【おおさかを創る】大谷女子大ソフトボール部監督 児玉公正さん(45)=太子町

2004.12.21 大阪朝刊 23頁 大阪総合 写有 (全1,411字) 












 ◆インカレ連覇へ「挑戦はいま」



 大谷女子大ソフトボール部は、苦しい戦いを強いられていた。



 まだ暑い八月二十九日。静岡県で開催されていた第三十九回全日本大学女子ソフトボール選手権(インカレ)の準決勝。五回表を終わって0-3。東海女子大にリードを許している。



 得点の入りにくいソフトボールで、反撃の機会は残り三回。しかも、調子に乗せてはいけない相手投手にホームランを打たれていた。



 「この試合は、やられた」。監督は敗戦を覚悟した。しかし、今年のチームは違った。五回裏、一気に試合をひっくり返してしまう。



 一番の伊藤亜希子選手が一塁強襲安打で出塁。二番・川西まどか選手の三塁打でまず一点。二つの四球で満塁としたあと、五番の田中清香選手の安打で二点目。



 ここで、監督は井上友恵選手を代打で起用した。彼女は前日、代打で決勝点を呼び込んでいるラッキーガールだ。井上選手の放った渾身(こんしん)の一打は、左中間への劇的な代打逆転満塁本塁打。6-3。六回にも一点を加え試合を決めた。



 決勝戦は雨天中止になり、日体大と二校優勝。創部二十四年。初めて手にした栄冠だった。



 現在、コミュニティ関係学科教授を務める。同女子大に来たのは昭和六十二年。ソフトボール部は関西二部リーグのチームだった。「経験者は三分の一」。五、六人で練習を続け、新入生が入ってくるのを待つ悲哀を味わったこともある。



 秋田商、日体大と野球部の選手だったが、「野球とソフトは同じと、なめてかかっていた」そうで、「野球と違うと分かるまで、時間がかかった」という。



 必要なら高校生にも教えを請うた。チーム力は平成九年度の一芸一能入試(現在のスポーツ推薦)を機に、経験者が増えたこともあり、ぐんと上がった。



 こうして三年前、二度目のインカレ出場で三位になった。しかし、昨年は「勝てる相手」に一回戦でまさかの逆転負け。これが刺激になった。



 今年は二月から八月半ばまでに、公式戦を含め百二十-百三十試合をこなした。一日に四試合を戦ったこともある。実戦で「穴の出たところを洗い徹底して埋めた」。



 頂点に立って、とくにうれしいことがある。森川憲子投手のことだ。



 彼女は大学の四年間、いいところで投げさせてもらえなかったが、くさらずに練習を怠らなかった。大学院に進み、今年こそ…。そこへ一年生エースが入部。春は一年生エースが投げた。



 インカレ前、一年生エースがへばり気味になり、森川投手に登板の機会が訪れる。一回戦は救援、二回戦は先発、準々決勝は救援。準決勝は見事に完投した。



 「がんばっていれば、必ず日の目を見る。後輩に見本を見せてくれた」。学生スポーツの持つ教育面といえる。



 大学女子日本一になったこともあって、来年は二十五人を超える新入生が入部する。九月の全日本総合選手権で日本リーグのトップチームと戦い、「いい勉強になった」。おごりはない。



 大学のスポーツ界は「東高西低」。「関西勢同士で決勝ができれば」。連覇へ向かって、「挑戦はいま始まったばかり」である。



 (井上和夫)



 ■大谷女子大ソフトボール部(富田林市錦織北3) 昭和56年、同好会として創部。翌年、部に昇格した。インカレ出場は4回目で、優勝時の部員は33人。1、2回戦は城西大、福岡大にそれぞれ1-0で勝ち、準々決勝は前年優勝の淑徳大を2-1で破り、準決勝は東海女子大を7-3で倒し、雨天のため日体大と両校優勝となった。




産経新聞社