その日・・・職員室でめちゃくちゃ先生たちに怒られた俺と潤君。

 

いつもは温厚な櫻井先生と相葉先生が・・・と、周りの先生たちが驚くほどに。

 

 

 

 

 

 

「にの、ごめん。」

 

「潤君のせいじゃ無いですから。」

 

「でもさ・・・」

 

「気にしないでください。それよりも、早く大野さんのところに行きましょう。プレゼントなにくれるんですかね?」

 

 

学校帰り、潤君は何度も俺に謝ってきます。

 

別に、授業をさぼったのは故意でもありませんし。

 

だけど、櫻井先生に怒鳴られたのが・・・潤君が落ち込んでいる一番の要因。

 

 

電話で大野さんに、「ニノの誕生日を2人で祝ってたんだ。」そう潤君が話すと

 

 

「学校終わったら2人でアトリエに来い。」

 

 

そう言われたから。

 

 

「しょうがねー、カズにプレゼントくれてやるよ。」

 

 

確かにそう言っていたんだ。

 

 

 

「何だろうね?」

 

「アトリエの出窓に飾ってあったフィギアかな?」

 

「ニノは、あれ気に入ってたよね。」

 

「うん。それだったら嬉しいな。」

 

 

 

学校から電車で3駅。

 

大野さんのアトリエには、潤君と話をしていたらあっという間に到着した。

 

 

 

「さとにぃ、来たよ~」

 

 

潤君が、そう言いながら玄関の扉を勝手に開けて入っていく。

 

カギもかかっていないなんて・・・相変わらず不用心な家ですよね。

 

 

 

 

一歩中に入ると、相変わらず油絵の具の香りが漂っていて、あちこちに絵が置かれている部屋。

 

そこの真ん中で、イーゼルに置かれたキャンバスに向かっている大野さんが居ました。

 

 

「よく来たな。」

 

 

ニコニコしながら大野さんは近づいてきたのに・・・俺と潤君の頭に手を置くと、ゴチンと一発ずつげんこつを食らった。

 

 

「心配させた罰だ。」

 

 

真剣な表情でそう言われたら、もうぐうの音も出ない。

 

 

 

 

だけど、直ぐにいつもの様にふにゃっと笑うと

 

 

 

「おい、カズ。奥の部屋にプレゼントあるから取って来いよ。あ、一人で行けよ。」

 

 

そう言われて、いつもは物置になっている部屋へと向かった。

 

 

 

あの俺の狙っていたフィギアが、出窓には置いてなかった。

 

という事は・・・本当にあれを貰えるのかもしれない。

 

 

 

ただ、そんな軽い気持ちで、奥の扉を開けた。

 

この部屋の電気は確かこっちにあったはず。

 

 

スイッチが、入り口付近に無いから、開けると真っ暗な部屋。

 

よく潤君は怖がって入りたがらないから、大野さんは俺に一人で行って来いなんて言ったんだと思う。

 

・・・というか、思ってた。

 

 

 

 

だけど、違ったんだ。

 

俺が一人でこの部屋に行って来いって言われた理由は。

 

 

 

 

 

「にのちゃん、お誕生日おめでとう。」

 

 

居るなんて思ってもみなかった・・・相葉先生がそこに立っていたのだから。