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【大阪芸大発 著名人教員の紙上講義】(20)短期大学部 川村龍一さん 2009.07.19 大阪朝刊 21頁 大阪総合 写有 (全1,585字)
◆21世紀メディアをつくれ
今日は放送局のスタジオ見学を兼ねた実習授業です。ここFM OSAKA(大阪市浪速区)で、ラジオ制作の現場を見てもらいます。作る側、表現する側に立って学びましょう。 《大阪芸大グループの出発点となった短期大学部。伊丹校舎、大阪校舎があり、川村さんが学科長を務める広報と、デザイン美術、英米文化、保育、経営デザインの5学科から成る》 この録音スタジオを借りて、模擬放送をしましょう。みなさんがラジオのパーソナリティーになったと想定し、私と掛け合いでしゃべってください。語りかけるときは多数の人が前にいると思って、マイクを人の顔に見立てて気持ちを傾けるよう心がけましょう。 息はゆっくりと出したあと、話し始めてください。はく息と吸う息、自分の呼吸を早く覚え、しゃべりやすいリズムをつかんでください。ラジオでは聴きやすさの点から呼吸が大切です。当初はプロの物まねでもいいのですが、練習を重ねて自分のものにし、自分の個性、キャラクターを出すようにしてください。 《現場での実習・演習が中心となる広報学科の授業。学生たちは放送局のプロデューサーらから制作現場の説明を受けた後、放送局の会議室で川村さんの講義を聞く》 私のしゃべりのスタートは、このラジオ局でした。その後、テレビ番組などにも出て、いくつかの放送局で世話になりましたが、同じメディアであってもラジオはテレビと違って聴取者の目に見えないゆえに奥が深いのです。テレビのおもしろさも当然あるのですが、ラジオは音楽が入ったり、おしゃべりがあったりと、音がすごく大事なメディア。パーソナリティーの声になごんだり、嵐の音に身がすくんだりと、みなさんは音に関心を持ち、感受性豊かな人になってください。それがラジオから学べる「情」、情報の情です。 これからも多くのメディアの現場を見る機会を設けます。実際に見て、触れて、みなさんに21世紀のメディアをつくってほしいからです。そのためには多くの人とのつながりを若いときにつくっておいてください。将来の財産にきっとなるはずです。私にもどんどんぶつかってきてください。それが20世紀メディアを担ってきた私からのエールです。 《広報学科にはテレビ、ラジオといった放送をはじめ、新聞・出版、広告、映画・映像、演劇・演技演出の5コースがあり、学生の望む授業が選択できる。実習などによって、多様な体験をすることで情報発信者としての資質を磨く》 人生の目標として「40歳のとき幸せになっている」とイメージして、今やることを考えてください。これは、66歳の私が20歳前後のみなさんに人生の先輩として贈る言葉です。今は、ひとつのことにのめり込み、がむしゃらになる、そんなひたむきさを求めます。 ラジオならラジオの勉強、演劇なら演劇のことなど、自分の興味のある分野について懸命に取り組むことです。だれかが何かをしてくれるのを待つのではなく、自分から進んでやるのです。 私たちは情報発信者として「見せて」「聞かせて」「読ませて」「考えさせる」側にいます。ひとつの技術に熟達していくとともに、人の心を動かす表現力を身につけましょう。時間はわずか2年。集中して、一緒に歩き出しましょう。 (構成・三宅統二) ◇ 【プロフィル】川村龍一(かわむら・りゅういち) フリーアナウンサー、ラジオパーソナリティー。関西のラジオ局で音楽ディスクジョッキーや朝の情報番組を担当。毎日放送(MBS)のテレビ番組「ヤングおー!おー!」では、観客席から総合司会を担当。現在もMBSラジオの「川村龍一のゆ~ゆ~ラジオ」などを受け持つ。平成18年4月に大阪芸大短期大学部広報学科長兼広報学科教授に就任した。 撮影・志儀駒貴(しぎこまき) 産経新聞社 |
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