「今日から同じ学校だな。」
「うん。1年だけだけどね。」
「大学も一緒の学校を受ければいいんだよ。」
「でも、僕が翔兄ちゃんと同じ学校・・・入れるかなぁ?」
「大丈夫だよ。一緒に勉強するんだから。」
「そっか。そうだよね。」
「ああ。」
朝食を、雅紀君の家で食べて、仕度をするために家に帰ってきた僕と翔兄ちゃん。
翔兄ちゃんと同じ制服に袖を通して、ちょっとテンションが上がっている僕。
そんな僕に、翔兄ちゃんはチュッと唇を重ねてきた。
「最近潤は、すげー色っぽいんだよなぁ。」
僕の両肩をガシっと掴んだ翔兄ちゃんは、僕の顔を間近で見つめながらそう言っている。
えっと・・・どのあたりが?
「だからさぁ、俺、心配なんだよ。オオカミ連中に、潤が襲われないかって。」
「否、僕男だから。」
「男子校を甘く見るなよ、潤。ハイエナのようなあいつらは、可愛い潤みたいなやつを狙ってるんだよ。」
「僕、可愛いの?」
「俺の前ではな。だから、皆の前ではこの表情するなよ。」
「う・・うん・・・分かった。」
「あー、心配だぁ・・・」
そう言うと、翔兄ちゃんは何度も僕の唇にチュッと唇を重ねてきた。
僕にこんな事するの、翔兄ちゃんだけだし・・・
だけど、僕はいまどんな表情してるんだろう???
入学式が終わり、雅紀君は、豪華料理を作って待ってるね♪と、早々に学校を後にしていた。
1年生の教室へと向かった僕。
ホームルームがあって、明日以降の予定を確認し、必要書類の説明を受けていると・・・廊下が騒がしくなった。
何かあったのかな?
そう思っていると、翔兄ちゃんが廊下に居るのが見えた。
「これで終わるぞ~。」
担任の松岡先生がそう言って教室から出て行くと、教室内に翔兄ちゃんと・・・その他大勢の先輩?が入ってきた。
「この子だよ。俺が言った子は。」
「やっべ、めちゃくちゃ可愛い。」
「おい翔、紹介しろっ。」
「ヤダ。」
「翔が独り占めなんてずるいぞ。」
「そうだそうだ。」
「お前らなんかに紹介してやるかよっ。」
「翔のケチー。」
「何とでも言えよ。さ、終わったから帰るぞ。」
良く分からないけど、翔兄ちゃんと話しているという事は、3年生なんだと思う。
先輩が教室に入ってきたことで、1年生の皆が、緊張して固まっている。
だけど、ひそひそとみんなが呟いている声が僕の耳に届いた。
「もしかして、翔様?」
「えっ、嘘っ」
「そうだよ、他の人たちが『翔』って呼んでるから。」
「うっそ、入学初日に翔様にお会いできるなんて、なんて幸せ者なのでしょう。」
翔兄ちゃんの事、『翔様』って呼んでるけど・・・どういう事?
何だかよく分からないけど・・・賑やかな僕の高校生活が、この日から始まった。