2008.12.11 大阪夕刊 4頁 大文化 写図有 (全582字)
「朝日21関西スクエア」の懇談会がこのほど朝日新聞大阪本社であり、委員の武谷なおみ・大阪芸大教授(イタリア文学)=写真=が「イタリアに学ぶスローライフ」について話した。今春訪ねたシチリア島のエピソードなど交え、時間に育まれるイタリアの生活と文化を語った。
武谷さんは70年代に約4年半、イタリアに暮らした経験がある。
まず、英米両国でも暮らした伊紙記者の著書を紹介。そこには、食べ物に必要なのは、英「栄養」、米「満腹」、伊「おいしさ」であり、結婚についての影響力ある助言者は、英「友人」、米「弁護士」、伊「マンマ(母)」と書いてあるという。「イタリア人の多くは、家族、休暇が大事」と解説した。
そんなイタリアの中でも、南部のシチリア島は「国内でも特にスローな地域」という。島の女子学生たちに、源氏物語や村上春樹の『海辺のカフカ』について質問され、驚いたエピソードも披露した。子どもの暮らしもゆったりで、「午前中は授業。昼食に帰宅して午後は自宅で読書、という生活は高校生でも珍しくない。夏休みは約3カ月あり、入学・卒業式はないのが普通」。
「イタリアは、のらくら者で働かない人々の国と思われがちだが、それは間違い」と武谷さんは言う。「彼らは、自分の頭でたっぷり考える。イタリアのスローライフは、日本人が忙しさにかまけて考える時間すら失っている様を照らしだしている」