<Sside>
岡田の幼馴染だという、警視庁の井ノ原さんの計らいで、何らかの妨害計画が動いていることが分かった。
ファッションビルのオーナーにも、今回の出店計画の詳細の問い合わせがあったという。
それと、俺の事も聞かれたと・・・。
犯人の狙いは一体何なのだろう?
もし、ショーの開催の妨害であれば、開催前に会場に爆弾を仕掛けるとか、それこそダミーの爆弾でも仕掛けたら、中止になるだろう。
事務所の住所も把握しているのだから、そこに来る新作の服を狙えば、それだって中止になる。
だけど、そんなことはせず、ただ、脅しの文章を送ってきた。
「気になることは、手紙だけでなく、マネキンを模した物を燃やしているということでしょうか?今回のマネキンって、いつもの奴とは違うと、岡田から聞きましたよ。」
井ノ原さんも言っていた通り、俺もそれが気になっていた。
今回のマネキンは、潤を模したもの。
燃やされたのは、ただかつらを被った、普通のどこにでもあるマネキンに見えたけど・・・でも、敢えてカツラは、潤の髪型を明らかに真似していた。
それだけ、燃えたマネキンに後から被せられていたから。
という事は、狙いは潤なのか?
でも・・それならどうして潤は狙われるんだ?
「犯人の狙いが、モデルの男性であるとしたら、開催してみないと、犯人の狙いも分からないままになるかもしれない。」
開催されなければ、狙われることはない。
だけど、狙われた理由が分からなければ、今後も狙われる事もあるという。
考えても、答えなんてすぐに出る訳ではない。
二宮さんにも相談すると、潤と直接話をしてみて、決めようということになった。
「俺は、大丈夫です。やらせてください。」
潤は、そう即答してくれたけど・・・本当にこれでいいのだろうか?
ここで、今まで何も発しなかった井ノ原さんが、「では、ショーを行なっていただきましょう。」
そう言って、可能な警備計画を話してくれた。