遊歩道沿いにはソメイヨシノが植えられ、春には花見客でにぎわう。年末のイルミネーションも来園者を集めた。



    *



 〈6〉寺ケ池公園 入園自由。駐車場は夜間閉鎖される。毎年4月には植木市を開催し、季節の草花の即売なども実施する。公園管理事務所(0721・56・2111)。