そんなある日。
いつもよりも早めに師匠のアトリエを後にした。
今日は、スーパーで食材を買っていきたかったから。
櫻井さんって、何が好きなんだろう?
どうせなら、好きなものを食べてもらいたいよね。
だけど、こだわりの味とかあったら・・・どうしようか?
そんなことを思いながら、食材を買い物カゴへと入れていく。
明日は休みだから、パスタとか・・・簡単にできるものがいいかな。
そう思って、簡単に作れるボンゴレの食材を買って帰ると・・・
あれ?
今日はまだ、電気がついてる。
明日は平日だから、櫻井さんは仕事のはず。
という事は・・・まだ起きているのかな?
それとも、リビングの電気を消し忘れただけなのかも。
「ただいまぁ・・・って、櫻井さん起きていらしたんですか?」
「あ、松本さん、お帰りなさい。」
リビングに入ると、櫻井さんがソファーに座ってテレビを見ていた。
手にはビールを持っていたから、きっと飲みながらそのドラマを見ていたんだと思う。
テーブルには、大きめのパスタ弁当が置かれている。
これを食べながら飲んでたんだ・・・
「今日も三ちゃん弁当なんですね。大盛過ぎませんか?」
「流石に、同じ味だと飽きるけど、この二色盛パスタは、味も選べるし、なかなかのボリュームで俺の好みなんです。」
「櫻井さんって、パスタが好きなんですか?」
「はい、大好物ですね。」
「へぇ。じゃあ今度作りますよ。」
「・・・へ?作れるんですか?」
「ええ。そんな凝った味は作れませんが、ジェノベーゼとかペペロンチーノとか、僕が好きですから。」
「すげー。」
「ゆでて調味料と混ぜるだけですから、そんなに難しくないですよ。」
「へぇ・・・ぜひお願いしたいです。」
「じゃあ・・・明日はどうですか?僕休みなので。」
「えっ、良いんですか?」
「はい。大丈夫ですよ。」
櫻井さんは、パスタが好きなんだって。
明日はパスタにしようと思ってたから、何てタイミングがいいんだろう。
今日は、アラビアータとバジルを食べていたから、明日は予定通りボンゴレにしようっと。
櫻井さん、喜んでくれたらいいな。