2009.03.22 大阪朝刊 25頁 大阪総合 写有 (全1,754字)
◆関西弁は「第2共通語」!?
日本語のアクセントというのは共通語に限らず、音の高低で決まるんです。例えば「あ」という音節と「め」という音節があるとします。「あ」を高く「め」を低く言うと天気の「あめ(雨)」となります。逆に「あ」を低く「め」を高く言うと食べる「あめ(飴)」となります。漢字で書けば違いが分かるんですが、声に出したとき、どっちか区別できるようにしないといけません。
名詞を例にとると、飴は「平板型」、雨は「頭高型」と分類し、ほかに尾高型、中高型の計4種類の型があります。でも、アクセントのつけ方は地方によって違うから、全国に向けての伝達方法としては混乱するんです。そのために生まれたのが「共通アクセント」。これを学んでいくことが、しゃべりの仕事をする上での基本になるんですね。
だけど、東京に行ったタレントさんは、ほとんど共通語に近い東京言葉でしゃべるんですが、なぜか最近の関西芸人さんなどは関西弁で通しますよね。昔は考えられなかったんですよ。関西弁は「第2共通語」なのかという感じがしてきます。
《小林さんが教授を務める放送学科。1年で放送の基礎を学んだあと、制作、アナウンス、広告の3コースに分かれ、専門的な知識や技術を身につける。小林さんはアナウンスコースのゼミのほか、基礎的な「共通語のアクセント」の講義も担当し、共通語のアクセントの変化の法則性などを教えている。より実践的な、アナウンス現場で将来役に立つだろうというものから優先的に教えているという》
動詞の原形の場合、例えば「着る」「笑う」「泣く」などはみな「平板型」の動詞です。平板ではないのは「起伏型」というんですが、これは「見る」「受ける」あたりかな。見るは「み」、受けるは「け」が高く、また平板といっても、着るは「る」が、笑うは「らう」、泣くは「く」が高いんです。「着る」が変化して「着よう」となると、「笑う」は「笑おう」に、「泣く」は「泣こう」となりますが、アクセントの変化も基本的には一緒で、後ろから2つめが核(高さのピーク)になって、その後低くなるんです。
動詞が変化したときに、現場でアクセントをどうつけるか困ることがあると思います。そういうときに「着る」がどう変化するかを覚えておけば、平板型の動詞は基本的に同様の変化をするんです。起伏型も同じで、その場合は「見る」の変化を覚えておくんです。その法則をうまく活用して乗り切ってほしいですね。できるだけ省エネ、裏技的に覚えましょう。
《3、4年が対象の小林さんのゼミでは、ラジオやテレビなどの現場経験をもとに、専門的な知識と技術を学生らに伝授している。卒業制作では、研究成果を論文ではなく、CDに30分以内の「録音構成」でまとめることを課す。今年度、来年度のテーマは「私のめざす音声表現」》
目上の人へのあいさつは大切です。また敬語を使えない人がいますが、これはいけません。敬語についてはテレビを見ていてよく思うんですが、変な使い方をするリポーターがいます。例えば普通の小学生へのインタビューで「ご出身はどちらですか」と聞いたり、中学生に「ピアノのレッスンはおいくつのときから始められたんですか」と聞いたりしているんです。明らかに年上でも目上でもない人に、そこまで丁寧に言わなくていい。子供には子供に対する聞き方があるんです。「ぼく、どっからきたの」でいいんですよ。このような場違いな敬語は使わないよう気をつけてください。
ただ、判断の難しいときもあるんです。そのときはどうするか。迷ってください。相手の立場的なこととか知名度とか、いろいろあるでしょう。TPOを考えて、臨機応変にやってくださいね。
(山口淳也)
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【プロフィル】小林大作(こばやし・だいさく)
フリーアナウンサー。大阪芸大放送学科卒業後、CMナレーションが初仕事ですぐにFMラジオのDJとしてデビューし、以降、関西のラジオのほか、テレビでも「ズームイン!!朝!」(読売テレビ系)の関西担当初代キャスターなどを務めた。現在のレギュラーは「小林大作のメモリーズ・オブ・ユー」(ABCラジオ)など。平成19年4月、大阪芸大放送学科教授に就任した。
撮影・前川純一郎
産経新聞社